第4話 合否の結果は?
どんな組織で仕事しようにも、面接は外せませんよね。
「なるほど。十五歳から冒険者稼業を始めてから今日に至るまで、Aランクパーティを方向性の違いから脱退し、懇意になっているギルドの職員の勧めでエレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊の仕事を紹介されてここに来て、今に至るわけか……」
「はい」
「それでその道中でアンリとトロンがマッドオーガに襲われているところを助け出したってことですね……」
「はい。間違いありません」
「ふむ。それで次に聞きたいことがあるんですが……」
俺はエレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊の採用試験を受けている。
試験官は同隊の副隊長を務めているソフィアさんであり、マッドオーガに襲われていたところを助けたアンリの実姉でもある。
採用試験の一つである面接試験は遊軍調査部隊を志願した理由はもちろん、これまでの冒険者としての活動や実績、趣味や嗜好まで様々な種類の問答を交わした。
「ジョブはレンジャーであるあなたに対し、最後に私から一言だけ伝えたいが、よろしいでしょうか?」
「はい」
「遊軍調査部隊に所属している半数近くの隊員はレンジャーやシーフであり、あなたの経験を活かせるのは間違いないでしょう。ただ、知っているとは思いますが、この部隊の仕事は騎士団全体の多岐に渡るサポートを担っています。そのため、前線で戦う騎士たちと共に戦場や遠征へ出ることも珍しい話ではありません。何が言いたいかとは、我々の部隊は戦闘とそのフォローを高いレベルでこなせるもしくはそれを意識して目指そうとする人材が欲しいと思っています。求められる要素も多く、仕事も忙しくなるのは必然ですが、命の危険性だって伴います」
「……」
そう言うソフィアさんの表情は鋭い眼をしながら俺を見つめている。
『命』という言葉を聞いた俺の表情も引き締まる。
「それでも……我々の部隊で責務を全うする自信がありますか?」
そして、まるで野生の獲物を狙わんばかりの顔つきとなったソフィアさんに対して俺の出した答え。
「あります。元より、そのつもりでここに来ましたから」
「「……」」
覚悟を決めた言葉と表情を見せる。
沈黙が続いた数秒後……。
「ふふ、気に入ったよ。覚悟と気概の込められた良い顔だ」
「え?」
何とソフィアさんはパンパンと拍手をしながら固くなっていた表情を自ら緩ませた。
先ほどまで丁寧だった口調も急に砕けている。
緊張感が張り詰められた空気から一転、少しだけ拍子抜けしたような気持ちになった。
「結果から言わせてもらう。リュウト・ドルキオス。合格だ」
「ッ!?」
ソフィアさんから伝えられたのは合格の言葉だった。
「紹介状に添付されている資料に記載されている通りの実績ならば、今後の調査や情報収集は当然だが、王族を始めとする貴族の護衛でも貢献してくれると私は思っている。それに、冒険者としての知識や知恵、経験は必ず役に立つとも見ている。ウチの部隊にもそういった人材が欲しいと思っていたからな」
「ど、どうも……」
「何より。あなたは私の妹を救ってくれた恩人だ」
「ソフィアさん」
「と言うことで」
ソフィアさんは立ち上がった。
「改めて自己紹介を。私はエレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊の副隊長を務めているソフィア・ルーテスだ。これから共に頑張っていこう。リュウト!」
ソフィアさんは受け入れんばかりの気持ちを見せながら、手を差し伸べてきた。
俺もスッと立ち上がり、向き合う。
「はい。よろしくお願いします!」
こうして、この俺。リュウト・ドルキオスはエレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊の一員となることが決まるのだった。
◇—————
「ふう。何とか合格できたな」
俺は王都にある宿の一室を借りる事となり、一泊する事になった。
テーブルには遊軍調査部隊の一員であることを示す隊服が折り畳まれている。
いつから勤務できるかどうかをソフィアさんに質問された際、早く仕事に就いてお金を稼ぐ手段が欲しかったのもあって、「明日からでも行けます」と言ったらそれで決まり、翌日に改めて訪れる流れとなった。
本来ならば遊軍調査部隊の隊長も紹介及び面接の担当をされるはずだったのだが、現在はエレミーテ王国の国王陛下の外交に部下を引き連れて同行しているため、会えず終いとなってしまった。
「近日中に戻って来る」とソフィアさんに教えられ、その時に紹介してもらえることとなった。
帰り際にアンリと出くわして結果を伝えた時は凄く喜んでいた。
そんなに嬉しいのかな?なんて思ったりもした。
「まさか俺が冒険者から騎士団に転職するとはな……。人生って何が起きるか分かったもんじゃないな」
そう呟きながら俺は冒険者時代の日々を思い返していた。
駆け出しの頃。
初めて魔物の討伐に成功した瞬間。
ランクが上がったお祝いに朝まで飲み明かしたこと。
ダンジョンで宝箱を初めて手に入れた瞬間。
ガルドスたちから上質な武器をくれたこと。
あの頃は本当に楽しかった。
けど、Bランクに上がってしばらくしてからやたらと雑用を押しつけられるなど、俺への扱いが悪くなっていき、Aランクに上がってから最近のような雰囲気になって、遂に脱退を決めた。
そして、エレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊に入った。
「これから先……。どうなるかは分からないけど……」
ただ一つ、言える事はある。
「冒険者にしか味わえないロマンはあったけど、騎士団に入って国のために堂々と働く自分になるってのも……。悪くないかもな」
なんて未来予想図のようなイメージを描く自分がいるのだった。
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