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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第一章

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第41話 リリナのお姉さん

リリナのお姉さんが登場します!

 エレミーテ王国の国王陛下であるルーフェン・フォン・エレミーテ様との謁見から三日後のことだった。

 俺たちは騎士団が保有する馬車である町に向かっている。


「あれがリリナの生まれ故郷か?」

「うん。もうすぐ一年が経とうとするくらいになるかな……?」


 それはクリナスと言う町であり、かつての仲間だったリリナの故郷だ。

 広さは中規模くらいであり、王都とは違って華やかさとは縁遠いながらも、緑豊かで空気が美味しく、暖かさを感じさせる町だ。

 王都から馬車で一日半かかったものの、俺から見ても良い町だと思う。


「おい。あれってエレミーテ王国騎士団の馬車だよな?」

「この町に何か用があるのかな?」

「近くで見るとカッコイイ!」


 馬車を見た町の人たちからは何事かと注目されているものの、まっすぐ目的の場所へと向かっていく。


「いやはや、エレミーテ王国騎士団の遊軍調査部隊の皆様。この度は我が町までご足労いただき、誠にありがとうございます」

「こちらこそ、お出迎え感謝します」


 辿り着いたのはクリナスにある一軒の治療院であり、そこの院長さんが俺たちを出迎えてくれた。

 俺が所属する第六班の班長であるゾルダーさんが挨拶と握手を交わしている。

 ちなみに、今回は第六班の面々で来ている。


「久しぶりだね。リリナ」

「院長先生、ご無沙汰しております。お変わりないようで嬉しく思います」


 リリナは院長さんと久々の再会を嬉しく思っているのか、柔らかな笑顔を見せた。

 それから会話もほどほどに、俺たちは中へ通された。

 但し、余りに大人数で押しかけるのも迷惑になりかねないため、入るのは俺とリリナ、ゾルダーさんの三人だけにして、副班長のシーナさんやアンリ、トロンたちは外で待機することになった。


「それにしても、しばらく見ない間に随分と雰囲気が変わったね~。綺麗にな…じゃなくて、逞しくなったって言うか……」

「そんな。滅相もございませんよ」


 何かいかがわしいような言葉を聞きそうになった気もするけど、ここはスルーしよう。


「それにしても、リュウト君。まさか冒険者からエレミーテ王国騎士団の遊軍調査部隊の一員になっていたなんてね。本当に驚いたよ」

「ええ。まぁ、本当にいろいろありまして……」

「そうだね。冒険者を続けていると、そんなこともあるからね!」


 俺のことはリリナが定期的に送っている手紙でその存在を把握しているようだった。

 俺が騎士団に転職したことは会って初めて知ったのもあり、遊軍調査部隊の隊服に身を包んだ俺を見た時は大層驚いていたな。

 雑談混じりに廊下を歩いていると、一つの部屋の扉に着いた。


「ここに来るのも久しぶりですね」

「話は通してあるから、安心していい」

「はい。ありがとうございます」

「リリナ」

「うん」


 俺はリリナやゾルダーさんの目を見て、準備万端であることをアピールする目線を確認した。

 ノックをした後に「はい」と声を聞いた後、ゆっくり扉を開けた。

 そして、リリナが口を開く。


「久しぶりだね。お姉ちゃん」

「リリナ?」


 個室とは聞いているが、ほどほどな広さの部屋の中にあるのは必要最低限の家具と命を繋ぐのに必要な医療効果を持った魔道具の数々であり、それらを除けば殺風景だった。

 そのベッドの上で上半身だけ起こしている白さを交えた青いロングヘアをしている容姿が整っているとは思うものの、入院着から覗く四肢が少しばかりか細い女性がいる。


「まさか、会いに来てくれるなんて思わなかったよ。リリナ」

「お姉ちゃん!」


 その人物こそ、今回クリナスを訪れる要因となっている人物であり、リリナの姉である、エマ・エスタルさんだ。

 リリナはエマさんと少しの会話を交わすのだった。


「ところで、リリナの後ろにいる方たちって?」

「うん。エレミーテ王国騎士団の遊軍調査部隊の皆様だよ」


 エマさんの質問に対し、リリナが答え、こうなっている経緯を教えていた。

 そう、俺たち遊軍調査部隊がここに来たのは、エマさんを安全に王都まで送る任務を果たすためなのだ。

 難病に悩まされているエマさんの病気を治すために……。


「初めまして。私はエレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊の第六班の班長を務め、今回の護衛任務の責任者を担うゾルダー・ブルガンと申します。エマ殿を安全に王都へ送れるように努めていく所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます」

