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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第二章

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第59話 勇者の一閃

VSギルダス戦。決着です!

 魔王軍の幹部の一人であるギルダスとの戦いの中。


「ヌゥウウウ!?」

(この状況!)


 ギルダスはある光景を目に捉えた。


「行くわよ!ギルダス!」


 空気中に存在する魔力を聖剣エクスカリバーに収束しているシャーロットさんだ。

 魔力が一か所に集まっていることで、輝くような金色の光が彼女と刀身を包み込んでいる。

 これが俺たちの狙いだ。

 俺がギルダスを相手にヘイト役を引き受けていたのはシャーロットさんがエクスカリバーに魔力を込め、必殺の一撃を放つまでの時間稼ぎをするためだった。


「オォオオオオ!」


 本能的に危機を察知したギルダスは鬼の形相でシャーロットさんに向かって間合いを一気に詰めていく。


「マテリアルバインド!」

「ホーリーバインド!」

「ぐぅうう!」

(まだこんな力を残しているのか?)


 そこへロリエさんとメリスさんによる魔法で生成された青や白の鎖が地面から生え、ギルダスの四肢を拘束する。


「こんなもの———グッ!」


 もがくギルダスの背中に命中したのは俺が放った“破魔光の矢”であり、刺さった箇所を中心に浄化の光はその身体を包み込んでいく。


「ぐわぁあああああ!」

(クソッ!このままでは……)


 次第に押されていることを悟ったギルダスの表情には焦燥感が浮かび始める。

 次の瞬間。


「ギルダス!」

「むっ!?」


 声がしたのは上空であり、その声の主は空高く飛び上がったシャーロットさんだ。

 勢い良く落下しながら、エクスカリバーを上段で構えている。

 そして遂に……。


「天聖斬!」

「うぉおおおお!」


 拘束から力技で抜け出したギルダスの斧と金色の光を纏ったエクスカリバーがぶつかり合う。

 武器同士がぶつかり合う音が響いた三秒後。


(ちく……しょうが……)

「ハァアアアアア!」

「ぐわぁあああああ!」


 シャーロットさんのエクスカリバーによる袈裟切りはギルダスの斧を押しのけ、その身体を深々と斬り裂いた。

 ダメージを重ね過ぎたのか、ギルダスは力なく、仰向けで倒れ伏す。


「はぁ……はぁ……」

「ガハッ!グフッ!」


 渾身の一撃を放ったシャーロットさんは肩で息をしており、ギルダスは倒れたまま動けず、魔族特有の黒い血が滝のように身体から流れており、口からも激しく吐血している。

 俺でも分かる。どんなにタフネスが優れていようと、あれは致命傷だ。


「シャーロットさん!」

「「シャーロット!」」

「皆……」


 すぐに俺はシャーロットさんの下に駆け寄り、ロリエさんとメリスさんも同じく集まる。

 その時だった。


「うぐっ!」

「リュウト?」

「大丈夫です。ちょっと……」


 <五感操作(センス・コントロール)>で触覚を鈍くしていたけど、解除して数分後、身体に痛みが走った。

 ギルダスが斧の柄を活かした鋭い突きを鳩尾に受けてしまい、その時にあばら骨数本が折れ、内臓の一部が潰れているかもしれないようなダメージを受けていた。

 思わずその部位を抑える。


「失礼します。ハイキュア!」

「メリスさん?」

「じっとして下さい。さっきまで気になっていたんですよ。ギルダスの打突を受けて無事なのかって!」


 するとメリスさんが回復魔法のハイキュアを掛けてくれた。

 そのお陰で、一気に楽になったような感覚になっていく。


「あっ。何だか、大丈夫な気がしてきましたね」

「あくまでも応急処置ですから、変に動き過ぎないようにしてくださいね」

「はい……」


 きりっとした表情で言い切るメリスさんに俺は低姿勢にならざるを得なかった。


「はぁ……はぁ……」

「ギルダス」

「くっ。ふっふっふ……」


 一方、立ち上がるどころか、反撃の素振りを見せることもできなくなったギルダスは自嘲しているかのように笑みを零している。

 向いた視線の先にいるのは俺だ。


「リュウト、だったか?」

「あぁ。そうだ」


 ギルダスの問いに俺は答える。


「俺も長い間、勇者を始めとする様々な戦闘者と戦ってきた。その中にレンジャーもおり、シャーロットが率いる勇者パーティの一員であったクラークもレンジャーだった。前衛に出るジョブでないにもかかわらず、とても勇敢であった。だが、貴様は勇敢であったことに加え、類まれなる才能の持ち主であったと受け入れるには充分な姿を見せてくれた。お前のような男は初めてだ」


 そう言うギルダスは諦観と清々しさが入り混じったような表情をしている。


「勇者を含めて気を配っていたつもりだったのだが、リュウト……だったか?お前との戦いに夢中になってしまったがためにこうなったのかもな。いや、勇者でもない、一介のレンジャーでありながら、俺にそんな気持ちにさせてしまうだけの才覚があるのだろうな」

「……」

「数もそうだが、あの時に勇者たちとやり合ったよりも有利だと思ってしまったのが最大の慢心だったのだろう。最初からリュウトが傑出しているだろう才能を持ったレンジャーであることを見抜けていれば、また違う未来があったのだろうな……。ゲフッ!実際、斧の柄による突き以外で有効打を与えることが叶わなかったのだから……。大した者よ」

「そう……。そうなんだ……」


 言葉を並べるギルダスだが、不意打ちで仕掛けようとする素振りが全く見えなかった。

 本当に動けないのだろうけど、負けを認めているって本気で感じさせる。

 そこにシャーロットさんがエクスカリバーを手にしながら、死に体となろうとしているギルダスの下に歩む。


「勇者よ。先の戦いを含め、俺と勇者パーティの戦いは……俺の負けだ。もう、俺が復活する見込みもあるまい……」

「ッ!」

「だが、俺が死ぬことによって、魔王軍は更なる本気を見せることとなるだろう!その時こそ、勇者パーティ……いや、人類が滅び、魔王軍が世界を征服する時代を迎えるだろう!その瞬間が現実となることをあの世から見届けてやる!フハハハハハッ!」


 ギルダスは言いたいことと開き直るような高笑いを上げるのだった。


「魔王軍!万歳!魔王軍!バンザ———」


 シャーロットさんはエクスカリバーをギルダスの心臓に突き立てる。

 そして、完全に動かなくなったギルダスの身体は足元からボロボロと崩れるように、黒い塵となって霧散するのだった。


その時、俺たちを覆っていた亜空間が消えていく。


「ソフィア副隊長!」

「リュウト!」


 俺たちの目の前に映ったのは亜空間で閉じ込められてから短いようで長く、長いようで短い間に離されていたソフィア副隊長たちだった。


 ゾバルと言う魔族との戦闘は勝利に終わったようで何よりだ。

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