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第1話「視線」


「…………」 じぃー


「…………」



 放課後で特にすることもないから、図書室で本を読んでいたら『学校一の美少女』で有名な清水さんが『ぼっち』の僕を睨みつけていた。



「…………」 じぃー


「…………」 



 あれかな? ぼっちの貴方ごときが、この私と同じ空間にいるんじゃないわよ! 不快だから消えなさい……バ●ス! とか、言われるのかな?



「…………」 ガタッ!


「…………」 ビクッ!



 おっ! 動き出した……って、こっちに来るし!? 


 ヤバイ……マジで何か言われるか?



「……少し、いいかしら?」


「な、何かな? 清水さん……」


「貴方が読んでいるその本なんだけど……」


「え、本?」



 本って……暇で図書室から借りて読んでたこのクッソつまんないB級ホラー小説のことか? 



「この本がどうかしたのかな……?」



 僕がそう聞くと、彼女はまるでにやける口を隠すかのように口元を手で覆いながら、視線を真横に向けて目も合わさずにこう言った。



「その本に目を付けるとは、なかなかに見所があるわね……?

 だけど、残念ながらその本は超B級のドマイナーホラー小説だから、読んだ感想を言いたくても語れる相手なんていないと思うわよ?

 ああ、そう言えば……っ!

 これは偶然といえば運命的にも思えることなのだけど……実は私もその小説を読んだことがあったのよね。

 あら、ちょっと勘違いしないでくれるかしら?

 別に、私はそういうB級ホラー小説が好きとかじゃなくて……なんか、何処かの公園で可愛らしい格好をした幼女が……


『ふぇえ~、B級ホラー小説はいりませんか~?』


 ――って、さながらマッチを売る少女かのように困り果てていたから、仕方なく……それは仕方なく! そう、仕方なく購入しただけで……

 決して、私がそういうB級ホラー小説が好きなわけじゃないんだからね!?

 そ、そう言うわけで……

 今現在超偶然的にも同じ小説を読んだ事のある二人がここにそろったわけなのだけどぉ?

 『ぼっち』でおそらく友達もいないであろう貴方がどうしても、どうしても……っ! その小説の感想を話し合いたいというのなら――、

 この私が話し相手になってあげてもいいのよ……?」 



 ――フム、なるほど……どうやら、彼女の長い話を要約すると……


 『一緒にその本の感想を語り合わないかしら?』ということらしい。


 ならば、僕の答えはこうだな……。



「……いや、結構です」



 僕がそう言うと――、



「…………」 プルプル…… ← 涙目



 学校一の美少女は、仲間になりたそうな目で僕を睨みつけていた。




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