十六話目 *勇者VS第十近衛騎士
第十近衛騎士は手に持ったレイピアを構える。
「どうした、勇者。武器を持たないのか?」
「武器はこの星から出てくるから大丈夫」
勇者である。一ノ瀬蓮は手を前に突き出し魔法を唱える。
「いでよ。伝説の剣。その偉大なる大地の力を僕の手に。召喚・惑星剣」
蓮が魔法を唱えると、地面から蓮の身の丈に丁度合うくらいの大きさの西洋の剣が出現し、連はそれを手に取り、剣道の中段の構えを取る。
「準備は良さそうだな。いくぞ勇者。百連突き」
第十近衛騎士のレイピアは高速で連続で蓮の体を突き刺していく。そのあまりの速度に連は反応することが出来ず、召喚した剣で防ぐことができなかった。
そして、一ノ瀬蓮は死んだ。
「なんだ。どんな強さかと思ったが所詮は召喚されたばかり、先ほどの竜が特異な存在なだけだったか」
そう言い残し第十近衛騎士はその場を離れ、次の戦いに赴こうと蓮に背を向けると、突然、背後から気配を感じ、すぐさまレイピアを構え振り向いた。すると、そこには確かに殺したはずの蓮が剣をもって無傷の状態で立っていた。
「バカな。確かに殺した」
驚きの声を出す第十近衛騎士に対し、蓮は冷静に再び剣を構える。
「来い!」
蓮の気迫のこもった声に第十近衛騎士は応じ再び攻撃を仕掛ける。
「いくぞ。百連突き」
再び第十近衛騎士のレイピアによる高速連続突きが蓮を襲うが、今度は完璧にその攻撃に反応し、そのすべてを弾き返す。
「くっ。これならどうだ。雷光一閃」
第十近衛騎士がレイピアを突くと雷が発生し、蓮はその雷を避けることが出来ず直撃し焼け焦げる。
そして、一ノ瀬蓮は死んだ。
「今度こそ、確実に殺した。恐らく先ほどは回復魔法でも使ったのだろうが、こうなってしまってはその回復魔法も使えまい」
第十近衛騎士が再び蓮に背を向け歩き出すと、また、背後に気配を感じる。そして、振り向くとやはりそこには、蓮が完全に回復した状態で剣を構え立っていた。
「どういうことだ?。これは。死んで蘇るとしても、ここまで瞬時蘇る方法などこの世にはないはずだ。俺は幻でも見せられているのか?」
「幻じゃないぞ現実だ。来い!」
「何なのだお前は!。雷光一閃」
蓮はレイピアから発生する雷に対し、惑星剣を盾にする。すると、雷が惑星剣に当たるとその進路をゆがめ、蓮の後方に飛んでいく。
「さっきから、復活のたびに俺の攻撃を防げるようになってるな。今度は復活できないくらい、完全に消滅させてやる」
第十近衛騎士は今度はレイピアを自身の前に天に向けて構え、魔法を唱える。
「天の怒りを代弁せし、雷の精霊よ。我が刃に宿りて敵を消滅させよ。破雷滅閃」
第十近衛騎士が魔法を唱えるとどこから、ともなく落雷が発生し第十近衛騎士のレイピアに帯電する。そしてそのレイピアを構えると、一瞬にして蓮の後ろを取る。
「えっ!」
蓮が後ろに回り込まれたことに気付き剣で防ごうとするが、
「遅い」
蓮の体にレイピアが突き刺さる。そして、蓮の体から雷が大量に湧き出て、蓮の体がその余りの高熱に耐えきれず、灰となりもろく崩れ去る。
そして、一ノ瀬蓮は死んだ。
「形すら残さぬ我が最強の一撃。さらばだ」
第十近衛騎士が蓮の体が灰となり、風に流され消えてゆくのを確認してから、次の敵を目指し歩き始めると、第十近衛騎士の顔が完全に青ざめていた。そして、振り向くとそこには完全に無傷の状態の蓮の姿があった。
「お前一体。俺は何と戦っているのだ?」
「さっき、今のが最強の一撃であってる?」
「何?」
「その反応は図星みたいだな。ならもういいか」
蓮はそういうと、胸に手を当て言葉を続けた。
「ああ!、千歳ちゃん見てて、ぼくが敵を蹂躙するさまを」
蓮がそう言うと、第十近衛騎士は蓮の姿を見失う。
「どこに消えた」
「ズバッ」
次の瞬間には第十近衛騎士の左腕が切れていた。
「ああああ!。ど、どこだ!」
「ズバっ」
第十近衛騎士が悲鳴とも怒声とれるような声を出した瞬間に、次はその右足が切断される。
「あああああ!。なんだぁ。これわぁ」
第十近衛騎士は自分の身に起こっている現象を全く理解できなかった。先ほどまでまるで第十近衛騎士の動きに反応出来ていなかったはずのガキの動きを、今度は自分が全く見ることができていないという有り得ない状況に理解が追いついていない。
「ここまで、痛めつければ十分かい?。えっ!?。誰も頼んでないって。なんだ、喜んでくれると思ったからすぐ殺さなかったのに」
「はぁ?、誰と話して」
混乱する第十近衛騎士に蓮は苛立ちながら言い放った。
「お前がたいして強くないせいで、面白くなかったとさ。もう死ねよ」
次の瞬間には第十近衛騎士の体は真っ二つに切断されていた。
☆
【勇者、一ノ瀬蓮のスキルは以下です】
・七星属性魔法適性
熱、水、鉄、土、雷、光、闇の魔法の才を得る。
・剣術の多才
どんな剣術に対しても免許皆伝を得れるほどの剣術の才を持つ
・幸運
運が普通の3倍良い
・魅力
相手が自分にたいして好意的になりやすくなる
・星の申し子
専用スキルのため確認できず
・七転び八起き
死の淵から蘇るたびにステータス上昇
・強くなってニューゲーム
専用スキルのため確認できず
千歳は勇者の戦いを見て思った。
(あいつは不死身かっ?!)
千歳は今、安全な室内の中で、モニター越しに戦いを見ていた。その様子を客観視した千歳は思う。
(なんか、世界観ぶち壊してる気がするけど、まぁいいか)




