第34話 リュウト VS ガルドス
因縁の戦いが勃発します!
「リュウト!くたばれ!」
「ちぃい!」
俺は魔族と化したガルドスとの戦闘に入った。
王都に住まう人々の安全を考え、俺はガルドスのヘイトを引きつけ、人がいないところに移動しながら交戦しており、王都の広場まで来ている。
「オォオオオオオ!」
「ふん!」
俺が放った弓矢はガルドスの握る剣で弾かれる。
そこへ間髪入れずにガルドスは一気に間合いを詰めて剣を振り回すも、俺はそれを皮一枚で躱す。
だが、まだ追撃が飛んでくる。
「死ねよ!リュウト!」
「くっ!」
俺は腰に挿してある片手剣を抜き、一時的に武器の強度を上げる“ハーダーリキッド”と言う液体をそれにかけ、ガルドスの袈裟を受け止める。
「これが俺の力だぁあああ!」
「ぐぅう!」
だが、じりじりと押され、後方へ弾け飛ぶ。
魔族の力を得ているだけに、パワーもスピードも人間だった頃とは比べ物にならないほどに跳ね上がっており、黒い魔力が乗った衝撃波による一閃も厄介だ。
何より、ガルドスの目には俺を葬らんばかりの殺意が、口元は醜さをまざまざと見せつけるかのような怨嗟が込められている。
「何で、こんな馬鹿なマネを?」
「馬鹿なマネだと?俺が馬鹿で愚かだとでも言いたいのか?前からムカついてたんだよ。お前のその澄ましたような態度も、偽善者ぶりたいだけの考えも、ただの雑用係の癖に内心では調子に乗ってるテメエの何もかもがな!それが俺を苛立たせるんだよ!」
「何?」
ガルドスは威勢良く吠えながら、剣を縦に薙いだことで生じる衝撃波を放つも、俺はサイドステップでそれを躱す。
その眼は真っ赤に血走っており、真っ直ぐに俺を睨みながら、言葉を並べる。
「俺は悟ったんだよ。俺たち『戦鬼の大剣』の成功や栄光の要因、そして、その支えになっていたのはリュウト!お前だったんだってな!」
「どういうことだ?」
「シェリーを通じて聞かされたんだよ。『戦鬼の大剣』が躍進しても尚、Aランクの依頼を問題なくこなせていたのも、難しいダンジョンの攻略が叶っていたのも、リュウトの存在があったからだって!俺が憧れていたSランクパーティ『夜天の宝剣』のリーダーのアルベルトさんたちも、先達の高名なAランクパーティの連中も、俺よりもお前を認めていたんだよ!この俺を差し置いてだ!俺がいるから『戦鬼の大剣』が成り立っていたはずなんだ!テメエ如きがしゃしゃり出てんじゃねぇぞ!お前の癖に俺よりいい気になっているなんざ、俺が認めねぇええ!さっさと這いつくばれよ!リュウト!」
暴力的な癇癪と共に出てきたのはそんなセリフだった。
ガルドスが魔族に堕ちたのは深い理由があるのかと思っていたのだけど、聞いていれば何だって思う自分がいる。
俺よりも……他人の方が上手くできているからって、いたずらに誰かを傷つけていいはずがないし、そんなことをして許される免罪符ができていいはずがない。
同時に王都を混乱に陥れてまで、こんなことまでしてしまうガルドスの原動力の源を今更なタイミングで理解できるようになった気がした。
俺への嫉妬や苛立ち、憎しみや怒り、功名心や反骨心。
そんな感情がガルドスを魔族にさせてしてしまったのだ。
人としての一線を越えてまで俺を。いや、俺を取り巻く全てさえも滅ぼしてやろうと思うほどに……。
「だから!お前が俺の前で跪いてくれなきゃ。そして、この世から消えて無くならない限り、俺の気が収まることも、俺に幸せな瞬間が訪れることはないんだ!泣け!喚け!くたばれ!死ね!死ね!死ね!リュウト!」
「ガルドス……」
「うぉおおおおお!」
横薙ぎや唐竹割り、袈裟切りに逆袈裟、ガルドスの凄まじい斬撃の嵐を俺は紙一重で躱し、捌いていく。
人間だった頃のガルドスは粗削りなところが若干残っていながらも、それなりの技術を持っていて、努力を重ねた形跡もあった。
その上で、魔族の力を得たのもあって、全体的な馬力が大幅に向上している。
それこそ、一撃でもまともにもらったら致命傷に繋がりかねない剣戟を受け続ければ、俺の剣がへし折れかねない。
少し腕に覚えがある程度の冒険者や騎士ならば、剣圧やプレッシャーだけで心胆を嫌でも寒がらせるくらいだ。
だが、俺は恐れない。
「ふぅうう!」
「クソがぁあああ!」
(何だ?急に当たらなくなり始めてやがる!)
ここに来て俺の集中力を上げていく。
会得しているスキルの<五感操作>で触覚や味覚を鈍らせるのと引き換えに、俺の視力を底上げさせ、ガルドスの数多の斬撃を躱し、捌き続けていたが、次第にその比率を前者に寄せ始めていった。
魔族の力を得たガルドスのパワーとスピードは凄まじいものの、それに任せたような一撃の軌道は人間だった頃よりも単純になっており、動きや癖を読むのは難しくなかった。
むやみやたらに振るってくれたお陰でもあるけど、何より、俺が『戦鬼の大剣』にいた頃から前線で剣を振るって戦うお前の姿をずっと見てきたからな。
「はぁあ!」
「ぐぅうう!」
俺はガルドスの袈裟を躱し、カウンターでその脇腹を斬り裂く。
「うぉおおお!」
「フッ!ハァア!」
「ガァアアアア!」
(何故だ?レンジャーのリュウトに剣士の俺が剣技でこんな遅れを取るんだよ?)
続けてガルドスは突きを放つも、俺はジャストなタイミングで剣を払い、重心が崩れたところに胴体を斬り裂き、距離を取る。
ガルドスは得意なはずの白兵戦で優位に立つどころか、次第に流れを持っていかれている戦況に戸惑いを覚え始めている。
「何故だぁあああ?」
「ハッ!」
「ぐわぁあああ!」
ガルドスは捻るような突きで黒く塗れた野太い衝撃波を俺に目掛けて放つ。
俺は横っ飛びで躱しながら、破壊力に優れる“爆撃の矢”二本を一瞬で番え、ガルドスに放ち、鳩尾に刺さった瞬間に誘爆する。
魔族と言えど、至近距離で爆発を受ければ即死とまではいかずとも、看過できないダメージを負うのは確かだ。
俺は追撃でミスリル製の弓矢でガルドスの身体を次々と射貫いていった。
「はぁ……はぁ……。クソッ!クソッ!クソォオオオ!」
(何故だ?リュウトを殺すために、アイツが大事にしているもんを全部壊してやるために、強大な力を得たはずなのに。何で勝てないんだよ?何で……?)
ダメージが重なっていくガルドスは肩で息をしており、ボロボロになっている。
最初に見せた勝ち誇ったような表情から一転、焦りと苛立ちが混じったような姿を見せ始めている。
ガルドスは怒りながら弓矢を引っこ抜いていくも、身体中から魔族特有の濃い紫色の血が流れている。
本当に……人間を辞めてしまったんだな。ガルドス。
「ガルドス……」
「見るな!リュウトの癖に俺を憐れむなよ!見下してんじゃねぇよ!テメエを跪かせるまで俺はぁああ!」
その時、ピシッと言う音と共に、ガルドスの身体に一筋のヒビが入った。
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