第13話 【Sideガルドス】再起の兆し
ガルドスたち『戦鬼の大剣』視点のお話です!
「フィジカルアップ!」
「フレイムトルネード!」
「オラァア!」
「トドメだ!ハァアアアアア!」
「ギャァアアアアアア!」
俺たち『戦鬼の大剣』は『セデレーシス炭鉱跡』と言うダンジョンに潜っている。
そこの第6階層のフロアボスにしてリスクレベルAのミノタウロスを激闘の末、討伐することに成功した。
「ふう、何とか勝てたわね」
「ああ。どうにかこうにかだけどな」
「いいじゃないか。勝ちは勝ち。成功は成功だ」
アキリラとビーゴルは疲労が溜まっている様子であるものの、ホッとしたような表情も浮かべていた。
「皆様、お疲れ様でした」
「シェリー!」
駆け寄って来たのはリリナと最近メンバーとして迎え入れてくれたシェリーと言う女のレンジャーだ。
シェリーは長弓による弓術が一級品であるだけでなく、レイピアによる剣術にも秀でているため、戦闘能力は申し分ない。
加えて、感知スキルのレベルやクオリティも抜群であり、今回の依頼の達成に大きく貢献してくれた。
一時は元メンバーだったリュウトを呼び戻すことを検討していた時にシェリーが加入してくれたのは本当にタイミングが良かった。
「後ろで援護しながら見ていましたけど、お強いですね。ガルドスさん!」
「ま、まあな!ザッとこんなもんさ!それに、シェリーのお陰でもあるぜ!ありがとよ!」
「そんな。恐れ入りますよ」
俺はシェリーに褒められて気分が舞い上がった。
シェリーも俺に褒められて顔を少し赤くしていたけど、これがまた可愛いんだよなぁ。
「ちょっと!動けるんだったらあなたたちも手伝いなさいよ」
「こっちも手伝ってくれ」
「はい、ただいま」
そこにミノタウロスの牙や爪、及びそれに類する素材の採取をしているアキリラとビーゴルに口を挟まれたものの、シェリーは笑顔で応じ、俺も解体を手伝った。
加入してくれた時から思っていたんだけど、シェリーって手先も器用だから、魔物の解体も上手なんだよな。
若干不器用なビーゴルや女性で腕力に自信のないアキリラやリリナにもストレスにならない解体方法を丁寧に教えられるくらいなんだから。
こうして俺たちは依頼内容に沿った量と種類の素材を回収し、ギルドに戻った。
◇—————
「確認しました。これにより依頼は成功とします。お疲れ様でした」
スティリア支部の受付嬢であるリサさんからAランク依頼の成功を告げられた。
シェリーが加入してからは自主練を兼ねた連携確認をした後にBランク依頼を完遂し、今回受けたAランク依頼を達成することができたお陰で、降格はどうにか避けられた。
この成功もリュウトが脱退する直前の時に受けた依頼からしばらくぶりなだけに、達成感もあった。
「やったじゃないか!」
「久しぶりにAランク依頼達成だな!」
「見直したぜ!」
「まぁ、こんなもんよ!」
俺たちが久々にAランク依頼を達成したことを知り、見直した周囲の冒険者からお褒めの言葉を貰えることになった。
そうだ。俺たちはAランクパーティ『戦鬼の大剣』だ。
これが当然だったんだよ。
その一方。
「嬢ちゃん。新参者だろ?別嬪さんだな!」
「え?」
「ジョブはレンジャーなんだってな!こんなに良い女がか!」
「どうも」
「もしも気が変わったら俺らのパーティに来いよ!歓迎してやるよ!」
「は、はぁあ……」
新しく入ったシェリーに言い寄る男の冒険者が多く寄って来た。
気持ちは分からんでもないけどな……。
「コラー!シェリーはウチのパーティのメンバーだぞ!ほら!しっしっ!」
まあ、冗談で言っているんだとは思っているけど、俺は全力で阻止した。
「ガルドスも随分とお熱が入っていることだなぁ」
「これは入れ込む可能性も大いにあるわね」
「……」
ビーゴルたちが何かぶつくさ言ってるみたいだけど、まぁいいや。
◇—————
「それでその時には俺がズバッとな~」
「凄いですね~!」
「まあな!そん時はこの俺がよ~」
「えぇえ~!」
「「「……」」」
その日の夜、Aランク依頼を達成できたことを祝うために少し客単価の高い上質な店で飯を食う事にした。
プライベートが確保されている個室の部屋だからなのか、酒もあってか、いつも以上に俺の気は高揚していたと思うけど、正直に言って細かいことは気にしないようにしていた。