「は、はい。どうも……」


 ゾルダーさんが自己紹介をした後、その後の予定についてエマさんに説明を行った。

 王都に着くまでどれだけの時間がかかるのか、その間のケアはどうするのか。

 細かい部分まで説明していった。


「そうですか。何から何まで、本当にありがとうございます」

「いえ、とんでもございません」


 こうして、エマさんとの話が纏まっていくのだった。

 結果、明日の早朝に出発することが決まり、万全を期すため、俺たちは町の方々が用意してくれた宿屋で一泊する流れとなった。


◇———


「田舎町の宿屋にしては良い部屋じゃないか」

「リリナも言っていましたけど、町の中で一番大きくてサービスの行き届いているらしいですよ。実際に俺もそう思っていますから」

「普段過ごしている隊舎にいるみたいです」


 俺はゾルダーさんやトロンと一緒の部屋で寝ることになった。

 食事を済ませたのもあって、早めに寝ようとした時、ノック音が鳴った。


「はい?」

「シーナです。ゾルダー班長。リュウトはいますか?」

「シーナ?おう、いるぞ」

「そうですか。失礼します」


 声の主はシーナさんであり、俺は近くまで歩み寄った。


「シーナ副班長。何か?」

「あぁ、リュウト。宿屋のロビーにリリナが来ているから知らせに来たんだ。アンタと話したいことがあるってさ!」

「リリナがですか?」


 そうして俺がロビーまで向かうと、シーナさんの言う通り、リリナが待っている。


「リリナ?」

「ごめんね。こんな時間に押しかけて」

「それはいいって。どうしたんだ?俺に話があるって?」

「あ、うん。大した話じゃないんだけど……」


 立ち話も何なのもあって、俺は宿屋に併設されているカフェで話を聞くことになった。


「どうしたんだ?」

「あのね。その……」


 ハーブティーを口に含ませながら、少しの間だけ押し黙った。

 それからして……。


「本当にありがとうね。姉の護衛任務にリュウトたちが力を貸してくれてさ」


 ありきたりな感謝の言葉だった。


「そんなことかよ。いいって、仕事でやってるんだしさ。それに、国王陛下の褒美として、エマさんの病気を治すための一要素でもあるんだからな」

「うん、そうなんだけどね」


 今回のエマさんを王都に移送するための護衛任務なのだが、それはリリナのお願いによるモノだ。

 先の王都が奇襲された事件において、トラブル解決に一躍買ったリリナはエレミーテ王国の国王陛下であるルーフェン・フォン・エレミーテ様による褒美を賜ったのだ。

 その褒美の内容とは「難病に罹っている姉の治療を受けさせたい」と言うモノであり、それを快諾された。

 聖女のセアラ様による聖属性魔法による治療を約束しており、そのためにはリリナのお姉さんであるエマさんをクリナスから王都に運ぶ必要がある。

 そこでその役割を与えられたのが俺たち遊軍調査部隊の第六班であるのだ。


「それにしても、エマさんの病気が再発したって初めて聞いた時はビックリだったぞ。それも俺が『戦鬼の大剣』にいた頃からさ!」

「うん。自分の家族のことは自分でどうにかしなきゃって気持ちもあったからさ」

「相談してくれれば、俺も治療費の一部を工面したぞ!」

「それは……。その、ごめんなさい」

「いや、謝って欲しいんじゃないけどさ!」


 会話や気持ちがヒートアップしかけたものの、カフェで騒ぎを起こすのはマズいので、すぐに落ち着いた。


「でも、本当にありがとうね。この借りはいつか、必ず返すから」


 リリナは俺に感謝の言葉を送った。

 そして、俺も伝える。


「別にいいさ。ただ、一つだけ俺と約束して欲しいことがあるんだ」

「約束?」


「これからは困ったことがあれば、何でも相談しろ。もう、隠し事は無しだからな!」

「うん!」


 こうして、俺とリリナの細やかな一時を過ごしたのだった。

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