レベッカ一行の世界漫遊の旅 4 (母を求めて?千里? 16)
「うん、美味い美味い!」
まだ人もまばらな食堂。そして中央に置かれた円卓にはセネカさんとサミュエル王子の姿があった。
2人のテーブルには大量の食事が並べられ、それを美味しそうに食べているのは大人の姿のセネカさん。
一方、サミュエル王子は半ば呆れ顔でセネカさんの食べっぷりを見学?している。
「ちょっとっ!お父様っ!一体何をしているのですかっ?!」
ミラージュが慌てた様子でテーブルに近づくとセネカさんに詰め寄った。
「ああ、おはよう。ミラージュ」
「お父様っ!こんなに大量に食事を頼んで…お金はお持ちなんですのっ?!」
サミュエル王子はミラージュに朝の挨拶をするも、完全に無視されている。
「お金?お金ならあの占い師のナージャが持っているだろう?我々は仲間なのだからみんなで分け合うのは当然だろう?そもそもドラゴンという種族は運命共同体なのだから」
「何が運命共同体ですかっ?!何の役にも立たないお荷物のくせにっ!いいですか?
そもそもこのパーティーの中心人物はレベッカ様なのです!私たちは例え飢えて木の根っこをかじろうとも、レベッカ様の胃袋だけは満たしてさしあげる…それが私たちの役目なのです!」
「ええ?!ちょ、ちょっと何を言ってるの?ミラージュ。何も私をそんな好待遇で迎えることは無いのよ?みんなが飢えるなら私も同じ待遇を受け入れるわよ?」
そんな皆が飢えて木の根っこをかじっているような状況で1人おなかを満たすような真似…私に出来っこない!
するとサミュエル王子が言った。
「何を言ってるんだい?レベッカ。君は飢えるとエネルギー切れになって眠りについてしまうじゃないか?俺は例え自分が栄養失調で倒れてしまったとしても自分の食事を我慢して君に全ての食事をささげるよ?」
ここで私が感動…するはずないっ!
「な、何を言ってるんですか!サミュエル王子、本気ですか?私はそんな事ちっとも望んでいませんよ?誰かを犠牲にしてまで自分のお腹を満たしたいなんて思っていませんからっ!」
すると今度はナージャさんが口走った。
「そうです。レベッカ様。私だってレベッカ様の食費を稼ぐ為なら身を粉にして働きますよ?!ですから何のお役にも立てない方はこれ以上料理を食べる資格はありませんっ!とにかく、そこの料理の代金…私はビタ一文支払うつもりはありませんっ!」
そしてあろうことか、仮にも偉大なドラゴンであるセネカさんをビシッと指さした。
「ええっ?!そ、そんな…!後5人前の料理を追加注文済みなのに…!」
セネカさんは情けない声を上げる。
「何ですってっ?!お父様っ!これほど料理を注文しておいて、まだ食べる気だったのですかっ?!冗談じゃありません!こうなったら…痛い目に遭っていただきます!」
そしてミラージュは口を大きく開けた。
ま、まさか…!
「きゃああっ!や、やめて頂戴っ!ミラージュッ!」
しかし、頭に血が上っていたミラージュに私の声が届くはずはなく…ミラージュは
自身の必殺技…『超音波』を発動してしまった。
キイイイイイインーッ!!
辺り一帯に張り詰めた金属音のような音が鳴り響き…宿屋は人々を巻き込んで吹っ飛んでしまった―。




