復讐者
思いついたのでパパっと書き上げました。加筆修正するかも。
私の働いていた会社の話をしよう。私の社会人としての人生は会社とともにあった。私は○×会社の設立の時の一員だった。人数は30人。全員で死にもの狂いで働いた。会社を自分達の子供のように育て上げた。そのため、私たち創立メンバーはとても仲が良く息が合っていた。私は、会社のために、全ての物をなげうった。両親の死に目にも仕事のため会う事が出来なかった。また、恋愛は仕事の支障になると思い、婚約していた彼女とも別れた。それほど、私は働いた。当然、やめようと思う時が何度もあった。しかし、そんな時は。
「○×会社」
1人がこう言うと
「バンザーイ」
と後のメンバーが言う。この掛け声を口癖になるほど叫んだ。そのおかげで私たち創立メンバーはくじけずに頑張ってきた。そして、現在会社は大きくなり300人もの従業員を雇うほどになっていた。私はとても、満足した。全て自分達の努力のおかげだ、そう思っていた。
しかし、共に闘ってきた社長が亡くなってから、状況が変わった。社長の息子が新社長になった。そして、新社長就任の当日私たちは社長に呼び出された。
「あなた達は確かに今まで会社のために頑張ってきてくださった。しかし、あなた達の仕事のやり方はもう古い、今の時代あなた達は通用しない。はっきり言ってお荷物です。会社を辞めていただく」
突然のリストラ宣告だった。なんと、創立メンバー全員が解雇された。全員が文句を告げたが、社長は聞く耳持たず、ほぼ強制に私は30年共に生きてきた会社を追い出された。
しかし、私はめげなかった。なら、会社を興そう、今まで働いたノウハウがある。きっと大丈夫だ。そう思っていた。今まで交流のあった取引先に出向いたが、
「私は今まで○×会社のあなただからこそ取引をしていました。しかし、今あなたはただの人です。取引するメリットが無い。お引き取りください」
全ての取引先がこの返事だった。もちろん、すぐに私の会社はつぶれた。残ったのは、多額の借金。もう、だめだ、死のう。そう思っていた。しかし、ただで死ぬなんて絶対に嫌だ。なら、どうする。そうだ、復讐だ。私の人生を狂わせたあの新社長を殺してやる。
そして、私は復讐を決意した。
決意したその日私は、街の売人から銃を購入した。
「いやー最近よく銃が売れる。まったく儲かって仕方がないな」
売人がそうつぶやいていた。銃を買う人間がこんなに多い物騒な世の中、さっさと去ってしまった方が良いのかもしれないな。
次に、会社に残っている新社長に反感を持っている社員に連絡を取った。社長の行動スケジュールを聞くためだ。昔のよしみか簡単に教えてくれた。さて、これで、準備が整った。なんでも、新社長は取引先の社長と、街の料亭で会食を行うようだ。そこを襲う事にしよう。取引先の社長も私に冷たい言葉を投げかけた男だ。人が死ぬと言うショッキングな絵を見て、精神的に傷ついてもらおう。
復讐執行当日。私は料亭の前で待ち構えていた。料亭の周りは、珍しく人通りが多かった。普段ならそんなに居ないのだが、明日が休日だからだろうか。人が多いのは余り好ましくないのだが、いまさら計画を変える訳にはいかない。今日絶対に執行する。いつでも抜く準備が出来るように懐に手を入れ、銃を握る。待機して10分経っただろうか。私の緊張は最大にまで上がっていた。その時だった。見知った顔が出てきた。取引先の社長だ。いよいよ、あのにっくき新社長が出てくる。出てきた。私は覚悟を決め、新社長の前に立った。最初は何事かと思った新社長の顔は驚きに変わった。銃を抜く。手が震えて照準が合わないが距離が近い、引き金を引けば絶対に当たる。震える指をトリガーにかける。そして、私は発砲した。放たれた銃弾は新社長の腹をとらえた。そして、次々と銃弾が新社長を襲う。肩、胸、腕、腹、頭と次々と新社長に着弾する。摩訶不思議なことが起こった。私が放ったのは一発。しかし、新社長は少なくとも20発はその体に銃弾を受けている。さらに、銃声は止まない。どう言う事だ。何発もの銃弾を浴び、新社長は絶命していた。銃声が鳴り終わり、私は銃声が聞こえた後方を見た。そこには30人ほどの人間が銃を構えている。その中に見知った顔が居た。まさか、と思い。私は
「○×会社」
と言った。
「バンザーイ」
そこに居た30人が一斉に叫んだ。どうやら、全員創立メンバーのようだ。なるほど、さすが戦友たち息がぴったりだ。
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