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世界とのズレ

気が付いたら、俺は小夜(さよ)の家に向かって走っていた。

道すがら、さっき別れたばかりの小夜(さよ)の姿がないか、何度も目を走らせる。

ニュースで流れた内容は頭の片隅にあるけど、信じられるはずがない。

たまたまあの場所に小夜(さよ)のものが落ちていただけかもしれない。

別人の可能性もある。

だって俺たちは――一緒にいたじゃないか。


それでも思い出す。

あの日、二人で調べた神社の言い伝え。

そんなことはありえない、あれはただの言い伝えだ。


息を切らしながら小夜(さよ)の家に着く。

チャイムを鳴らし、ドアを叩くが返事はない。

裏庭から窓を覗いても、人の気配はない。

胸の奥がざわつき、落ち着かないまま庭を行き来する。


そのとき、小夜(さよ)の言葉を思い出す。

――今日待ち合わせでいいかな。


ハッとして再び走り出す。

疲れは感じてなかったが、足がもつれて何度も転びながらも走る。

肩で息をし、汗は滝のように流れ、服は泥と擦り傷で汚れている。

それでも走る事を止められなかった。


神社にたどり着くと、以前会った宮司が境内で立っているのが見えた。

宮司は俺の姿を見て目を見開く。

「どうしたんだ、君――」

俺は息を切らしながら逆に問いかける。

小夜(さよ)を……俺と一緒にいた女の子を、見ませんでしたか!?」

宮司は首をかしげる。

「一緒にいた女の子……?それはいつのことかな」

俺は焦りながら言葉を続ける。

「この神社の由来を聞きに行ったときに、一緒にいた子です!」

宮司の顔はさらに不思議そうに歪む。

「何を言っているんだね。あの時、君は一人で来てたじゃないか」


その言葉にしばらく立ち尽くす。

宮司は心配そうに手を差し出す。

「大丈夫かね、いったん手当を――」

その言葉を聞き終える前に再びフラフラと走り出す。


――神社のさ、池のとこで


小夜(さよ)はきっと、そこにいる。


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