Episode.2
<00>
この世界には5人の魔女がいる、彼女たちはそれぞれの物語によって生み出されし存在。
彼女たちは、それぞれの流儀に従い行動をする。
ゴシックアンドロリータファッションの少女が、持っていた鞄を投げ捨てたと思った瞬間、僕を見ている。がしかし、何か変だ。僕の意識が薄れてゆく。
「あんた、死んだのよ……。はぁ……」とため息をついた、少女はポケットから薬のシートを取り出して、手から数個落ちる無視して一気に口に含み少し濁った水のようなもので流しこむ。
いかにも、その量だとオーバドースだ。と止めたいのは山々なのだが、声が出ないし体も動かない。
「少し黙ってなさい、そしたら病院にちゃんと運んであげるから」と少女は言って、何か囁きさっきまでは薬のシートが握られていた手の中に、≪古めかしい本≫が一冊だけあった。
「……日常生活を捨て、灰にまみれた私。
私の悲しみと共に世界を
私の為に、何もかも焼き尽くしただの灰と化せ……」
目の前で激しく青白い炎で燃える何か怪しい物体。
「ちっ……イソップ童話の断章か」
落ちていた一枚の紙を拾う。
「息絶えたかな……」
倒れている男に目を向ける。
「……しぶといのね、仕方ないから」
そういうと、近くに投げすてた鞄から、携帯電話を持ち出してみている。舌打ちが遠くに聞こえる。
「少しの間、息絶えないで、黙ってなさいわかった?」
まぁ言っても無駄か、と小さく言う。
「まぁ、死ぬなよ」
足音が遠のいてゆく。
<01>
気が付くと、白い天井だった。
「生きてる……」
花束を持った誰かが病室に入ってくる。
よかったわね……。と言ったのは昨日のゴシックアンドロリタータの少女だった。
生きててよかったね、と言って花束をベッドの上に投げ捨て、立ち去ろうとするのをベッドから立ち上がりとめるが、足がもつれて彼女の上に馬乗りになる。
彼女には、片方の目がなかった。ある場所には火傷のような傷跡があった。
「何?」
「僕は、君が……誰か、知らない。教えて欲しい……」
彼女は僕を押しどけると、彼女に点滴の棒が落ちてくる。
「あぶないっ」
彼女はそれを、軽く腕で払いのけたら、点滴の支柱が壁にぶつかり、いい音が響く。
「もう少し、しっかりしなさい」
彼女は速足で、病室を出てゆく。
火傷らしき傷ではっきりとは見えなかったが、確かに鎖骨の下に十字架状の痣が、馬乗りになった時に見えた。
「あの痣なんだろう……」
ノックが聞こえた。




