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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第一章

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第37話 清算の謝罪

かつてのメンバーと和解していきます。

「お~い。支援物資が届いたぞ!どこに運べばいい?」

「向こうの方に置いてくれ!」

「ここを修理したいから、もう二、三人来てくれないか?」

「あぁ。俺が行く」

「俺も!」


 キメラの集団による奇襲と俺が魔族と化したガルドスとの戦いから三日が経った。

 襲われた王都は一部分が酷い有様になっていたものの、騎士団が主導していったお陰で少しずつ、確実に復興が進んでいる。

 壊れた建物を直す者。

 国から支給された物資をあちこちに運ぶ者。

 炊き出しを振る舞っている者。

 相当な事件が起きたにもかかわらず、皆が強く生きている。


「エメラフィールの人間たちは強く逞しいな」


 そう呟きながら復興作業を手伝う俺なのであった。


「ふぅう。こんな感じで大丈夫ですかね?」

「おぉお!上出来じゃねえか!お前さん器用だな!」

「どうも」


 壁が壊れていた小屋を直すのを手伝った俺はその持ち主の男性に褒められた。

 上手くできていることが嬉しいのか、男性は満面の笑みだ。

 自分で言うのもあれだけど、冒険者時代にはいろんな雑用を担ってきたからか、工作や料理などの手先の器用さが求められることは大方こなしていたからね。

 俺はあちこちで作業に当たっている人たちの力になっていく。


「リュウト。そっちはどう?」

「シーナ副班長。アンリも一緒か?」

「はい!」


 町中を歩いていると、シーナさんとアンリと出くわした。

 二人も巡回がてらで復興作業を手伝っている。


「シーナ副班長、お身体は大丈夫なんでしょうか?」

「ええ。お陰様でね。巡回や復興の手伝いくらいならば、問題ないってさ!」


 シーナさんは魔族となったガルドスをその場にいたアンリたち隊員を守るため、自らが囮となって戦い、その時に重傷を負ってしまっていた。

 同じく現場にいたリリナから回復魔法をすぐに掛けてもらっており、俺もあの後からの安否は心配していたが、命に別状は無かったと知った際にはホッとしたっけな。


「リリナだっけ?リュウトが前にいたパーティの僧侶。彼女の回復魔法の技量は大したモノよ。あたしの身体もこうして動かせるくらいに治してくれたし、傷ついた隊員や住民の治療も手伝ったんだってね」

