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メモリアル・オフライン  作者: ハヤメザメ
一章 初心者
2/2

出会いは曲がり角を曲がる時に起きると言う都市伝説

話をデカくしてからスタートしたわけですが、シナリオ考えずにやってるから事故りそうでコエー

コンテニュー!


 最初のリスポーン地点である墓地の入り口だ。直ぐに自宅へと真っ直ぐ向かう。


 初見プレイ時にある程度の道は覚えたので迷いなく向かう。墓地の正面の細道を通るとすぐに大通りだ。


 ここは商業都市ポルカシェル、通りには沢山の露店が並び様々な商品を売っている。全て把握するべきだろうか?


 何をするにも先ずはお金が必要だ。無一文では追い返されるだけだし


 急足で大通りを進む、いろいろ物色したいが金がない、後で後で


「そこのオニーサ「なんだい?」


 話しかけられている途中で反応し振り向く、そこにいたのは中学生くらいの女の子、ツインテールの桃色の髪を頭の側面で止め肩のあたりまでの長さが印象的な美少女、看破失礼します。


 メア 女 青果店の娘 年齢14歳 レベル6


 可愛いけどエクストラステージの難易度下がらなそうだよね?ヒロインじゃないのかな?


「良かったら果物買ってかない?新鮮だよ?」


 こいつ客引き手慣れてやがる……………上目遣いの破壊力はそこが知れないや、仕方ないから買って……………お金ないんだった。


「今手持ちが無いんだよね、ごめんまた今度!」


 そう言って少女の手を振り解き走り出す。早く金とってこないとな


 自宅は大通りを真っ直ぐ抜けた先の住宅地の方だ。とにかく真っ直ぐ進む、そう言えば初日は何か騒ぎがあったな、もしかして何かイベントが起きるのか?


 そんな事を考えてしまうのは悪い癖だ。なんせこれはフラグと呼ばれるものだからな


 早く家に向かおうと急ぎ走っていると道の脇からイカつい男がニヤニヤしながら出てきた。


避けて通り過ぎようとしたらぶつかってきやがった。チンピライベントはいらねえよ


「うわぁ!痛ってえ、お前どうしてくれんだよ?あぁ?金払え金!」


めんどくせぇ……………なんで邪魔するんだよウザすぎ


「そっちこそぶつかる相手を考えろ!金持ってそうなやつにあたれよ、手持ちあるわけねぇだろ!」


「うるせぇ!お前が貴族から金を貰ったのを見た奴がいるんだぜ?言い逃れは無理だ、あー肩外れちまったな、イッテエな」


 貴族から金を貰った?そんなの知らねえぞ、床剥がしてまで探したんだ、あるわけねぇ、ガセか?陰湿な嫌がらせ?人違い?


 逃げようと振り返ると周囲は柄の悪いオッさんに囲まれていた。詰んでんじゃん……………


「早く金を渡した方が身のためだぜ?怪我したく無いだろう?」


 7人か……………しかも剣を腰に下げている。最悪殺されるか?いや、人目が多い大通りだぞ、衛兵が直ぐにくるはずだ。


「衛兵なら来ないよ?今頃ボヤ騒さ」


 火を放ったって事?やばすぎるだろ


 周囲に助けを求める目を向けるが誰も目を合わそうとしない、お前ら人の心が無いの?


「キャアアアアアアア!」


 何処からか悲鳴が聞こえた。と同時に地響きを感じ取った。地震か?いや………………このリズミカルな揺れ、嫌な予感しかしない!


「ブモォォォォ!!」


 で、デケェ、建物の2階に届きそうなくらいのデカい牛?茶色の毛並みが逆立つ程の勢いで近くの露店を破壊して現れた暴れ牛は大通りを進む、周囲の人も慌てて逃げようとするが逃げ遅れて何人も轢かれていた。


「こっちにくるぞ!」


 チンピラたちも逃げ出す。とりあえず解放されたがより恐ろしいピンチが降りかかってきやがった。


 しかも逃げ出す事は無理のようだ。なんと、こんなに心は落ち着いているのに腰が抜けてしまったらしい。そう言うイベントかな?


 冗談しか言えなくなるぐらいには怖い、詰んだわ、完璧にニューゲームを要求されてるわ


 目を閉じて諦めかけたその時、声が聞こえた。


「フロストプロテクション」


 驚いて目を開くと僕の目の前に立つ一人の美少女がいた。


 魔法だろうか、少女の前には水色の大きな魔法陣が出来ているようだ。暴れ牛が激突したが魔法陣は牛を受け止めてびくともしない。


 後ろ姿しか見えないが、綺麗な長い銀髪から目を離せない、白を基調とした衣装は彼女の魅力を押し上げているようで、スタイルいいんだな、と今の状況を忘れるぐらい見入ってしまった。


 暴れ牛は本能的な恐怖を感じたのか反対方向へと走っていってしまう。


 がしかし、そんな事どうでもいいとばかりに呆然としてしまった。


「あなた、大丈夫?」


 美少女に心配されて声をかけられてしまった。一度深く深呼吸をして落ち着くと全身から力が抜けて倒れてしまった。


「ちょ、ちょっと」


 なんとかして上半身を起こした。お礼を言わなくては


「ありがとうございます。女神様、僕が出来ることでしたら、なんでもします。何かお礼をさせて下さい。」


 自然と、さも当然とばかりに膝をつき、両手で少女の右手を握っていた。


「僕は黒斗です。助けて頂いた命、燃え尽きるまで働かせて下さい。」


 はっ!僕は何を言っているんだ?ち、違うんだ!この口が勝手に、変な事を言い出したのはこの変な口だから、だからそんなに複雑そうな顔しないでくれぇぇぇ!


