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尻尾も振れます

「美味えええええええ!」


「流石に死なれたら困るからか、今日はここまでとビトーも言っていたよ」


 七号と名乗る男性が言う。あの大男ビトーと言うのか。


「聞きたいことが沢山あるんだ」


「まあ、そうだろうねえ。分かることならなんでも答えるよ」


「ここはなんだ?」


「ここは……犯罪組織『レイヴン』の贋作工場だね。レイヴンは知っているだろう? この国で最も巨大な犯罪組織。この国の犯罪はだいたいここが関わっていると言っていい。若手の工芸家や芸術家を騙して連れてきて、偽物を作らせているのさ。僕たちは彫刻班だけど、絵画班や工芸班も居るよ」


 七号の言葉に俺は頭を抑える。そんなやべえ組織に閉じ込められたのかよ。


「冗談じゃねえ。出口はどこだ?」


 俺の言葉を聞いて七号は乾いた笑いを浮かべる。


「ここに閉じ込められたら二度と出ることはないよ。出られるのは死体になった時だけさ。一号から六号は死んだからね」


「嘘だろ……」


 俺は七号の言葉に、衝撃を受けた。


「おい、二十号! 飯を食ったら部屋に戻れ!」


 俺は無理やり部屋に戻される。

 その夜、俺は空腹で鳴る腹を押さえる。


「ひもじいよお……贋作なんて作るんじゃなかった」


 俺は頬を涙で濡らしながら、薄い布にくるまって眠りについた。


 ◇◇◇


 一方その頃、ルナとフィンは晩御飯の肉を食べながらヨイチについて話していた。


「ヨイチさん、今頃どうしているんでしょうか?」


「きっとステーキ食べておるじゃろう。早く稼いで戻ってきて欲しいもんじゃ」


「それならいいんですけど……」


 呑気に言うルナに比べ、フィンは心配そうな顔を浮かべていた。


 ◇◇◇


 牢屋に閉じ込められて早三週間。

 俺は……すっかり飼いならされていた。

 毎日三つの彫刻を作り、ご飯を貰う日々。

 飯でも貰えるだけましだな。


「二十号もすっかり慣れたな」


「そうっすねー」


「良いことだ。順応できない奴は死んでしまうからな」


 後から聞いたが、初日はできない量の課題を与え、後から現実的な課題を与え飼いならすのがこの施設のやり方らしい。


「飯だけが楽しみです」


 固いパンと具の無いスープ。薄い肉か野菜。それでも人生の楽しみにはなりうるのだ。

 また朝が来た。光もないから正確な時間は分からないけど。


「早く動けや! 飯要らねえのか!」


 ビトーの怒号が施設中に響く。

 どうやらかなり苛々しているらしい。

 俺は唯一の楽しみである朝食を優先して、席に座る。

 ビトーはつかつかと俺の横までやってきた。


「よう、二十号。最近調子が良いみたいだな。一日三個じゃ物足りねえだろう? 今日は四つ作れ。それまで朝食は抜きだ」


「部屋に四個あります。見て下さい」


「はあ!? ほらふきやがって! なかったら覚えていろ」


 ビトーはのしのしと俺の牢屋を見ると舌打ちする。

 気分が乗った時に一個余分に作っておいて良かった……。


「ちっ! 本当に一日四個にしてやろうか……」


 そうぼやきながらビトーは去って行った。


「やるじゃねえか、二十号!」


 彫刻班の皆が大声を上げる。

 ふふふ、皆俺を誉め称えるのだ!

 その後は気分も良かったため彫刻も進んだ。


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