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賑やかな朝

 奥深い森の39階層。


 大宴会の翌日にエルフの里で行われたガンツとエルフの巫女様ルエルの結婚式は派手に盛り上がった。


 最初、形だけの結婚式で済ますはずだった。

 だが、エルフの長の親バカぶりとドワーフの仲間たちの同胞愛、王族である第4王子ジルエルと第3王女クウデリアの参席もあるならと、豪華で華美な物へと変更された。

 さらには僕らまで恩人だから強制的に参加しろと脅迫され、結果、大宴会以上の盛大な宴会になっていたとだけ言っておこう。

 いくら祝いの席とは言っても、みんな飲んで騒ぎ過ぎだ。

 僕たちは早めに宴会の席を離れさせてもらい、エルフの里の空き家に宿泊させてもらっていた。


 僕は簡素なベッドの上で目を覚ます。

 そうは言っても、久しぶりにゆっくりと深く眠れたため、まだボーッとしながら目の前のポルンのフサフサの尻尾を眺めていた。



「ポルンのやつ、また夜のうちに僕のベッドに潜り込んできてたのか」



 確かに、昨日の夜は肌寒かったし、僕の布団に潜り込んできたくなる気持ちもわかる。

 ふわぁぁ、まだ眠いや。

 まだ朝も早くて少し寒いから僕もポルンのモフモフの毛皮の温もりで暖めてもらおう。

 そう思って、ポルンをぎゅっと後ろから抱き締めた。


 モニュっ。

 そんな擬音が聞こえてくるくらい柔らかいものが僕の手に収まっていた。



「おや?」



 なんか頭の中にピコーンという音が聞こえて、なんか僕の頭の中でボソボソと誰かが何か言っている。

 うるさいな。

 モニュっ!



「おやや? なんだろ、これ?」



 今までポルンの体を触って、こんな感触を感じたことはなかった。

 何かわからない柔らかいものをもっと揉んでみる。

 モニュモニュ。

 なんか、すべすべで張りがあり柔らかい。

 また、ピコーンという、どこかで聞き覚えのある音がした。

 僕は聞こえてくる声に耳を澄ます。


(おっぱい耐性レベル4が、おっぱい耐性レベル5になりました)



「おっぱい……耐性?……おっぱい耐性!?」



 僕は慌てて跳ね起きると、ポルンだと思っていた人物を確認する。



「誰?」



 僕のベッドで寝ていたのは青い髪を腰まで伸ばした15歳くらいの全裸の美少女だった。

 ええええええええええっ!

 何これ、どんな状況!?

 この美少女は頭に犬の耳があり、お尻の付け根から見覚えのあるフサフサの犬の尻尾を生やしていた。

 こんな獣人の美少女なんて見覚えないんですけど。

 えっ、待って、この尻尾って、まさか?

 僕は封印耐性(手)の効果を使い、虹の手を発動させてこの獣人美少女の情報を確認する。


 従魔ポルン(状態:人狼)


 やっぱり、ポルンだった。

 ポルンの能力の情報を読み取ると、ドワーフのヘッポコダンスを参考にして、《踊り上手》の効果により人狼の舞を完成させたらしいことがわかった。

 人狼状態って、獣人になれるってこと?

 すごいんだけど、このタイミングってのが最悪だ。



「こんな状況、もし誰かに見られでもしたら誤解されたりして大変なことになるんじゃ」



 そう言いながらドアのほうを見ると、愕然とした表情のエルフの小さな女の子がいた。

 あっ、この子って、確かエルフの巫女様の妹さんじゃなかったっけ。

 でも、どうしたんだろ。

 女の子は街で変態にでも遭遇したような、うわ~こいつ最悪って顔をしている……って、この状況なら、その変態ってのは僕のことか。

 自分の部屋に獣人美少女を連れ込む奴。

 そう思われたかもしれない。



「あの、これはね」


「あ、説明は大丈夫です。神の手のお兄ちゃんも男の人なんですから、そういうことをしたくなる場合もありますよね。そういうの魔が差したっていうんですよね」


「いや、本当に違うんだって」


「じゃあ、その左手は何なんですか?」



 えっ? と僕が見ると情報を読み取るために触れた左手が、今は美少女獣人となったポルンの胸の上に置かれていた。

 うわ、動揺しすぎてて、全然気付かなかった。

 ホントだよ。



「ポルン、起きて説明をして、いや、違うな、そのまま布団を被って寝てて、今、服を持ってきてもらうからっ!」


「えっ、服がないって、この部屋まで全裸で連れ込んだってことですか? ますます犯罪の臭いがするんですが」


「何もないから、潔白だから」


「アルル、朝、うるさいポル」



 僕たちの声で身を起こしたポルンが、いつものように僕の顔をペロペロと舐める。

 子犬のようなコボルト状態ならまだしも、獣人美少女でのペロペロはまずいでしょ。

 っていうか、人狼状態だとポルン、喋れるの!?

 いろいろ驚き過ぎて思考がまとまらない。

 僕はゆっくりとエルフの女の子の顔を見る。


 女の子は優しい慈愛の笑みを浮かべて「不潔です」とだけ伝えてきた。

 潔癖で、そういう関係になるまで清い交際になるというエルフには考えられない行いだろう。

 そうして、賑やかな朝を迎えた僕は、エルフの女の子の誤解を解くためにもう少しだけドタバタと頑張ることになった。



読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ拙い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m

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