レベッカ一行の世界漫遊の旅 4 (母を求めて?千里? 8)
「ええと、こちらの方ですが…」
ミラージュが説明をしようとした時、セネカさんが遮った。
「大丈夫、大丈夫。説明なら自分でするから」
そしてセネカさんはトコトコとサミュエル王子の前に進み出ると頭を下げた。
「はじめまして、お兄さん。僕はセネカと言います。実は僕、見習い神官で聖地巡礼の旅をしているのです。そこで今回ここにいるお姉ちゃんたちが旅をしているという話を聞いて、一緒に連れて行って貰えることになったんです。これから宜しくお願いします」
「「「な、何ですってっ?!」」」
私、ミラージュ、ナージャさんの声が同時にハモった。
「へ〜。そうだったのか?いつの間にそんな話になっていたとはね…でも皆が君を受け入れたのなら俺は別に構わないよ?」
おおっ!流石は細かいことには一切気にも止めないサミュエル王子!流石アレックス王子と違い、懐の大きさが違う…じゃなくて!
「あ、あの…サミュエル王子。少し席を外しますわね」
「ええ、この少年と話がありますので」
「どうぞ、このままこちらでお待ちになっていて下さい」
ミラージュ、私、ナージャさんが一気に早口でサミュエル王子に申し出た。
「え?まぁ…俺は別に構わないけど…?」
キョトンとした顔で返事をするサミュエル王子。
「ありがとうございますっ!サミュエル王子っ!」
ミラージュは素早く頭を下げると、セネカさんを抱え上げ…猛ダッシュで神殿の柱の陰に連れ込んだ
そしてその後を追う私とナージャさん。
「ちょっと!お父様っ!一体どういうつもりですのっ?!」
ミラージュは今にも興奮で頭からドラゴンの角を出しそうな勢いでセネカさんを責める。
「まぁまぁ…落ち着きなさい、ミラージュ。これには深い理由があるのだから」
「深い理由?一体それは何ですか?」
ミラージュに代わり、尋ねた。
「ほら、私はこの通り見た目は子供だが…本当はドラゴンだろう?」
腕組みしながら真剣な顔で話すセネカさん。
「ええ、そうですね。確かに子供にしか見えませんね」
ナージャさんが相槌を打つ。
「そう、それだよ」
びしいっ!とセネカさんがナージャさんを指さす。
「いいかい?はっきり言ってしまえば…外界に降りた私は…無力だ。仮に旅を続けるさなかで盗賊に遭遇したとしよう」
「なるほど、確かに旅に強盗はつきものですよね」
私は頷く。
「それで?強盗に遭遇したとして?」
ミラージュが先を促す。
「まず、そうなった場合私は…戦力外だ」
「「「は?」」
私達3人の声がハモる。
「つまり、私は危険な目に遭っても頼りになるどころか…確実に君たちの足手まといになるだろう」
何とも情けない台詞を堂々と言ってのけるセネカさん。
「あの…つまり何が言いたいのでしょう?」
「つまり、だ。君たちにはもう既に私がドラゴンであることは身バレしているが、彼は違う。私の正体に気付いていない。しかし、もし私がドラゴンであることが知られ、なおかつ何も頼りにならない存在だとばれたら恥ずかしいじゃないか」
セネカさんは尤もな口ぶりで言う。
「つまり、無力であることが恥ずかしいからドラゴンであることを隠すというわけですか?」
「勿論、そのとおりだ」
ナージャさんの言葉にセネカさんはうなずいた。
「な、なんて人ですのっ!自分のプライドの為だけに!正体を隠すなんて!情けないですわっ!」
ミラージュが喚く。
「何を言うっ?!それだけじゃないぞっ!いざとなると私を守ってもらえるようにわざとか弱い神官の子供のふりをして何が悪いのだっ?!これも私の身の保身のためだ!それともミラージュッ!お、お前は父である私を見殺しにする気なのかっ?!」
こうして大人と子供?の口喧嘩が勃発した。
あぁ…どうやら私は人選を間違えてしまったかも知れない…。
上空に浮かんでいるドラゴンの国を見上げ、私はため息をついた―。




