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私だけの世界の中で  作者: 胡蝶
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幼稚園

幼稚園のころの話。

その頃になると、やけに姿を表すようになった。前は彼女自身で姿を表していたのが、呼べばすぐに隣にいてくれるようになった。

寂しいときも

辛いときも

嬉しいときも

楽しいときも

すべて、側にいて笑顔で私に話しかけてくれた。とても心強かったのを覚えている。

それが私にはとても嬉しくて、彼女と長話したり、相談にのってもらっていた。

だが、友達や先生なは彼女が見えてはいないようだった。ここにいるよって教えても、首をかしげたりとよくわからないようだった。彼女はそれを見て、ただ笑顔を浮かべるだけだった。


この頃になるとお母さんは、ますます私を避けるようになった。お母さんと呼んでも、無視されることが多くなった。不意に私を見ると、小さい悲鳴をあげて急いで顔を反らしたり、あえて顔を見ずに話をしたりしていた。お母さんはそうする度に、すごく辛そうな表情をしていた。

辛かった。だけど、時折涙を流しながら強く抱き締めて大好きと言ってくれた。涙が出るほど本当に嬉しかった。

それを見てた彼女も偉く辛い表情をしていたが、目が合うと笑顔になった。

彼女はいった。

あと少しで、お別れだね。

母に強く抱き締められ、抱擁に浸っていた私には彼女がいった言葉は聞こえなかった。

ただやけに、彼女は嬉しそうに言っていたのを覚えている。それはそれは嬉しそうに。

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