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背中合わせの女王  作者: 雲居瑞香
第5章
38/67

終章






 年が明けて、春。レドヴィナ王国内の、伝統はあるもののあまり規模の大きくない教会でフィアラ大公の結婚式が行われた。フィアラ大公と言えば、女王の国・レドヴィナ王国で女王の次に権力を持つと言われる女性である。女王ももっと大きな式にしてはどうか、と提案したが、女大公は拒否した。



 そんなに大きな式にしなくてもいい。結婚式くらいは、本当に祝ってくれる人たちだけに来てほしい。女大公はそう言った。



 この平和な時代において、フィアラ大公は異質だった。年明けの配置換えで、彼女は副宰相の任に就いたが、宮廷内の彼女の支持率はさほど高くない。彼女が女王と正反対と言っていい存在だからだろう。宮廷には、女王の支持者が多いため、フィアラ大公をよく思わない者が多いのだ。



 さらに、フィアラ大公が副宰相となり、意外(?)な事実が判明した。彼女は、人を使うのが異様にうまいのである。要するに、才能あるものはねたまれやすいと言うことだ。



 だから、大きな式にしても、招待客すべてがフィアラ大公を祝ってくれるわけではない。花婿であるカラフィアート公爵の三男は女王の護衛であり、美形であると有名であった。もし多くの貴族令嬢が招待されれば、フィアラ大公は恨みのこもった視線にさらされたことだろう。それくらいでへこたれる女大公ではなかったが、一生に一度の結婚式の時くらいはみんなに祝われたい、と思うのは当然の心理だ。



 花婿側も花嫁の主張を理解できたため、この小さな結婚式が敢行されたのである。



 美形で有名なカラフィアート公爵の三男と、きつめの印象だが美女であるフィアラ大公の結婚式はとても絵になった。教会の外に出れば、関係ない王都の住人達がのぞきに来たくらいだ。



 数少ない参列者の中には、当代の女王もいた。女王は妹のようにかわいがっているフィアラ大公の幸せそうな顔を見て、微笑んで涙を浮かべていた。



 その夜は、流星群だった。









ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


このお話に最後まで付き合ってくださった方、ありがとうございます! これで本編は終わりとなりますが、この先もちょこちょこと番外編を更新していこうと思っています。

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