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Episode.12(後編)
「なんで、いまさら東京に来た」
虫の知らせよ。と燈羽莉がほほ笑みながら答える。
「私もアポカリプス・ゲノムウィルスに共鳴で、ある程度何か察していたけど」
「そんなのあるわけないでしょ。君のウィルス性能とは違うよ」
そもそも、私は感染してないし。と小さく呟く。
「そうだったね」
いいヒントにこれを上げるよ。とファイルを差し出してくる。
「これは?」
「“ヒト・ゲノム進化計画”っていうプロジェクトの資料だよ」
まぁ、ほのかは選ばれた存在ってことだよ。
「あと、君が持ってる“失楽園”の意味も分かるよね」
そしてアレは危険と付け足し。燈羽莉が一枚の写真を渡す。
写真には“実験機ウイルス加速炉”と書かれていた。
「ああ、やっとわかったあの設備の理由が、アポカリプス・ゲノムウィルス加速炉…つまり兵器になる」
そういうこと。と燈羽莉がほほ笑む。
「ウィルスを展開状態であれに触れるだけ」
「そうそれだけ」
燈羽莉は壁を伝って登り、その場から立ち去る。




