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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第二章

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第56話 因縁の戦い

勇者パーティ(+リュウト)にとって因縁のある魔族と戦います!

「おや~?勇者パーティの内三名は亜空間に閉じ込めたのですが、一人だけ外に出てしまっていますね」

「「「……」」」


 ゾバルは取り繕うような苦笑いを見せながら首をかしげている。

 勇者パーティの四人中三人と俺はゾバルによって作られた亜空間に閉じ込められたものの、そのメンバーの一人であるジャードさんだけが外にいるままだ。

 他にはソフィア副隊長たち遊軍調査部隊の面々がいる。


「貴様!勇者たちを!リュウトをどうした!?」


 そこへソフィア副隊長が強い口調で問い詰める。

 するとゾバルが口を開く。


「ご安心を。勇者パーティの三名とそのリュウトとやらはあの空間の中にいます。閉じ込められたら死ぬこともなければ、状態異常に陥るなんてことはありませんのでご安心を。むしろ外部からの邪魔が入らないようにするためのモノですから」


 殺気立つソフィア副隊長たちをよそにゾバルは芝居がかった口調で説明している。


「勇者たちがあの亜空間から抜け出す方法は一つ。それはギルダス様を倒すことだけです。大変シンプルでしょう」

「ぐっ!」

(確かにシンプルであるけど、相手はあのギルダスだぞ!前にやり合った時も痛み分けで終わったんだ。亜空間に俺がいない状態でシャーロットたちだけで戦わせるのは厳しすぎる)

(リュウトも魔族と化した人間を倒したことがあるのは知っている。だが、あれとは違ってギルダスは純正な魔族だ。いくらリュウトでも勝つどころか勇者パーティのメンバーの力になれるかどうか分からない。それに、あのゾバルが起動させたのであれば、奴を倒せば強制的に解除できる可能性もある。コイツをすぐに始末すれば、あるいは……)


 ジャードさんとソフィア副隊長はゾバルの話を聞いて歯噛みしている。

 タンクの役割を持つ人物がいない状況でギルダスと戦うのはシビアだと予想できてしまった。


「ギルダス様ならば勝つでしょうけど、こちらも始末しておきましょう。厄介事は潰しておくに限りますからね」


 そう言い切るゾバルは身体中からどす黒い魔力を噴き出しながらソフィア副隊長たちと向き直るのだった。


◇———


「ビルドアップ!」

「オラァア!」

「ハァア!」

「ロリエ、今のうちに!」

「分かってるわ!」


 ゾバルによって生み出された亜空間の中ではシャーロットさんはギルダスと切り結んでいる。

 メリスさんの補助魔法による身体能力の強化を受けたシャーロットさんの聖剣エクスカリバーとギルダスの禍々しい斧がぶつかり合う度に響くのは鋼が弾ける音。

 ロリエさんとメリスさんはその間に強力な魔法を撃つための詠唱を始めている。

 初っ端から凄まじい戦いだ。

 だけど、それだけじゃない。


「シュッ!」

「ハァアッ!」


 俺も隙を突くように弓矢を放つも、ギルダスは斧の柄でいなしながら、シャーロットさんの剣戟も容易く受け止めている。


「良い腕をしたレンジャーがいるな!だが、これじゃあ、あのクラークって野郎と大差ないぜ!」

「くっ!」

「ホーリーシールド!」


 ギルダスは嘲るような言葉と共に斧を振るうと、強烈な衝撃波を放ち、シャーロットさんを吹き飛ばす。

 俺とロリエさんはメリスさんの聖属性魔法を帯びた魔力障壁によって守られたものの、一撃でヒビが入ってしまった。

 とんでもない破壊力なのは誰の目で見ても明らかだ。

 だが、次の瞬間。


「ドラゴンブレス!」

「ぐぉおおおおお!」

(どう?)


 ロリエさんの握る杖の先端に光る球と同時にギルダスの身体を容赦なく焼かんばかりの火炎が放たれた。

 必殺級の魔法を受けて、早くも終止符を打てたと思ったけど……。


「ガァアアアアア!」

「「「「ッ!?」」」」

「悪くねぇ一発だけどな!これくらいで沈む俺じゃねぇえんだよ!」

(嘘でしょ?効いてなくはないと思うけど、勢いが止まらない!)

「ホーリーシールド!」


 ギルダスは強力な一撃を受けても尚、空気や地面を抉るような斧を振るっていく。

 その衝撃波がロリエさんを襲うも、メリスさんが再び防御する。

 肩書や風貌のせいで勘違いしていたけど、ギルダスは闇雲に武器を振るうだけの単純な猪突猛進タイプではなく、シャーロットさんの剣技を真正面から相手しても遅れを取らずに苦も無く捌いていることから、洗練された戦士のように技術も研ぎ澄まされている。

 おまけに図体に反して機動力も高い。

 勇者パーティですら厄介に思う理由が何となく分かる気がしてきた。

 魔王軍の幹部格の全員がこんなに強いのかって思うと、ゾッとせずにいられなくなりそうだ。


「回復した時の恩恵もあってか?ハハハハハハ!あの時よりも力が漲って仕方がねぇえ!ここで勇者パーティのメンバーをぶち殺しておけば、更なる力と地位が約束されるのは確実だ!さぁ!ここで果てると共に俺の糧となることを誇るがいい!」


 戦闘を心から楽しむような笑みと共に縦横無尽に斧を振るうギルダスの姿はまるで狂戦士と言ってもおかしくはなかった。

 俺とシャーロットさんは攻撃を見切りながらどうにか回避している。

 <感覚操作(センス・コントロール)>で視力を向上させていなかったら、直撃する確率が大だ。


「フンッ!」

「グゥウウ!」

(どうだ?)


 俺は間隙を縫うようにギルダスの腹部や胸元に“爆撃の矢”を一本ずつ命中させると、当たった箇所が爆発した。

 舞い上がった黒煙が晴れていく。


「爆発する矢を二本同時に撃てるとは、やるじゃねぇか!だが、まだまだ足りないな!」

「クッ!」


 ギルダスの身体は爆発を受けて表面は火傷を負っているものの、まだまだ倒れる様子が見えない。

 すると、ギルダスが俺に視線を送る。


「……」

「なるほど。コイツは面白そうなレンジャーだ」


 獲物を見定めるように不敵な笑みをこぼしながら、ギルダスは斧を担ぎ直す。

 そして……。


「どれほどの力なのか、見てやるよ!」


 ギルダスは地面を蹴り砕かんばかりの踏み込みで俺に迫る。

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