レベッカ一行の世界漫遊の旅 3 (ノマード王国の旅 20)
「アトラントですか…一度行ってみたいですね。私の父親も恐らくあの浮かんでいる島に住んでいるのでしょうね?でもレベッカ様の御用が先で構いませんよ?」
ミラージュが私を見ながら言う。
「いいえ!何を言ってるの?ミラージュ!貴女にはいつもいつもお世話になってるのよ?今回は是非、貴女のお父さんに会いに行きましょうよ!」
私はガシッとミラージュの両手を握りしめながら言う。
「レベッカ様…本当によろしいのですか…?」
ミラージュは目をうるっとさせながら私を見る。
「ええ、勿論よ。ミラージュ」
私は笑顔で頷く。
「そうですか。では次に貴女の占いをさせて下さいな」
ナージャさんは私を見た。
「はい、よろしくおねがいします」
「では占いますね…」
ナージャさんは再び水晶に手を当てた。すると眉をしかめる。
「…どうやら貴女は悪人たちに追われているようですね…?」
「「え?」」
私とミラージュは声を揃える。だって悪人に追われる心当たりなんて全く無いのに?
「今、映像がこの水晶に浮かんできますよ…」
ナージャが水晶に顔を近づけたので私とミラージュも顔を近づけた。すると水晶玉がモクモクと曇り始め、やがて何やら映像が浮かび上がってきた。
「レベッカーッ!!可愛い私の娘!今すぐ父さんが助けに行ってやるからなーっ!」
「え?!だ、誰っ?!」
映し出された人物はヒゲモジャで、髪はボッサボサの見知らぬ中年男性だった。身なりもまるで乞食のような姿をしている。知らない!こんな男性、私は知らない!
「ねえっ!ミラージュッ!この人誰かしら?!」
「さ、さあ…?誰でしょう?しかしそれにしても随分ワイルドな男の人ですわね。汚らしい身なりで野性的ですわ」
「ミラージュにも心当たりが無いのね?」
「お待ち下さい。また別の映像が現れそうですよ?」
次に水晶玉の映像が切り替わり、私は驚いた。何と映し出されたのはお姉様達だったのだ!
「えええっ?!お、お姉様方?!」
3人の姉たちはオーランド王国にいた時とは比べものにならないくらい、みすぼらしい姿をしていた。そして、一番上のジョセフィーヌ姉様がドアップで映し出された。
「レベッカッ!待ってなさいよ!必ず貴女を見つけて…一生太陽を見ることが出来ないように監禁してやるから!!」
「「「ええええっ?!」」」
私もミラージュも、何故かナージャさんまで驚きの声をあげる。水晶玉に映るお姉様の目は復讐で燃えている。一体何故っ?!私は監禁までされる程に恨まれる覚えは全く無い。でも…ここに映っているのがお姉様たちということは…。
「ねえ…ミラージュ」
「はい、レベッカ様」
「さっきのワイルドな男の人…まさか…」
「ええ、そのまさかですわね」
「アレって…私のお父様…?」
ミラージュは黙って頷く。
「ええええっ?!うっそー!!」
信じられない!あ、あんなに身だしなみに人一倍気を使っていたお父様がっ?!あんなヒゲモジャおやじになっているなんて!
「でも不思議だわ。お父様は私を助けようとしているし、かたやお姉様は私を監禁しようとしいる…」
「あ!また別の映像に切り替わりますよ!」
ナージャさんが言う。そして再び私達は水晶玉に注目し…目を疑った。
次に映し出されたのは何とあのアレックス皇子だった。アレックス皇子は叫んでいた。
「レベッカッ!ランスや父には渡すものかっ!お前は俺の妻なのだからな!必ず見つけてみせるからなーっ!」
「いや!レベッカは僕がもらうよ!」
ランス皇子が不意に水晶玉に現れた。
「いいや!私が娶る!」
変態国王が映し出され…映像はそこで終わった―。




