第31話 闇に堕ちたガルドス
衝撃的な展開です!
「アキリラとビーゴルはどこら辺をまずは探すって言ってなかったか?」
「最初に私たちが泊まっている宿屋の周辺から探してみたんだ。でも、私が騎士団を訪れる前の時点では手掛かりがほとんど掴めなかったってアキリラが言ってた」
「そうか。ならば、城下町から出そうな境目辺りを探してみようか?俺もそこは詳しくなってきたからさ!何かしらのヒントは与えられるかも!」
「うん!それが良いよね!ありがとう!」
俺は王都で行方知れずとなったかつて所属していた『戦鬼の大剣』のリーダー格であるガルドスと俺の後任で入ったレンジャーのシェリーを探すために捜索へ乗り出している。
かつては同じメンバーの一員であったリリナと一緒に行動しながら探している状況だ。
俺も遊軍調査部隊の一員になってからは巡回業務で王都の地理にも大分詳しくなったものの、広さはかなりあるため、特定の人物を探すとなったら勝手が違ってくる。
事情を知ったモーゼル隊長とソフィア副隊長も人手を寄こしてくれるって話していたものの、それで発見できるかどうかの保証はできない。
「本当にごめん。リュウトや騎士団の皆様にも手を煩わせるようなことしちゃって……」
「構わないさ。仮にモーゼル隊長とソフィア副隊長の許可が降りなくても、どうにか時間を見つけて俺も手伝ってやるつもりだったし。それに……」
「それに?」
「いや、何でもない。とにかく探そう」
「う、うん」
リリナからは俺の後釜として入ったシェリーにガルドスがご執心であることも聞かされており、その二人が不自然なタイミングで行方を晦ますこと自体がそもそも怪しい。
取り越し苦労や杞憂で終わって欲しいのが本音であるものの、リリナの言う通り、いや、俺自身も嫌な予感が拭い切れなかった。
何にせよ、ガルドスとシェリーを見つけることが先決だ。
◇———
「おい!本当にシェリーだったのかよ?」
「断言はできないけど、さっき感じ取ったのはシェリーだと思うのよ!フード越しでもそんな気がしてならないわ!」
一方、アキリラとビーゴルは薄暗い路地裏を歩いていた。
アキリラがシェリーと思しき人物を見つけ、追い続ける内に今いる場所に至っていた。
「そんな気がって、人違いとかじゃねぇよな?」
「シェリーとはまだ長い付き合いとかじゃないけど、あたしには分かるのよ。シェリーってさ、何だかその辺の女性冒険者が持っていないような空気感があるって言うか……」
アキリラは自身の頭の良さと言うより、女の勘と言うモノを信じて動いているようだ。
それからしばらく歩いている時だった。
(ハッキリ言って、今の『戦鬼の大剣』は皆の心がバラバラになろうとしている。そんな状況で駆け落ちみたいにあの二人だけ行方知れずになるなんておかし過ぎる。何も無いはずがないわ)
「うふふふ」
「「ッ!?」」
「誰?」
フッと呼び掛ける女性の声が聞こえたアキリラとビーゴルはその方角を向いた。
そこには黒色のフードとローブに身を包んだ人物が立っている。
フードから僅かに見えるのは微笑だった。
「待ちなさい!」
アキリラはすぐ側の建物の中に入っていく人影を追い、ビーゴルがそれに続く。
「ここは?」
「王都の使われていない建物のようだけど……」
(廃墟同然の薄暗さだけど、何なの?この異様な空気は?)
少しの戸惑いを見せているビーゴルに対し、アキリラは得も知れない違和感を感じ取っている。
「アキリラさん、ビーゴルさん。少しぶりですね」
「え?」
「なっ?」
部屋の奥にいるローブに身を包んだ二人の人物の内、アキリらとビーゴルを誘うように入っていった一人が前に出ると、被っているフードを徐に脱いだ。
晒された素顔を見たアキリラとビーゴルに驚きの表情が張り付いた。
「「シェリー!」」
「よく見つけられましたね」
「あたしたちはあんたとガルドスを探しに回っていたのよ!何を寝ぼけたようなことを言ってるの?」
「そうだぞ!一昨日からガルドスとシェリーが宿屋に戻って来なくて、一体何があったんだよ?」
切羽詰まったような剣幕で問い質すアキリラやビーゴルに対し、シェリーは何食わぬ顔を見せている。
余裕と言うべきか、今の状況が分かっていないかのような振る舞いだ。
「ガルドスは一緒じゃないの?ていうか、そいつは誰よ?」
「……」
アキリラがシェリーの後ろに控える黒いローブに身を包んだ人物を指差しながら質問を重ねる。
「そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。いるじゃないですか?あなたたちのすぐ近くに」
「すぐ近くにいるってど……え?」
「ま、まさか?」
シェリーの言葉に反応するように、もう一人の人物がゆっくりと歩き出し、瞬間的に受け入れ難い事実を突き付けられたかのようにアキリラとビーゴルの表情がみるみるうちに失っていく。
そして、顔を隠していたローブを脱いだのは……。
「ガ、ガルドス?」
その人物は他でもない、ガルドスだった。
だが、トレードマークだった金髪は黄色味を僅かに残した黒髪に染まっており、限りなく赤味を混ぜた黒い肌と赤褐色の眼、肌のところどころに不規則に散らばる赤くくすんだ紋様が刻まれている。
禍々しさを醸し出しているその風貌は誰の目から見ても、普通の人間のそれではなかった。
「な、何?何なのよ、ガルドス?その姿って……」
「おい。何の冗談だよ?こんなところでそんな格好なんかしてさ……」
変わり果てたような姿になっているガルドスを見たアキリラとビーゴルは恐怖と憔悴が入り混じったような表情を浮かべながら話し掛ける。
そして、シェリーの口から衝撃的な事実を告げられる。
「ご覧の通り、ガルドスさんは魔族になったのですよ。ある目的のためにね」
「「なっ!?」」
ガルドスが魔族に身を墜とした現実を目の当たりにしたアキリラとビーゴルは絶望したような表情となった。
『戦鬼の大剣』を起ち上げた頃の仲であった二人にとってはそのショックが余りにも強かった。
「嘘だ。いくらなんでも、そんなことって……」
「シェリー!あたしには分かるわよ!ガルドスを魔族に変えたのはアンタでしょ?」
「あら。どうしてそのように思うのですか?」
絶句するビーゴルに対し、アキリラはシェリーを責めるように問い詰める。
しかし、シェリーは涼しい顔のままだ。
むしろ、パーティメンバーが魔族のような異常な姿に変わっているだけでも恐怖で慄いてもおかしくないはずなのに、一切取り乱さないことの方がおかしいくらいだ。
「アンタはガルドスと一昨日から行方を晦ませた。その間、他の仲間にガルドスを魔族にするように仕向けることができる奴なんて、シェリー以外いないでしょ?そもそも、アンタの目的は何?いや、アンタは一体……何者なの?シェリー!」
「……」
アキリラの強い剣幕を受けても尚、シェリーは気圧されなかった。
すると、シェリーが徐に口を開いた。
「ガルドスはリュウト・ドルキオスが目障りで仕方なかったらしいのよ。その彼を殺すために魔族となったのよ」
「何ですって?」
「そして、そのガルドスが力を得るために魔族となるように仕向けたのは……。この私なのよ」
「「なっ!?」」
艶やかさを織り交ぜたような醜悪な笑みを見せるシェリーはそう告げるのだった。
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