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え? 僕のせいなんですか?

「あの女……獣人か?」


 クドーが部下に尋ねる。


「やたら強いんですが、大食らいでギャンブルもするせいでうちに金借りてるんです」


「ほう……強えのか」


 クドーは獰猛そうに歯を見せて笑った。


 ◇◇◇


 翌日、俺は冒険者ギルドで安い定食を食べていた。

 濃い味付けで労働後の体に染みるのだ。そして、安い。

 いつもだとルナが馬鹿みたいにいくつも定食を食べているんだが、今日は見当たらないな。


「よう、無職。ルナを探しているのか?」


 顔見知りの冒険者が声をかけてきた。


「探してねえよ」


「ルナの奴、クドーファミリーに借金のカタに捕まっちまったらしい」


「まじかよ」


 相変わらずリエン街は治安が悪いな。まあ、あいつなら大丈夫だろ。


「なんでも最近トラブルがあった際、クドーに目をつけられたらしい」


「へえ、そうなんだ」


 トラブル……まさかな。あの程度トラブルなんて言わねえよ。


「土木作業中の出来事だって聞いたぜ」


 他の奴の言葉の後、皆の視線が俺に集中する。


「あれは野生のゴリラだから、捕まえられねえだろ」


 ルナを捕まえるには、十人じゃそこらじゃ不可能だ。


「それが、相手も本気で数十人連れてきてたらしい」


「……分かったよ!」


 俺は飯を食べ終わると、席を立つ。


「おい、無職。行かない方がいいぞ! 下っ端はともかく頭のクドーは元C級冒険者らしい」


「……まだ貸しを返してもらってないからな」


 俺はそう呟いた。


 ◇◇◇


 リエン街の裏路地。そこには十人を超えるギャングが倒れていた。


「畜生、十五人はやられたぞ。とんだバケモンだぜ」


 クドーが地面に唾を吐く。

 その目線の先には、猛獣用の檻に入れられたルナの姿があった。


「クドーのアニキ、このガキどうするんですか?」


「綺麗どころで強い獣人を探している変態貴族が居てな。高く売れるって訳よ」


「おなかが減って動けないだけじゃ。飯さえ食えばお前らなんてぼこぼこにしてやるけえ」


 ルナは資金難からご飯を満足に食べることができず、ぐったりとしていた。


「なんだ、活きがいいな。いくら吠えてももう終わりだ。お前のような野良を助けに来るほどこの街は甘くない」


「そんなこと、知っとるわ」


 その時、背後の物音を察知し、金髪の男クドーが反応する。


「こんな裏路地に……誰だ?」


「あいつは!?」 


 ルナが大声を上げる。


 その目線の先には、ぼろ服を纏ったお爺さんが立っていた。


「「「誰だ?」」」


 お爺さんを含めた皆が首を傾げる。


「この爺、殺しますか?」


 部下の一人が、爺さんの首根っこを掴む。


「ひいいい!」


 お爺さんの叫び声が響く。


「止めとけよ。今時流行らねえぜ、人攫いなんてよ」


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