Episode.8
彼女はこないだのゴシックアンドロリータに着替えハードケースのギターケースを持って裏路地を走ってゆく。
「走って騎士団と接触した可能性があるから」
細い路地裏を右往左往しながら、竜也の手を引き走ってゆく。
「まって、童話騎士団ってなんだ?」
「各童話いや物語に登場する、騎士又は王子さらに準ずるモノが、騎士団としてこの世に具現がしてる」
そうなのか、と頷くと何か硬いものにつまずいた。
「お出ましのようだ……」
目の前の荊のような物体を見るとギターケースを足元に置き、そのケースから拳銃と刀を
出してきた。
「これで自分の身ぐらい守りなさい」
渡された拳銃をまじまじと見つめている達也、を無視し鞘に納まった刀を持って荊の中へ消えて行く。
そう単純にはいかないか、と言って荊を切りながら進んでゆく。
「ねぇ荊姫さん。この荊って燃えるかしら?」
断略燃えろ!というと、髪は白くなりあたりが燃え盛る。
「これが中枢ね。珍しいわね半完成のグリム童話の“いばら姫”なんて……」
落ちていた紙束を拾い上げる。
後ろから「銀髪もきれいだね」と、達也に言われてドキッとする。
初めての感想だった。
他の人からこの能力の代償について、言われるなんて。