どうしてなのか、俺とシェリー以外の3人は最低限の会話しか発していないけど……。
「ガルドス、飲み過ぎじゃない?って言うより、シェリーとばっかり話しているような……」
「言えてるな。悪い女だとは思わないけど、どうにもこうにも———」
「あ?ビーゴルさん。アキリラさん。グラスが空になっていますけど、もう一杯エールをご注文しましょうか?」
「「え?」」
「リリナさんも、何か飲みたいのは?」
「あぁ、私は大丈夫よ。自分のタイミングで注文するから」
グラスが空っぽ寸前のビーゴルとアキリラももう一杯欲しかったのか、「じゃあ、お願い」みたいな一言を聞いて即座に注文してくれた。
シェリーは周囲への気配りも忘れないくらいにできる女だった。
それこそ、結婚したら良い嫁さんになれてしまいそうな気もする。
「何にしても良かったですね、ガルドスさん。Aランクパーティの地位を保てたようで」
「本当だぜ。シェリーが入ってくれて、俺も嬉しいぜ!なあ?」
「ま、まあな」
「そうね。認めてあげるわ」
「うん。優秀って思う。リュウトほどじゃないけど」
リリナが不意にリュウトの名前を出すと……。
「あの、皆さん。私が『戦鬼の大剣』へ加入する前に様々な方を仲間にしていたと存じておりますが、そのリュウトさんと言う方は一体?」
「あぁ。リュウトは———」
シェリーは不意にリュウトのことを聞こうとして、リリナが口を開こうとした時だった。
「あいつは陰からこそこそと援護射撃や斥候役、雑用が取り柄なだけの役立たずだよ!おまけに俺たちに対してもあれよこれよと小言を言うのが趣味みたいな奴だったぜ!更には守銭奴なんだよ!脱退しようとした時だって、戦闘への貢献度が低いのに報酬がどうのってうるさく反論してきたくらいだからな!」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ!あの時のリュウトときたらさ———」
リュウトの話題になった途端、遮るように俺があいつの不甲斐ないエピソードを語りまくった。
あの野郎の話をするとイラつくことが多かったけど、今はシェリーが近くにいるからなのか、ストレスを感じないし、逆に楽しくなってくる。
「悪い。ちょっと用を足してくる」
「あたしも」
「私も行く」
ビーゴルとアキリラはお手洗いに行き、リリナも追従するように付いていった。
個室には俺とシェリーの二人っきりになった。
「はぁあ。今日は良い日だなぁ」
「本当です。ガルドスさん」
「何だ?」
すると、シェリーが微笑んだ表情で俺の顔を見てきた。
酒も回り出しているのか、顔も少し赤くなっている。
おいおい、可愛いなあ。
「そのリュウトさんと私。どちらがガルドスさんや皆様のお役に立てていますか?」
「え?」
シェリーはしな垂れるように俺に寄りかかった。
柔和な肌と膨らみが惜しげもなく触れるもんだから、俺の心音は一気に跳ね上がりそうだった。
まあ、そんな仕草をしなくても……。
「そりゃシェリーに決まってるじゃないか。優秀で気が利いて、それでいて良い女なんて最高じゃないか!入ってくれて良かったって本気で思ってるからよ!」
「まあ、嬉しいです!ガルドスさんったらお上手です!」
「いやいや、それほどでも……あるか!ハハハハハハ!」
「うふふふふふ」
シェリーにスキンシップを交えて褒められた俺は有頂天な気分になっていた。
改めて見ると、シェリーは本当に良い女だってハッキリ思う。
どこか魅惑的ながらも、気品も備えたような均整の取れた顔立ちに加え、モノクロの全身衣の上からでも分かるスタイルの良さ、それから良い匂い。
今まで女性のレンジャーを見たりすることは何度もあるけど、ルックスのみで切り取れば、シェリーは二番目を大きく引き離すだろう美貌を持っている。
優秀な美人レンジャーなんて、魅力的でしかないし、どこのパーティにも渡したくない。
ああ、シェリーとの出会いに感謝だな。
「どうだ?もう一杯?」
「いただきます」
「俺とシェリーの出会いに、乾杯」
「乾杯」
まだボトルに残っているワインを俺とシェリーのグラスに注ぎ、互いに乾杯し合った。
その時のシェリーの笑顔は柔らかながらも……どこか小悪魔な女だなって思ったりもするのだった。
本当に小悪魔だったりとか……何てな。
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