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2杯目-中編-

お日様がてっぺんに登った頃。

店頭に立ちながら、私の頭の中には白いもやがかかっていた。

それは昨日の出来事のせい。


幸いなことに、平日の昼ということもあって、お客さんは少ない。

ホウ助もカウンターの上で、ホーホーと寝息を立てていた。

今までにおまじないの注文を受けたのは、常連のお婆さんだけ。

あの時はすんなりおまじないをかけたのに。

何をいまさら迷っているんだろう。


「うーん。」

悩みがトゲとなって胸につっかえたまま、誰もいない店内の掃除を始める。


「昨日のことでまだ悩んでいたのか。」

さっきまで寝息を立てていたホウ助が、いつの間にか起きていた。

「うん、昨日のことでちょっとね。」

「俺にはさっぱりだ、どうして悩んでるのか。でも聴くことはできるぞ。なんたって俺はリカコの先生だから。」

「ありがとう、ホウ助。」


少しの静寂が流れた後。

「こないだのおまじないは、きっと良いことになるって思ってた。実際に喜んでもらえたし。でも子供におまじないをしちゃうと、今後もずっとすがってしまうんじゃないかって。」

ホウ助はしばらく黙って考え、口を開いた。

「リカコの悩みはわかった。確かにそう思う気持ちもわかる。でも、それはあの子がどんなおまじないかけてほしいのかを知ってからでも遅くはないんじゃないか?あの様子じゃ、あの子の悩みはそんな単純なことじゃないと思うぞ。」

ホウ助の言っていることはわかる。

だから私もあの時教えて欲しかったんだ。


「でもな、悩むことはいいことだ。それだけリカコは、お客さんのことを考えている。その悩みはリカコの優しさからきているんだ。仕方ないさ。」

ホウ助の優しさに口角が自然と上がってしまう。


「言いたくないことでも、悩みを打ち明けて欲しかったな。」

ホウ助は優雅に羽を広げて、お気に入りの窓際へと降り立つ。

「それにはあの子の準備が足りなかったんだと思うぞ。」

「また来てくれるかな。」

「来てくれるさ、きっと。」

ホウ助は外の光景を見つめていた。

頭の中の白いもやはまだ晴れない。

けれど心は落ち着いていた。


「よし!今日もお仕事頑張るぞ!」

「もう午後だけどな。」

思わず笑ってしまう。

そんな私に吉報を告げるようにベルの音が鳴る。

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