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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第一章

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第24話 聖女とのひと時

聖女様がメインのお話です!

「皆さん、そこの壁にトラップがあるので気をつけてください」

「分かりました」


 俺たちは王都の森林に隠された遺跡のダンジョンを調査するプロジェクトに取り組んでいるところだ。

 先ほどまでは遊軍調査部隊の選抜メンバーと参加を決めた冒険者パーティ数組で行動していたが、今は二手に分かれて行動している。


「セアラ様。お疲れでしょうか?」

「いえ、大したことはございません。このまま進みましょう」

「はい」


 俺の周りにいるのは遊軍調査部隊のトップにして上司であるモーゼル隊長と参加を決めてくれたAランクパーティ数組、同じ第六班の班長と副班長であるゾルダーさんとシーナさんに他のメンバー、そしてエレミーテ王国が抱える聖女であるセアラ様だ。

 一方、同じく参加してくれたSランクの冒険者パーティ『夜天の宝剣』を含めたAランクパーティ数組はソフィア副隊長と共に別のルートを進んでいる。

 そのAランクパーティ数組の中には、かつて俺が所属していた『戦鬼の大剣』も含まれている。

 この采配も打ち合わせで決めてはいたものの、ガルドスたちと一緒だったら、気まずかったかもしれないな……と。


「魔物の奇襲やトラップは少なかったようだな。リュウトのお陰だ」

「恐縮です。数そのものはともかく、この先に控える相手のレベルは相当と思われます。ですから、そこは意識した方がよろしいかと……」

「そうだな」


 モーゼル隊長とそんなやり取りを交わしていると……。


「あの隊員、<鑑定>スキルが使える上にとても有能じゃないか?」

「トラップの感知スキルのレベルも相当に高いぜ」

「聞けば、入って一カ月くらいらしいぞ」


 後ろに控える冒険者パーティ勢から俺を褒めるような声が漏れ聞こえてきた。

 素直に嬉しいけど、私情を表に出さぬよう、今は自分の仕事を全うすることが先決だ。


「よし。ここで小休憩を挟もう。後に強そうな魔物や魔族との戦いに備えてな!」

「「「「「ハッ!」」」」」


 俺たちは今いる全員が足を伸ばしても余裕がありそうなスペースで少し休むこととなった。

 事前準備の段階でも、休憩を挟む場所があるとすればここだって話なので、周囲の警戒は怠らないようにしつつ、俺たちは身体を休める。


「ふぅう……」

「お疲れさんだな」

「休憩時間の終了のタイミングでは俺が見張りをしますよ」

「おう。頼むぜ」


 シフト制のような形で俺たち隊員と斥候を担える冒険者と合同で見張りながら、各々が休息を取っていった。


 「少しホッとできる時間があるのは良いことだな」


 後に見張り役を任されるのは分かっているものの、何にしても合間にホッとできる時間があるのは良いことだ。

 騎士団で支給される携帯食や飲料水を摂取している時だった。


「あなたでしょうか?リュウト・ドルキオスとは?」

「え?は、はい?」


 今回のプロジェクトにおけるキーパーソンにして、エレミーテ王国の聖女であるセアラ様が俺の下に歩み寄り、声を掛けてきたのだ。

 モーゼル隊長が何事かと思いながらと示さんばかりに小走りで寄って来る。


「セアラ様。リュウトが何か?」

「少しだけ彼とお話をさせていただきたいのです」

「え?」


 これまた何故と思いもしたが、表情から見るに、どうやら心からお望みのようだ。


「リュウト」

「俺は大丈夫です」

「そうか。俺たちは少し距離を置いておく。セアラ様。リュウトの番が来ましたら、その際、会話に入ることとなりますので、その時はどうかご容赦いただきたく存じます」

「もちろんです。ありがとうございます」


 モーゼル隊長は他の隊員や冒険者勢にもその旨を伝えると、意図を組んでくれたからなのか、距離を空けてくれた。

 それからは俺とセアラ様の二人だけの空間になった。


「お、お話とは一体?」

「そんなに固くならなくても大丈夫ですよ。本当にあなたと少しお話がしたいと思った次第ですので……」

「はぁあ……」


 そう言うセアラ様の表情は柔らかさを感じた。

 俺の隣にセアラ様が座った。


「失礼っ」

「いえ、そんな……」

「さて、改めて確認しておきたいのですが、あなたはエレミーテ王国騎士団の遊軍調査部隊に所属されているリュウト・ドルキオスで間違いはございませんか?」

「はい。私がリュウト・ドルキオスでございます」

「左様ですか」


 エレミーテ王国が誇る聖女にして侯爵家の貴族令嬢であるセアラ様を前に、俺の緊張感が一気に高まりそうになる。


「わたくしの間違いであれば謝りますが、先日、王都の教会で一人の女性と鉢合わせたようですね?」

「え?はい」

(それって、この間の非番の時に訪れた教会で出会った女性のことか?)

「そうですか。彼女はわたくしの侍女にして護衛なのですよ。わたくしはあの時、教会で今回のプロジェクトにおいて必要な聖属性を持った魔道具の作成をしていたんです。魔力が漏れ出ない特殊な部屋で作業していた時、あなたはわたくしの魔力を感じていたとかいないとか……」

「はい。本当に、微かに感じたと申し上げますか、何と申し上げますか……」


 気付けば俺はその時の出来事を思い出しながら話していた。


「ふふっ。冒険者から遊軍調査部隊に転職されたと存じておりましたけど、そのようなことをやってみせたのはあなたが初めてですよ」

「そうなんですか?」

「はい。わたくしはそんなあなたと一度、お話してみたいと前々から思っていたのですよ。簡単に言わせていただければ、わたくしはあなたに興味があるのですよ」

「は、はぁあ……」


 そう言い切るセアラ様は凛とした雰囲気をベースにしながら、俺に微笑んでくれた。

 こんなに美しくて品の良い女性に興味を持たれて、正直に言えば嬉しい限りだ。


「ご興味を持っていただけて、恐縮でございます。今回のプロジェクトにおいて、調査はもちろんですが、セアラ様の安全を守れるよう、努めていく所存でございます」

「頼もしいです。よろしくお願いしますわ」


 しばらくして、俺の見張り番の役が回り、休憩を終えた俺たちは先へと進むのだった。

 そして、目の前に現れたのは……。


「ゴゥルルルル」

「やはり現れるか」

「はい。ただ、予想していた以上におぞましいですね」


 複数の魔物や動物が掛け合わされた姿をしたリスクレベル不確定の合成生物として有名なキメラだった。

 キメラ自体は冒険者が遭遇するケースもあれば、依頼を通じて討伐をするケースもあるので、知名度自体はマイナーではない。


「気を引き締めてかかるべきだぜ。お前ら」

「はい!」


 油断しないように促すモーゼル隊長の表情は険しさを交えたような笑みを見せている。

 ゾルダーさんやシーナさんを含めた隊員たちや冒険者勢、セアラ様や俺も真剣な顔を見せながら構える。

 だが、明らかな異質さを感じさせる要素がある。


 そのキメラが禍々しさを抱かせる魔力を帯びていることだ。

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