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インスタントシリーズ

ビッチな私には幼馴染が傍にいる

作者: 井村吉定

 私は、どうしようもない馬鹿だ。


「どーすんのよ! アンタが着けないせいで、できちゃったじゃない!」


 だって、自分が許してしまったことが、どんな結果をなるのか想像できていないのだから。


「あ? 知らねーよ、お前で何とかしろ」


 大事なことなのに、彼にとっては他人事のようだ。彼がしたいと言ったからそうさせてあげたのに……。


「つか、ヤれねーなら別れるわ。じゃあな」

「待って!」


 そう言うと、彼は私の部屋から出ていってしまった。


 彼は私物を部屋には置いていない。もう、彼は戻ってこないかもしれない。


 私のお腹にある命、育てるにはお金が必要だ。堕ろすお金さえ私にはない。


 きっと天罰が下ったのだ。


 私は恋人がいる時でも、いろんな男と交際をしていた。付き合った男達をランク付けし、誰が一番なのかを競わせた。


 そんな私から、次第に男達は離れていった。最後に残った男が、さっき出ていった彼だった。


 今の私は八方塞がりと言っても過言ではなかった。収入は全て男任せ、私はアルバイトくらいしか経験がない。


 ――ピンポーン!


 不意にインターホンが鳴る。


 彼が戻ってきたのかもしれない!


 私は急いで戸を開ける。そこにいたのは――。


「やぁ、由佳(ゆか)ちゃん。久しぶり、いきなり来てごめん。迷惑だったかな?」

「なおきぃ~!」


 幼馴染の尚樹(なおき)だった。


 私は尚樹に事情話し、そして縋り付いた。ピンチの時に駆けつけてくれた彼は、天使に思えた。


「そっか、大変だったね。安心して、子供は僕が育てるよ」

「尚樹の子供じゃないんだよ? いいの?」

「じゃあさ、僕の子供にしてよ」

「それって……」

「僕と結婚してほしい」

「尚樹!」


 その後、尚樹と私は結婚した。


 私は幸せだった。こんな私でも、直樹は傍にいてくれたのだから。


 ★★★★★


 まったく、大変だったよ。由佳ちゃん、君を僕のものにするのは。


 君好みの男を見つけて、君と付き合うように仕向けるのは苦労したよ。


 その後に、君と男達を別れさせるのにどれだけお金を使ったことか。


 あ、ちなみにお金あげるから由佳ちゃんと別れてって言ったら、皆喜んでたよ。


 君がいけないんだよ。僕が告白したのに、僕がダサいから付き合えないなんて言うから。


 だから僕は、君を僕以外に頼る人間がいない状況にしたんだ。


 大人しく僕のものになってれば、赤ちゃんなんてできなかっだろうね。


 まあいい。由佳ちゃん、これからは僕と一緒に幸せな家庭を築こうじゃないか!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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