表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Apocalypse -アポカリプス -  作者: 秋月秋葉
3/26

Episode.3

<00>

 「しかし、よく耐えれるね……私もビックリだよ。本当に」とカルテを見ながら言う。


 医者は深く椅子に座りなおす。


 「……私が欲しいのは薬だけ。≪呪われた過去≫を、払拭できればいいの。あの事件のことを少しでも、忘れたいの」


 それはわかった、と医者は言って、カルテにいつもの薬の名前を書き込む。

 ……ありがとうございます。と言い立ち去る。


 診察室を出ると、面倒を見る更科さらしなが診察室の壁に寄りかかっていた。


 何の用?と尋ねる間もなく、一枚の写真と紙が目の前に出される。


 「新しい仕事?」


 更科は頷く。

 わかった。と言って写真と紙を奪うって、鞄の中に入れる。


 「学校もろくに行ってないだろ最近」


 「なに、私に指図?」


 「いえ、学業に差しさわりのない程度にしてください」


 睨みつけて速足で立ち去る。

 

 調査は順調で楽だったわ……、と言って更科との電話を切る。


<02>

 仕事の帰りのその足で、両親と姉妹が眠る、お墓へ行く。


 花をお墓に手向けて、手を合わせる。

 「パパママ、唯緒いお……ごめんね……」


 砂利を踏む音が聞こえる。


 背筋に何か鋭い何かが、あてがわれるのが、わかった。


 両手を上げろ、と野太い声がささやく。


 ……人の霊前で、よくそんな行為ができるな、と言って振り向くと顔に強衝撃をくらう。


 「どこまで、阿呆なんだ。十六年前も」


 胸倉をつかみ、持ち上げられる。


 「軽いな……。酷く軽い」


 切れた唇を袖で拭い、「うるさい」と呟く。


 「すべての≪始まり(元凶)≫」はお前なんだ。そして、私がこうなったのもお前のせいだ!」


 少しの間を開けて「このためにとっておいた。≪私の贖罪≫それは、お前を殺すこと。そして、それは家族への弔いと同等の行為になる」


 「戯けが、この馬鹿娘」と男は言い胸倉をつかんだまま、墓標に向けて投げ捨てられた。


 男は寄ってきて、肩を踏みつつ「お前も≪魔女の権利≫を受けたのか」と言って立ち去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