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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第二章

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第54話 進行する者たち

「全員、準備はいいか?」

「「「「「ハッ!」」」」」


 俺たちはセラスフォリア王国の国境付近にある近くの道にいる。

 目的地は神武具が収められているとされる神殿があり、俺たち騎士団と勇者パーティは今まさに向かおうとしている。

 先行警戒は俺とシーナさんで済ませており、その時の状況をソフィア副隊長にも報告しておいた。

 俺たちは気合いを入れ直し、勇者パーティのリーダー格であるシャーロットさんたちもやる気に満ちている。

 それから俺たちは神殿へと歩を進めていく。


「いよいよ突入だな」

「はい……」

「そうですね」

「やはり緊張するか?」

「しているかしていないかで言えば、しています」

「僕もです」


 やはりと言うべきか、俺以外のアンリやトロンら若手勢は表情の強張りを隠し切れていなかった。

 シャーロットさんたちもいるから戦力そのものは十分と言っても、初めてのことには不安が付き纏うモノだ。

 ベテラン勢でさえプレッシャーを感じるのに未経験者ならば余計にだ。


「ですけど……」

「ん?」


 するとアンリが口を開いた。


「こうして遠征に行く機会をいただけましたので、私は成長の機会と捉えるようにしています。一皮剥けてやるって気持ちで頑張ります!」

「そうか」

「僕も。そう考えて取り組みます」

(それに、リュウトさんが一緒なら……できそうな気がするんだよね……)


 アンリやトロンはやる気を見せている。

 気力は充実しているようだな。


「全員、止まれ!」

「「「「「ッ!?」」」」」


 ソフィア副隊長が制止の指示を出した。

 それに応えるように俺たちもピタリと止める。


「副隊長、ここが?」

「ええ」


 ゾルダーさんの確認に対し、ソフィア副隊長が険しい表情を見せる。

 一見すると何も無いような道のように思えるが、実はそうではない。


「先行警戒で発見したトラップが仕掛けられているポイントよ」


 出発前に俺はシーナさんと一緒に先行警戒へ出ており、俺の<感覚操作(センス・コントロール)>と<魔力確認(マナチェック)>を併用することで微弱な魔力の流れを正確に探知し、地面に仕掛けられているトラップを把握しておいたのだ。


「リュウトたちの報告によると、黒い魔力と思しき瘴気を感じたとのことだ」

「黒い魔力。魔族ですか?」


 ソフィア副隊長とゾルダーさんは周囲に聞こえにくいように小声で話している。

 他のメンバーを不安にさせないための配慮だろう。


「こちらが先ほど話されておりました場所ですね」

「ッ!?」


 そこへ勇者パーティの一員にして、聖女のメリスさんが歩み寄って来た。


「魔族の魔力でしたら、わたくしの聖属性魔法による浄化を行えば、トラップを機能不全にすることが可能ですよ」

「よろしいのでしょうか?」

「はい。このままですと、別ルートを利用して迂回する形となってしまいますので、タイムロスになってしまいます。このまま進むにはわたくしとできれば……。魔力や気配の感知に長けた方のご協力もあれば良いのですが……」

「それでしたら……」


 そこでソフィア副隊長は口を開いた。


「リュウト。力を貸して欲しい!」

「ハイッ!」


 俺は言われるや否や、飛び出るようにソフィア副隊長の近くに現れ、目の前にはメリスさんがいた。

 更に言えば、すぐ近くにはシャーロットさんを含めた勇者パーティの面々もいる。


「遊軍調査部隊に所属して日は浅いながらも、才能やセンスに溢れる方だと存じ上げております。どうかお力を貸していただければと……」


 お辞儀一つ取っても、メリスさんの誠意が伝わってきた。


「大丈夫ですよ。是非とも協力させていただきますので!」

「ありがとうございます!」

「は、はい。最善を尽くせればと思います」


 俺はメリスさんと共に解決に乗り出す。

 トラップの発生源は俺が見つけ出し、メリスさんが黒い魔力を浄化していく。

 それから一分ほどが過ぎた頃だった。


「お待たせしました。これで問題なく先に進めます」

「おぉお。そうか。ありがとう」


 全員に伝えられたのは、何の問題も無しに進める報せだった。

 改めて歩を進めることになった俺たちは神殿へと向かっていく。

 ここから先は俺と勇者パーティの面々が先頭を歩いていくことになった。

 事前にルートは確認しているものの、実際にどんなトラップやイレギュラーがあるか分からないからな。


◇———


 俺たちが順調に進んでいる頃、地下では複数の暗部が動き出していた。


「ご報告です。勇者パーティを含めた集団はこちらに向かっております」

「ありがとう。引き続き、見張りを続けてね」

「はっ!」


 報せを受けた一人の女の声を聞いた部下らしき人物は速やかにその場を去った。


「失礼します。お身体はいかがでしょうか?」

「おう。とても気分が良い。あの忌々しい勇者に付けられた傷も大分癒えてきた」

「それはそれは。喜ばしい限りでございます」


 男の安否を確認しているのはシェリーであり、社交性を感じさせる笑みを浮かべている。


「コイツのお陰で予想していた以上に回復が早まったぜ。メーディルには感謝だな」

「そのようにご報告いたしますね」

「頼んだぜ。フフフフッ。久々に暴れさせてもらうとしよう」


 金魚鉢のような大きな球体に浸されていた三メートル近くはあるだろう筋骨隆々の体躯から伸びた深緑色の長髪を垂らす色黒で強面の男は揚々とした振る舞いで出てくるのだった。

 男は袈裟切りを受けたであろう傷に拳を据えながら言葉を発する。


「勇者によって受けたこの傷と屈辱、今度こそ晴らさせてもらおう。それを阻む者は誰であろうと全て、この俺が蹴散らしてくれよう!フハハハハハッ!」


 その名前はギルダス。かつて勇者パーティと交戦した魔王軍幹部の一人である男だ。

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