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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第二章

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第64話 勇者たちからの激励

 俺が陛下から勇者パーティに加入するように告げられて二日後。


「シュッ!」

「「「「おぉおおお!」」」」


 俺がいるのは王都から少し離れた小規模ながらも岩場がある原っぱだ。

 数十メートル離れた的に弓矢で正確に継ぎ矢を決める俺を見て感心しているのは……。


「こうもあっさりと継ぎ矢を決めるとは、やはり弓の腕前は本物だな」

「ありがとうございます!」


 エレミーテ王国の勇者パーティのリーダー格であるシャーロットさんだ。

 彼女の側には同じメンバーであるロリエさん、メリスさん、ジャードさんもいる。

 俺は神武具の一つと言われている聖弓セレスティアロの試し打ちをしているところだ。


「使い心地はどう?」

「何て言えばいいのか分からないけど、重厚感を感じる見た目に反して軽くて手に馴染みますね。それに、いつも使っている弓よりも使いやすい。最高です!」

「そう、なら良かった!」


 シャーロットさんに感想を求められた俺は正直に答えた。

 セレスティアロは金属で作られているだろう見た目であるものの、非常に扱いやすく、それでいてしなやかさもある。

 名品って言葉でも足りるか分からないくらいだ。


「じゃあ、次はセレスティアロについて理解していかないとね!」

「理解?」


 そう言ったシャーロットさんの側まで来たロリエさんとメリスさんは数枚の紙の束を持っている。


「それは?」

「聖弓セレスティアロの情報が記された文献が纏められた資料よ。遠征前に陛下が部下へその情報を集めるようにって指示しておいたらしいよ。私が聖剣エクスカリバーを手にした時も、似たようなことをしてくれたからね」

「なるほど」


 こうなることを見越してやってるんだとしたら、俺たちの陛下は先見の明の塊ではって思いたくなりそう。

 もちろん、褒め言葉なんだけどね。


「……」

「リュウト?どうかした?」

「あ、いえ。何でも無いです。ただ……」

「「「「ん?」」」」


 俺がそう告げると、シャーロットさんたちは首をかしげる。


「勇者パーティに加入して、魔王討伐の旅に出ることそのものは受け入れていますよ。ただ、信じられないこと続きで少し戸惑っている自分もいるんです。もちろん、選ばれたからには最善を尽くす所存ですけど、しっかりとできるかどうかって思うところもありまして……」

「「「「……」」」」


 内に秘めた俺の本心を聞いたシャーロットさんたちは押し黙る。

 俺もかつては……それこそ、三ヶ月ほど前までは冒険者をしていたから、冒険の旅に出ることそのものはやりたくてしょうがないことに嘘は無い。

 だけど、魔王を討伐するためとなれば、話の中身は大きく変わってくる。

 生計を立てる、武功を上げるとはまるで違う。

 それでも、得も知れぬ不安を今でも抱いているのも、また事実。

 そんな時だった。


「リュウト。私が今から言うことをよく聞いて欲しいんだ」

「はい……」


 シャーロットさんの済んだ瞳を向けられながら、俺は頷く。


「聖弓セレスティアロを手に取ったのは確かであってもだが、私はリュウト。あなたが同行してくれるのだったら、頼もしいと思っている。先のギルダスとの戦いを見ていても、スキル込みの立ち回りだとしても、その実力やセンスは勇者パーティの力になる。そう思えてならない」


 シャーロットさんはそう言い切ってくれた。


「そうそう。傍目から見ても、近接戦が専門じゃないにしても、あそこまで渡り合えるレンジャーって凄く珍しいって思えてならないのよね」

「そうですね。クラークさんも弓はもちろん、剣の腕は立っていたのですけど、リュウトさんは彼に負けず劣らずの腕前でしたよ」

「そ、そうですか?」


 そう語るロリエさんとメリスさんはお世辞抜きで俺を褒めてくれた。

 ここまで言われると、嬉しいけど、恥ずかしさも感じてしまいそうになりそうだ。


「ちょっとばかり気になっていたんだけどよ。リュウト。俺とも一戦やってみねえか?俺もちょっとでいいから、どれだけ剣術に優れているか、この目で見ておきたいんだ」

「いいですよ」


 今度はジャードさんが俺に模擬戦を提案し、俺は快諾する。

 俺とジャードさんは木剣を握り締めて向き合う。

 それから数分が経った。


「フンッ!」

「シィイイ!」

「やるじゃねぇか!」


 木剣同士がぶつかり合う鈍い音を響かせながら、俺とジャードさんは撃ち合っている。

 流石は勇者パーティの戦士なだけに、剣戟の威力、速さ、精度、連撃のスムーズさまでが非常に高いレベルで備わっている。

 やはり戦士を始めとする近接戦を得手とするジョブ持ち、ましてや勇者パーティに選ばれるほどの戦士が相手となれば、レンジャーの俺が同じ土俵に立つのは難儀だった。


「ほう」

(リュウト。ジャード相手に有効打を与えてこそいないが、ジャードもリュウトに有効打を与えられていない。回避能力を活かしたカウンター気味の攻め方だな)


 シャーロットさんも冷静に分析しながら見守っている。

 そして……。


「ふうぅ。ここまでにするか!」

「はい。ありがとうございます」


 互いの実力が分かってきたので、ここで模擬戦を切り上げることにした。


「いやぁ、凄いじゃないか!リュウト!」

「「ッ!?」」

「近接戦のレベルも高いと思っていたけど、ジャード相手にあそこまで渡り合えるなんて、想像以上だ」

「どうも」


 そう褒めるシャーロットさんの目に嘘は感じられなかった。


「お二人共、お疲れでしょう。すぐに回復魔法で癒しますわ」

「悪いな」


 続いてメリスさんが俺とジャードさんに回復魔法を掛けてくれた。

 本当に優しい人だな。


「じゃあ、予定通り三日後に出発するから、それまでにできる限りの準備を済ませておいて」

「はい」


 シャーロットさんにそう言われながら、俺は騎士団の寮の自室へと戻って行った。


◇———


「今日は有意義な一日だったな」


 俺はベッドに座りながら呟いた。

 それから徐にロリエさんとメリスさんから渡された聖弓セレスティアロについて纏められた資料に手を伸ばす。


「今でも信じられないな……」


 遊軍調査部隊の全員には俺が勇者パーティの一員として、魔王討伐の旅に出ることは知らされている。

 ほとんどの隊員がビックリ仰天なリアクションを取っていたのは今でも覚えている。

 直属の上司であるゾルダーさんやシーナさんはもちろん驚いていたけど、特にアンリやトロンが「凄いです!凄すぎです!」って騒いでいたっけな。


「勇者パーティの皆さんも俺のことを認めてくれているんだったら、その願いや期待に答えてやりたいな」


 そう言いながら、俺は椅子に座って資料を読み込む。

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