<能力>⑨
【赤柱 信】
「で、此処なわけだね」
「おぅ」
104は一階の第四部屋を指していると走行中に判断。部隊棟に入るなり壁の地図を確認。
場所はさっさと見つけて部屋前に到着。大方予想通りになった。後ろの方では人がごった返しているようで非常に騒がしい。
「一番乗りかな」
「変に期待しない方が良いぞ……」
取り敢えず部屋に入る。部屋にはすでに2人の生徒がいる。
一人は白髪で長身。もう一人はロシア帽をかぶっている、椅子に座っているため身長は不明。
「はやいね……」
「だな……」
ほぼ最初に教室を出たであろうオレらよりも別のクラス生徒が此処に早く到着するには……。
一つだけ思い当たる。
「窓から飛び降りたな?」
「その通りだ」
(マジかー……予想的中かよ)
座っていた男がそう言いながら立上り近づいてくる。
「取り合えず、自己紹介だ。俺は灰 龍悟だ。よろしく。で、あっちの白髪が」
「白井 翼。よろしく」
「オレは赤柱 信。この赤髪が紫花 来華」
「よろしく~」
自己紹介を一通りした時、部屋の入り口にロックが掛かった。電子ロックシステム搭載だと……。
そして、スピーカーから放送が始まる。
『え~……、テステス。皆さん所定の部屋に入室できましたか?』
声の主は小早川先生。先ほどと変わらずゆっくりとした口調でこう続ける。
『入れなかった者は、本来退学ですが、今回は初見なのでチャラです』
良いのかそれ……。通過儀礼みたいなもんだろ、これ。
『さて、引き続き試験です』
今度は何だ……。さっきみたいに面倒な試験は嫌だぞ。さては、実践か。
『部隊長を決めてください』
ん~……予想外れたけど。まっ、いいか。