「ええと?大丈夫そうね」


「あっ、はい」


「そ、それじゃあ私はさっきのを追うから……………さようなら」


「が、頑張って、下さい」


 引かれてしまった。それはもう見事なドン引きでした。


 メモオフは最先端のAI技術を導入しているため、我々プレイヤーの行動でキャラ設定通りの反応を示すようになっている。


 クソ!無駄にハイテク過ぎるんだよ!好感度80%くらいからスタートにしろよ!絶対今のでゼロからマイナスに振れたよ


 とにかく今は初期物資の回収だ。第一印象はどうあれ美少女とコンタクトをとれたのは事実、前向きに進もう。


 そう言えば名前を確認するのを忘れてしまった。今度あったらしっかりお礼しないとな


 彼女が暴れ牛を追って行った方を名残惜しく見ながら、僕は反対方向に歩き出した。


 周囲はさっきの暴れ牛騒動で会話は持ちきりだ。今回のトラブルの原因は探っといた方が攻略に使えるんだろうな


 それにもう一つ手に入った情報である『貴族からお金を受け取っている目撃証言』はどういう事だろうか?


 …………………まさか主人公が使った後か、もしくは奪われた後?


 現代に生きる日本人的な発想では、普通大金を持ち歩くことはない、つまりどこかに保管しているはずだ。


 この世界には電子機器は無い、銀行らしき場所も知らないんだよな


 ポルカシェルの中心に街の地図があって、1回目で見たが銀行は無かった。所持金ないから引き出してこようと思ったのは天才的発想だと思ったのに……………


 そうして歩いていると大通りを抜け住宅地の方まで来れた。


 あとは次の角を曲がって少し進んだ所だ。2回目は直ぐに死んだが今回は長生きできるだろうか、まだストーリークリアどころかヒロインを誰も救えてないんだが?


 そう言えばヒロインメチャクチャいっぱい居るけど誰かと結ばれる結末とかあるのかな?全員助けたら100人以上で修羅場?


 ゲーム内時間3年がタイムリミットだ。要は初日からそんな先のこと考えている暇は無いという事に気づいた。後はここを曲がれば目的地だ。


「おっと、すまねぇな、大丈夫か?」


「こちらこそすみません、少々浮かれておりました。」


 なんたる不注意か、角を曲がる時に軽くおじさんにぶつかってしまった。


 身長が高く、ルーベンス・ハットを被ったダンディーなおじさんだ。特に目を引いたのは腰に刺してある脇差しだ。


 形状から刀だと推測できるそれが三本、マジでやばそうな人だ。


「それはそうと兄ちゃん、金髪のガキ見なかったか?そいつに大事なもん持ってかれちまってな、探してるとこなんだわ」


 金髪の子供?そう言えばファンタジー世界が舞台なのにまだ見てないな………僕も会ってみたい。


「見てないですけど、盗みをするなら貧民街の方にいるのでは?住宅地は何かと人の目がありますし潜伏するには向いてないと思いますよ」


 そう言えば看破使ってなかったな、人間も大事な情報だ。使う癖をつけないとな


 ガルシム 男 傭兵 46歳 レベル102


 メチャクチャ強いな、レベルで言えば殺し屋のミルファの方が高いが、僕からしたらどちらも死を体現する存在だ。


「そうか、そうかもな、ちょっくら行ってくる。」


「僕も意識しておきます。それでは」


「おう、あんがとよ」


 そう言ってガルシムは去って行った。


 ひとまず胸を撫で下ろす。メモオフはエンカウントしたが最後、即殺されるキャラとかいるからな、気のいいオッさんで助かった。


 ようやく家に辿り着いてホッとする。ゲーム内時間は16時だ。何となく気疲れしたからきょうはもう休もう。


 メニューからログアウトを選択してゲームを終了した。














 そう言えば曲がり角で美少女との出会いがあるって話、あれはやっぱり都市伝説だったんだな………………

チョピット解説、

スキル「威圧」: 自分を認識した相手のレベルが自分より低い場合、相手の動きを止める。止める時間は自分よりどれだけ格下かによる。20差くらいまではほぼ効果無し


主人公が暴れ牛相手に腰を抜かしたのはこのせい、主人公はレベル1設定でチンピラは平均レベル15、暴れ牛はレベル30だから、助けて貰ったあとの行動は素の動き

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