静かに、確実に、

安楽死が合法化されて10年が経つ日本。
しかし、制度は高額な費用と厳しい手続きに縛られ、苦しむ多くの人々にとっては手の届かない存在だった。

薬剤師の村岡悠馬もまた、生きる意味を見失い、死を望んでいた。ある日、彼は自分自身のために安楽死薬を密かに開発する。しかし、その薬はやがて死を求める他人へと渡り、密かに広まっていく。

「3200円で死ねる薬」――SNSで噂は瞬く間に広がり、若者たちが次々と命を絶っていく。

命の重さと「救い」の意味を問い続けた男が辿り着く、最期の選択とは。

自由の裏に隠された「本当の救い」とは何か。
苦しみと救済、そして命の重さを問いかけるサスペンス。

“死”が近くにある世界で、人は何を選ぶのか。