第2話 遊軍調査部隊について
もう一話、投稿します!
エレミーテ王国騎士団。
それは俺たちが住んでいる国、エレミーテが誇る騎士団であり、国の治安維持を主な役割としている組織だ。
騎士団に所属する者たちは甲冑に身を包んで剣や盾を握って敵や魔物と戦うのが定番だと思われるが、当然それを支える部隊や部署もあり、その内の一つが遊軍調査部隊だ。
遊軍調査部隊の主な役目としては敵の動向を探る偵察やエレミーテで起きている事柄の情報収集をメインとしつつ、騎士団全体の多岐に渡るサポートを担っている。
魔物と戦闘する機会もそれなりにあるため、冒険者時代の経験やレンジャーと言うジョブを活かせるのではと思える。
騎士団と言う組織に雇われる形の為、冒険者のような一攫千金を狙える機会は少ない分、安定した収入や王国騎士団に所属している肩書も手に入る。
俺が少しの興味を示すと、リサさんは別室に案内してくれた。
受付で立ち話をあんまりしてしまうのも、他の冒険者たちの手続きの妨げになるからね。
部屋に入るなり、リサさんは仕事内容や待遇を始めとする説明をしていった。
「———と言う内容ですね」
「ですけど、王国騎士団ってどの部隊も入るのがかなり厳しいと聞いた事があるんですけど、大丈夫ですかね?俺、騎士団に関する知識とかは常識の範囲くらいしか分からないんですよ」
「ここだけの話なんですけど、騎士団……特に遊軍調査部隊は冒険者ギルドの紹介状があれば、入るのは比較的楽ですし、リュウトさんの知識や経験も活かせますよ。ですから想像しているほど入るのは難しくないと思いますよ」
「あっさり言ってくれますね~」
遊軍調査部隊の話を持ち掛けてきたリサさんはにこやかに微笑みながら言い切っている。
魔物や素材、アイテムに関する知識には自信がある方だけど、ぶっちゃけ俺はそこまで勉強が凄くできるって訳ではないからね。
「それから話が変わってしまうんですけど、『戦鬼の大剣』のリーダー格であるガルドスさん、新しいメンバーの補充を始めたらしいんですよ。つい先ほどに募集をかけたようなのですが、それなりの人数が志願されてきましたよ」
「そうですか。やっぱりAランクパーティの肩書って魅力的なんですかね?」
「ランクが全てとは言いませんが、やはりブランドのような物ですからね~」
どうやらガルドスはもう新しいメンバーの補充に動いているようだった。
俺がいた頃と同じパフォーマンスを維持か向上できるならそれで良しとするけど、もう過ぎた話だ。
最後にリリナとちゃんと話ができないまま去ったのは心残りだけど、あんな言われ方をされてはどうにもならない。
あの時の切なさと儚さが入り混じったような表情も半永久的に忘れられないかもしれないだろう。
「それで、どうなさいますか?リュウトさんがお望みでしたら、ギルドからも紹介状を書いておきますよ」
「う~ん」
リサさんの説明を頭の中で反芻しながら考えること数十秒くらい……。
「やってみることにします!遊軍調査部隊の仕事にも興味が出てきました!何より、レンジャーと言うジョブを活かせるのでしたら、こんなに嬉しいお話は無いと思っているので!」
「リュウトさんならそう言うと思っていました!では、早急に紹介状をご用意していただけるように進めますね」
俺はリサさんの話を受ける事にした。
しばらく待たされたが、思いのほか早く紹介状を用意してもらえた。
俺が冒険者になってからの仲なんだけど、もっと条件の良い職場で働いてもおかしくないくらいにリサさんは優秀だ。
若く見えるが、受付嬢になって十年は経つって前に言っていたような気もする。
「こちらが紹介状になります。先ほどお見せしたパンフレットも差し上げます」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
「リサさん、本当にありがとうございます!お陰で十分な形で再スタートを切ることができそうです!」
「いえいえ、お安い御用ですよ。これは私からの勧めですけど、スティリアを出て王都へ向かうなら早い方がいいですよ。どこかで元パーティメンバーと会ってしまったら、嫌な思い出が蘇ったりと、肩身の狭い思いをしかねませんよ」
「確かにそうですね」
俺は『戦鬼の大剣』を険悪な雰囲気を残したままで脱退したため、街でガルドスたちと鉢合わせてしまったら、またトラブルになりかねないのはすぐにイメージできる。
リサさんの言う通り、すぐにスティリアを去るのが最善だろう。
「リサさんのおっしゃる通り、すぐにでも王都へ向かった方がいいかもしれませんね。今日にでも発とうと思います」
「それが良いですよ」
「何から何まで本当にありがとうございます。人生をやり直すつもりで頑張ってみます!」
「リュウトさんの益々のご活躍、心よりお祈り申し上げます」
俺はリサさんに深々とお辞儀をして、彼女から更なる飛躍を願う言葉をもらい、その場を去っていった。
「よし!行くぜ!エメラフィール!」
気持ちを新たに、俺は次の目的地として王都エメラフィールに向かう事となった。
そして、今回の決断と行動が俺の運命を大きく変えていくのだった。
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