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サイド:エルリック5

 王宮の地下深くにある一室。


 そこは古くからある地下牢を改造し、医療設備と魔法儀式の祭壇が設置され一種異様な空間が形成されていた。

 その場所にエルリックと王宮魔術師のセレーナはいた。

 そこにフードを目深に被った1人の男が合流する。



「エルリック様にセレーナさん、ここにいたんですか。もう、探しちゃいましたよ」


「嘘おっしゃい。あなた、私の魔力を感知して、一瞬で転移で移動してきたでしょ」


「あは、ばれちゃいました?」


「あなたは変わらないわね、ドラルド」


「セレーナさんほどではないですよ」



 ドラルドと呼ばれた男がフードをはね除けると、その顔は半分が二十代後半の若い男、もう半分が骸骨だった。

 それは、ダンジョンから地上に戻ったアルルの師匠であった。



「それで、あなたエルフの里は大丈夫なの」


「ああ、大丈夫ですよ」


「ふーん、エルリック様からのご指示のあったエルフの巫女のダンジョン細胞は回収できたの?」


「そんなものより、ダンジョンでもっといいものを見つけちゃったんですよね」


「ほう」



 そこで初めてエルリックがドラルドに声をかける。

 ふざけた言動と不真面目な態度の目立つドラルドだが、その能力もさることながら、獲物を嗅ぎ分ける嗅覚は本物だった。

 それがエルリックがドラルドを信頼している唯一の理由だ。



「それで何を見つけたんだ?」


「エルリック様の求めていた神の力の一部……って、言ったらどうします?」


「……本当なのか」


「あれ~、俺って嘘付いたことありましたっけ?」



 おどけたようにそんなことを抜かすドラルドに、セレーナは苛ついたように舌打ちするが、エルリックはむしろ歓喜の表情を浮かべていた。



「お前はそれをどうするつもりだ?」


「もちろん、エルリック様に差し上げても構いませんよ。ですが、もしエルリック様さえ良ければ、俺が手にいれた神の力を俺にください」


「なっ!?」



 セレーナは言葉を失う。

 エルリックが求めて止まない神の力の一端。

 その神の力を手に入れながら、ドラルドはそれを自分に寄越せと言ってきたのだ。

 セレーナには、エルリックの怒りがどれ程になるのか想像もできない。

 だが、当のエルリックは冷静だった。



「それで、ドラルド、お前に神の力を与えたとして、お前は俺に何を返してくれるというんだ?」


「うーん、とくには」


「ドラルド、あなた、エルリック様に対してあまりに無礼ではないの」


「そう怒らないでもいいでしょ。セレーナさん、こんな良い身体してるんだし、色っぽく笑ってるほうが可愛いですよ」



 いつの間にかセレーナの背後に転移したドラルドがセレーナの臀部を撫で上げる。



「なっ!?」


「いい歳なのに恥ずかしがった顔もまた可愛いですね」



 羞恥に顔を歪めて紅潮させるセレーナを下がらせ、エルリックが前に出る。



「2人とも遊びはその辺にしておけ」


「へぇ~い」


「私は別に遊んでなど……」



 ドラルドはどこまでも不真面目に、セレーナは納得がいかないように、それぞれ返事をする。



「ドラルド、もう一度だけ問おう。お前は俺に何を返してくれると?」



 エルリックの静かな圧力のある言葉にドラルドは不適な笑みを返すと、次の言葉を紡いだ。



「神をも越えうる力をエルリック様に」



 それは、ドラルドがこの場に来て初めて真面目な顔をして発した言葉だった。

 しばらく、エルリックがドラルドを見つめる。

 視線を反らすことなくドラルドはエルリックを見つめ返していた。



「…………いいだろう。神の力はお前のものだ」


「有り難き幸せです」



 そう言ったドラルドは、また不真面目に笑っていた。


読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ拙い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m

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