「はい。そのようですね。リリナは俺が『戦鬼の大剣』にいた頃から回復魔法や補助魔法を活かした戦線維持を担っていましたから。俺も彼女にはよく助けられたものです」

「回復魔法が使える者がいるかいないかでパーティの安定感は大きく変わってくるからね」


 シーナさんはリリナのことを褒めながら、回復役の重要さを説いてくれた。

 かつては冒険者だったシーナさんらしい意見であり、隣にいるアンリも納得したような表情をしている。


「では、俺は他の仕事が残っているので」

「ええ。お疲れ様」

「お疲れ様です」


 俺はシーナさんやアンリと別れて仕事に戻った。


◇———


「悪い。待たせたな」


 俺は王都の門の近くである人物と会っていた。


「うぅん。待ってないよ」

「むしろ、ごめんね。仕事中に呼んじゃって」

「上司に事情を話したら、午後の仕事は休んでいいって許可を貰ったからな。大して心配することじゃないと思うぞ」

「そっか」


 その相手はかつて俺が所属していたAランクパーティ『戦鬼の大剣』のメンバーであるリリナとアキリラだ。

 リリナはともかく、アキリラは頬や腕に湿布が貼られ、包帯を巻いている状態だったが、歩き回れるくらいには回復しており、その腕には花束を抱えている。


「じゃあ、行くか!」

「「うん!」」


 俺はリリナとアキリラを連れてある場所へ向かった。

 そこは緑が映える草原の中に多くの十字架を模した墓石が多く並んでいる。

 墓石には葬られただろう人物の名前と生まれてから死ぬまでの期間、いずれも「○○ここに眠る」と言う旨の文言が刻まれている。

 そして、俺たちは一つの墓石の前に立った。


「花を添えに来たぞ。ガルドス」


 他でもない、ガルドスの名前が刻まれた墓石だった。


「会いに来たわよ。ガルドス」


 アキリラが花束を添えると、俺とリリナは彼女に続く形で黙祷を捧げる。

 リリナやアキリラには俺とガルドスの戦いの顛末やその過程で何が起きたのかは全て伝えてある。

 それを聞いた二人の表情が虚しさと哀しさ、諦観ややるせなさが混じり合ったような複雑な顔をしているのは今でも覚えている。


「ビーゴルには後で伝えるけど、言わせてくれ。ごめんな。俺のせいで、こんな風になってしまって……」


 悲痛も込められているだろう表情で俺は謝意を述べた。

 ガルドスが魔族に堕ちたのも、俺への嫉妬や憎悪を始めとする負の感情を爆発させたのがきっかけであるのは分かり切っているつもりだ。

 自らの意思でパーティを抜けた末の結果って思うと、リリナはいくらか踏ん切りは着いているけど、アキリラやビーゴルとどう向き合えばいいのかが分からないと悩んでしまう自分もいる。


「いいのよ。それは言わなくていい。リュウトに悪いと思うことなんて、何一つないんだからさ……」

「アキリラ?」


 アキリラは懺悔の想いを見せたいかのような表情と共に語り出す。


「リュウトが『戦鬼の大剣』にいた時から。それこそ、入った時から戦い以外のことで気が利くようなことや痒いところに手が届くような働きをしてくれていたのに、最初は感謝していたけど、ランクが上がっていって、有名になっていくに比例して、そんな気持ちを忘れてしまったんだって今になって思うのよ。あたしもガルドスに乗る形でリュウトの頑張りを否定するようなマネをしちゃってさ。それで、リュウトがいなくなってから、その有難さに薄々気付きつつある自分がいた。今振り返ってみると、情けないよね。馬鹿だねって思っちゃうよね」

「「……」」

「感謝はもちろんだけど、リュウト。あたしもその頑張りにもっと寄り添うべきだって思った。いや、思った上で行動すべきだった。今更こんなことを言うのさえおかしいのを承知の上だけど、あたしたちはリュウトが『戦鬼の大剣』でいてくれた事実に感謝すべきだったのよ。それさえしないで、アンタを蔑ろにしちゃった。だから、その……リュウト!」


 そう語るアキリラの顔には後悔を感じざるを得ないと共に、泣きそうな顔をしている。

 アキリラってプライドが高いところはあるんだけど、駆け出し時代は素直じゃないながらも、パーティ内の人付き合いにおける気遣いをしっかりとしてくれていたんだよな。

 誰かが喧嘩した時は仲を取り持ってくれたり、仲直りする機会を設けてくれたりとか。

 するとアキリラは意を決したように俺と向き直る。


「本当にごめんなさい!許してくれなんて言うつもりはないし、一生許してくれなくてもいいし、恨んでくれてもいい。ざまあみろとか思ってくれてもいい。それでも、アンタに分かるだろう形でその気持ちを示さないとあたしの気が済まない。本当にごめんなさい!」

「「……」」


 必死に頭を下げながらも、確かな誠意を見せるアキリラの目には涙が零れ落ちていた。

 だけど、俺だって憐れんだり、わざわざ見下そうなんて思うつもりなんて欠片もない。

 かつては苦楽を共にした仲間だったのだから。


「もう、いいんだよ。俺はもう気にしていないし、許すよ。ビーゴルも、アキリラも。そんで、ガルドスとのこともな……」

「ッ!ふぅう……」


 アキリラは頬を伝う涙を拭いながら、俺の顔を見やった。


「前から思ってたけどさ……。リュウトってさ。いろんな意味でズルいところあるよね」

「どういう意味だよ?」

「それ、私もちょっとだけ思ってたりしてたわ」

「リリナまで!」

「「アハハハハッ!」」


 こうして、『戦鬼の大剣』を組んだばかりの頃のように和やかに笑い合うリリナとアキリラと俺なのであった。

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