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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第一章

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第26話 その魔族の野望

魔族の醜悪な野望が明かされます。

「お前の目的は何だ?ゲルデズ!」

「おやおや、せっかちな方たちですねぇ。ちゃんと答えますよ」


 遺跡のダンジョンの最奥まで辿り着いた俺たち遊軍調査部隊と合同で調査している一組のAランクの冒険者パーティ。

 奥へ奥へ進んで行き、目の前にいるのは件の魔族と思われるゲルデズと言う男だ。

 ゾルダーさんが問い詰めると、ゲルデズは「やれやれ」と示すような仕草と一緒にモノクル眼鏡をかけ直している。


「目的は二つあります」


 ゲルデズが口を開いた。


「一つ目はエレミーテ王国を攻めるための前線基地を作ることですね。大きな行動を起こすのにはやはり拠点が必要ですからね。二つ目、これが一番の目的ですね。キメラの研究と量産による戦力増強です」

「キメラの研究と量産?」

「はい」


 目的を聞いた俺が質問すると、帰って来たのは肯定の返事だった。


「キメラを人工的に作り上げるだと?そんなことが可能なのか?」

「はい。昔は夢のまた夢だと言われておりましたが、魔族ならではの科学力によってそれを可能にしたのです!キメラは良いですよ。好きな魔物を組み合わせてより強力な魔物を作り出し、改造できるのですから。まあ、時々、駄作同然の作品を生み出してしまう時があるのですけど、それも自在に操ることができるならば、それも戦力になりますがね」


 キメラ自体は複数の魔物で合成されており、それだけに形や風体はもちろん、その強さやリスクレベルも千差万別だ。

 俺も冒険者時代にキメラ討伐は通算で二回ほどであるが、依頼として討伐を行った経験もある。

 いずれも強力な魔物が混じった個体であっただけに、あれは中々に大変な仕事だった。

 しかし、魔族が独自にキメラを製造や改造できるなんてにわかに信じがたい話だ。

 そこでゾルダーさんが何かを悟ったような仕草を見せる。


「読めたぞ。お前の狙い。自分の手で改造したキメラを大量に作り出して魔王軍の戦力を向上させ、そこに他の魔族と合流し、準備が整ったところでエレミーテ王国を襲う算段だな?そのために王都の近くの森林のダンジョンに目を付けて隠蔽し、ここでキメラの研究や両さんを続けてきたってことだろ?」

「ご明察。中々に見事な慧眼ですね」


 ゾルダーさんの指摘に対し、ゲルデズは不敵な笑みを見せながら答えだと認めた。


「そうです。私は仲間の手を借りて人目を躱しながら手頃なダンジョンを発見して隠蔽、今いる部屋をキメラに改造するための施設に変えたのです。ダンジョンにいた魔物を討伐しては捕らえ、部位を剥ぎ取り、ベースとなる魔物に魔族の持つ瘴気を流しては力を底上げさせ、強力な魔物と掛け合わせてオリジナルのキメラを作ることに成功したのです!そしてこの施設の基盤を整えながら前線基地も作り上げて同志と合流し、エレミーテ王国を滅ぼす手筈なのです!素晴らしいでしょう!?私の研究と作戦は魔族の未来を切り拓く礎の一つになるのですよ!フッフフフ、アッハッハッハハハハ!」


 自分のやろうとしていることは立派なことだと言いたがらんばかりに狂ったように語るゲルデズの表情は醜悪な笑みそのものだった。

 魔族であることを加味するべきとしても、こんなに狂った考えをした相手を見るのは初めてだ。

 冒険者時代に出会ったことのあるならず者でさえ、そんな思考回路をした奴はいなかったぞ。


「下らねえ……」

「はい?」


 俺はゲルデズの言っていることややろうとしていることを無機質ながらも、低い声を挙げながら口を開く。


「下らねえよ。自分のしていることがどれだけ立派なのかをアピールしたいのは勝手だけどな、そんな碌でもない考えの独善的な行動のせいでどれだけの人間が傷つくのかを想像したことも無いのかよ?そんなもんが高尚だって俺は認めねえぞ。クソ野郎!」


 独り善がりな持論を展開するゲルデズに怒りの感情をまざまざと剥き出しにする俺なのであった。

 一緒にいるゾルダーさんやシーナさんたち遊軍調査部隊の面々や冒険者たちも静かながらも怒りの感情を見せんばかりに敵意を剥き出しにしている。

 そもそも、魔物の育成そのものは重罪だからな。

 それを見たゲルデズは……。


「はぁあ。まさかそんな風に否定されるとは……。それもクソ野郎と詰られるとは、品が無いですね。やはり魔族以外の者には私のやろうとしていることの素晴らしさを理解していただくのは無理と分かってしまうと、不愉快極まりないですね」


 不機嫌さを一切隠そうともしないような振る舞いを見せたかと思えば……。


「もう結構です。私の夢や研究の素晴らしさを理解できない方とは共存する気はありません。それに、私の……私たちの計画を知ってしまったあなた方を生かしておくのも厄介で死すし、このまま外に出す訳にもいきませんので。皆様は始末しておきましょう。そして、私の作品の素晴らしさを再認識するための当て馬も必要ですので、ここまで来てくれたのも、一種の幸運としましょうかね?」


 ゲルデズは実験に必要であろう設備や魔道具を守る防護結界を起動させると同時に白衣の裏ポケットから黒い球体のような物を二つ取り出すと、それとない力加減で放り投げた。


「さあ!出て来なさい!数ある我が作品の中でも最上位の力を持ったキメラたちよ!」


 次の瞬間、黒い閃光を帯びた光と共に現れたのは……。


「「ゴガァアアア!」」


 禍々しい魔力を纏いながらうねりを上げる二体のキメラだった。


 俺たちはそれぞれ武器を構えながら向き合う。

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