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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第二章

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第67話 【Sideアンリ】憧れの人のように

久しぶりのアンリ視点のお話です!

 リュウトさんが勇者パーティの一員となり、魔王討伐の旅に出る二日前。


「お前ら!酒は持ったな!それでは、我が遊軍調査部隊の一員であるリュウトの勇者パーティ加入とその門出や成功を願って……乾杯!」

「「「「「乾杯!」」」」」


 私たちはリュウトさんを送り出すための壮行会を開いている。

 会場はリュウトさんの歓迎会で使用されたお店であり、屋外の広いスペースにて、モーゼル隊長の発声で宴が行われた。

 テーブルには上質な素材で作られたサイコロステーキやアクアパッツァ、ピザやポテトフライ、様々な肉のジャーキーなどが並べられている。

 飲み物もエールや上等なワインが樽単位で用意されている。

 そんなに盛大に送り出したいのかって思いたくなりそうなくらいに豪勢だった。


「まぁ、それもいいか」


 勇者パーティの一人として冒険の旅に出ることになったリュウトさんがいつ戻って来るかは正直に言うと分からないことも聞かされている。

 だから、しばらく一緒にお仕事できなかったり、こうしてお酒を飲み交わすこともできないんだよね。


「皆もリュウトさんのことをしっかりと送り出したいもんね」


 宴会が始まって少しすると、雰囲気が盛り上がり始めていく。

 モーゼル隊長に「もっと飲め飲め」とエールを勧められてはグイグイ飲んでいるリュウトさん。

 私の直属の上司にして、第六班の班長であるゾルダーさんからしきりに「頑張れよ」と酔いが回りながら激励されているリュウトさん。

 第六班の副班長であるシーナさんと冒険談議を交わしては場を賑やかにさせるリュウトさん。

 同僚のトロンから「リュウトさんは僕の自慢の先輩です!」と感涙しながら褒めまくられているリュウトさん。

 遊軍調査部隊に来てから三ヶ月くらいしか経っていないのに、隊の誰もがリュウトさんのことを心から認めている。


「あ、あの、リュウトさん」

「アンリ?」


 私はタイミングを見計らって、お手洗いに行こうとするリュウトさんに声を掛けた。


「よ、良ければ、何かもう一杯、ご注文しておきましょうか?」

「そうだな。じゃあ、エールと水を一杯ずつ、用意してくれるかな?」

「はい。お任せ下さい!」


◇———


 宴会が始まって一時間と少しが経った。


「う~。ちょっとペースが早かったかも……」


 私は水の入ったグラスを片手にお店のテラスで夜風に当たっている。

 いつになく飲み過ぎたかもな。


「本当に凄い人だな~。リュウトさんって……」


 水を飲み干した後にそう呟くのだった。


「アンリ?」

「ひゃいっ!?」

「どうしたんだ?一人でこんなところにいて……」

「リュウトさん!あ、お姉ちゃん」


 そこで声を掛けてきたのはリュウトさんと遊軍調査部隊の副隊長を務めているソフィアお姉ちゃんだった。

 一人になっているところを見かねて声を掛けてくれたのかな?


「うん、ちょっと飲み過ぎたかなって……」

「そうか。無理をするなよ」

「あははは……」


 心配の言葉を掛けてくれるお姉ちゃんに苦笑いする私なのだった。


「あの、リュウトさん!」

「ん?」

「その……私……リュウトさんに言いたいことがあるんです!」


 私は少し躊躇いながらも、勇気を振り絞って伝える。


「リュウトさんが勇者パーティの一員に選ばれたって知った時、本気で凄いと思っていますし、自分のことのように嬉しいと感じました。この気持ちに嘘はありません。だけど、同時に寂しくもあって……不安でもあるのです。私がいくら願っても、手の届かない場所に行ってしまうんじゃないかって……」

「アンリ……」


 勇者パーティの一員に選ばれることそのものは大変な名誉だ。

 だから、リュウトさんがその一人に選ばれたって聞いた時には本当に誇らしかった。

 しかし、それは魔王討伐の旅に出ることになり、リュウトさんはエレミーテ王国から遠くにある魔族領へ足を踏み入れるってことを意味している。

 私も魔族の恐さは理解しているつもり。

 先日の遠征で遭遇したギルダスを見た時は恐怖の余り、足がすくんでしまい、プレッシャーだけで気絶、下手をすれば死ぬんじゃないかって心から思った。


「だから、リュウトさん!行かないで欲しいです!」

「「なっ!?」」


 私は思わず言ってみた。

 それを聞いたリュウトさんやお姉ちゃんが固まった。

 それからすぐに……。




「ふふっ。なんて、嘘ですよ!」

「「へ?」」


 冗談であることを伝えられた二人は呆けるのだった。


「リュウトさんが勇者パーティに入って欲しいってことは、それだけの才能や実力があるって認められたからだと思うんですよ。そして、リュウトさんはそれを受け入れた。覚悟が無ければ、絶対に受け入れないはずです」

「まぁ、そうだよな」

(というか、アンリが冗談をかますとは!)


 本当は行って欲しくないのは事実だけど、リュウトさんの性分とかを考えれば、そうなるのは間違いないって分かり切っている。

 実際、勇者パーティに入って魔王討伐の旅に出ることを打診されたリュウトさんは迷うことなく応じたって話も聞いていた。


「だから、リュウトさん。あなたが凄いことを成し遂げようとする素晴らしい人物になるんでしたら……。私もそれに報いれるくらいの人になります!」

「……」


 私がリュウトさんと出会ったのは王都の周辺調査中にリスクレベルBのマッドオーガに襲われた時、そこで彼に助けられた瞬間だった。

 その時、私の目に映ったリュウトさんは救世主に見えた。

 表現の仕方は大袈裟だと思うけど、それこそ、白馬に乗った王子様のようにカッコよく見えてならなかった。

 年齢やキャリアの差はあるだろうが、遊軍調査部隊の一員になった後のリュウトさんは目覚ましいまでの活躍を見せてくれた。

 それこそ、今代の勇者パーティの一員として認められるほどにだ……。


「リュウトさんが魔王討伐の旅に出た後に会えるとすれば、数ヶ月後、数年先になるかもしれませんけど……。だから、その間を経て、次に出会った時には今以上に一皮も二皮も剝けている自分になれるように努力します!」

「そうか……」


 私は自分が抱いている決心を打ち明けるのだった。

 聞いているリュウトさんやお姉ちゃんは安堵したような表情になるのだった。


「リュウト!ソフィアやアンリも一緒に何してんだ?」

「いえ、ちょっとした世間話で———」

「夜はまだまだこれからなんだから、もっと飲むぞ!リュウト!ほら、行くぞ!」

「ちょっ、モーゼル隊長!」

「やれやれだな。アンリ。私たちも行こうか」

「うん!」


 モーゼル隊長たちに引っ張られるリュウトさんを見ながら、お姉ちゃんと会場に戻るのだった。


 リュウトさん。あなたがどこに行こうとも、ずっと追いかけ続けますよ。リュウト・ドルキオスは私にとって目標とする人であり、憧れだ。そして……。


 リュウトさんが心から私の強さと成長を認めてくれた時が来たら、私は……。

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