第42話 【Sideリリナ】お姉ちゃんとのお話
久々にリリナ視点のお話です!
「お姉ちゃん、身体は大丈夫?」
「ええ。平気よ」
「もしも体調に異変を感じましたら、すぐにお申し付けください」
「ありがとうございます」
私は生まれ故郷であるクリナスから王都へ向かっている。
馬車の中にいるのは私の唯一の肉親であるエマお姉ちゃん、エレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊の第六班の副班長を担うシーナさん、その部下であるアンリさんら女性の隊員数名、そしてこの私だ。
両脇には班長のゾルダーさんや隊員のトロンさんら男性陣が固めている。
その中には、かつての仲間だったリュウトの姿もある。
私が遊軍調査部隊の方々と一緒に王都へ行くのはお姉ちゃんの病気を治すためだ。
お姉ちゃんの病気は町のお医者さんでは治せないほどの難病であるものの、エレミーテ王国の聖女であるセアラ様ならば治せるとのことであり、私は希望を抱いている。
「それにしても、昨日飲んだポーションが良く効いているからなのかな?一昨日までの体調の悪さが嘘みたいに感じなくなったのよ」
「あれは聖女様が作られた特製のポーションなのよ。効くに決まっているじゃない」
「うふふ。それもそうね。それにしても……」
「何?」
楽しく談笑していた姉が好奇心を交ぜた不思議そうな表情を見せ、私はそれが気になって問い掛けた。
「リリナが聖女様と繋がりを持っていたなんてビックリだわ」
「あ~。それはね。いろいろあったのよ」
「ねぇ、リリナ」
「どうしたの?」
「今までは手紙でしか知る術が無かったんだけど、リリナが冒険者としてどんなことを経験したのか、こうして話す機会が無かったわね。聞かせてもらっていいかしら?」
病気のせいで外に出る機会が少なかったお姉ちゃんは興味深そうにしており、馬車による旅の暇潰しの意味も含めて話すのだった。
私が町を出てから冒険者としてどんなことをしてきたのかや近況についてまでを。
「そうなんだ。王都で起きた事件を解決することに貢献できたから聖女様と縁ができたって訳なのね」
「そんなところかな?」
お姉ちゃんは私の話を聞き終えると、今の私を取り巻く状況にも納得できたような表情を見せた。
「王都が奇襲された事件においても、重傷を負ったあたしを回復魔法で助けてもらいましたし、傷を負った住民や隊員たちの治療も手伝ってくれました。彼女がいなかったら、死者を出していた可能性もありましたね。他の隊員から聞いたのですが、前線で戦う者たちにも補助魔法によるフォローで支えたとのことですよ」
「まぁ。そんなことが」
「……」
シーナさんがその時の状況や後にかき集めた情報を手繰り寄せながら説明と称賛をしてくれた。
確かに私はその時、目の前にいるシーナさんが怪我した時や所定の場所に運ばれた人たちの治療活動にも当たっていた。
それだけでなく、出現したキメラの集団を相手取った騎士団の方たちや冒険者たちの援護の意味で前線維持にも役立つように立ち回った。
その働きぶりについては高く評価されているって話になっているらしいけど、こうして持ち上げられてしまうと反応に困る自分もいる。
「私、嬉しく思っちゃうな。Aランクまで駆け上がっただけじゃなく、騎士団の方々のお役に立つような成果を挙げるなんて。姉である私も鼻が高いな」
「お姉ちゃん」
お姉ちゃんもこう言うもんだから、尚更だ。
何て言えばいいか、あの時の私はいろんな意味で必死だった。
王都に住まう人たちや冒険者たち、騎士団の方たちを助けることや戦う者たちの力になることで頭がいっぱいだった。
最終的にはリュウトたち騎士団の奮戦のお陰で事なきを得られた。
そのことを功績として評価された私は国王陛下と謁見の末、お姉ちゃんの病気を治す一助を賜ることになったのだ。
「リリナ。もしも私の病気が完治したらさ……。また一緒に暮らさない?」
「え?」
「もちろん、あなたがそれを望んでいたらの話なんだけどね」
ふと、お姉ちゃんは私と一緒に暮らすことを望むような言葉を口にした。
私は少なからず驚いた。
「あなたが所属している『戦鬼の大剣』については聞いているし、今どうなっているかも分かっているつもりよ。まだ冒険者をしていたいなら私は止めないけど、リリナの意思を尊重するわ。でも、私はできることならあなたと……」
「お姉ちゃん」
お姉ちゃんには今の私を取り巻く環境、特に冒険者関連の話は昨日しておいた。
正直に言って、今の『戦鬼の大剣』はボロボロだ。
リーダー格だったガルドスは魔族に身を墜とした末にリュウトとの戦いで死亡、ビーゴルは冒険者に復帰するのも難しいほどの重傷、そのガルドスを破滅させる大きな要因となったシェリーは行方を晦ませており、騎士団が現在も捜索しているとのことだ。
もう一人の女性メンバーであるアキリラと私は問題ないものの、Aランクパーティとしてやっていくには戦力が充実しているとは言えない。
声を掛けてくれるAランクパーティは見つからない可能性を考えれば、いっそのことって考えてしまう自分がいるのも確かだ。
「そうだね。でも、まずは王都に向かうのが先だから、それからのことは後で考えてみるよ」
「分かったわ」
ひとまず、お姉ちゃんと暮らすかどうかは保留になった。
「それにしても、外にいる元仲間で騎士団の一員となった、あの彼。リュウトさんだっけ?」
「うん。リュウトがどうかしたの?」
するとお姉ちゃんが馬に乗っているリュウトを馬車の窓から見やっており、私はそれに頷いた。
「手紙でも知ったけど、リュウトさん。リリナのために、いろいろと助けになってくれたのよね?今回の護衛もそうだけど、冒険者時代の時でも……」
「うん。リュウトには何度も助けられたからさ。『戦鬼の大剣』時代の時だけじゃない。今だって……」
今となってお姉ちゃんの病気が治るなんて奇跡のような話なんだけど、そのきっかけを得られたのは……リュウトがいたからなんだって思うんだよね。
だから、リュウトと出会わなかったら、こうしてお姉ちゃんと明るく話もできなかっただけに、感謝しているくらいだから。
「波乱万丈なことも多くあったけど。リュウトが仮に私のことをどう思っていようとも……。私にとってはかけがえのない仲間よ。それは今も。これからも変わらないよ」
「「「「……」」」」
なんて言ってみたけど、その言葉に嘘は無い。
リュウトがいなかったら、危ない場面もたくさんあったし、存分に力を振るうこともできたんだ。
袂を分かつ羽目になったけど、それでもリュウトは私にとって大切な存在であるのは間違いない。
だから、リュウトに恥ずかしくない生き方をしようって心から思う。
「そうですよ!リュウトさんは本当に立派な人ですから!」
「え?」
「ちょっ?アンリ?」
そこへ隊員の一人であるアンリさんが興奮したように口を開いた。
「リュウトさんは本当に凄くて素敵な方ですよ!先の王都の事件もそうですけど、貢献度や働きぶりは部隊の皆が一目置いているんですよ!だから……」
そこからはアンリさんのリュウトの素晴らしいところを語りまくらんばかりの談議みたいな話になり、更にはシーナさんや他の隊員たち、そして、ついつい乗っかる私なのであった。
王都に着くまで、馬車にいる女性陣でリュウトの良いところを語り合う話で花を咲かせまくったのは、ここだけの話だ。
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