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VS 古代樹人

 奥深い森の39階層。


 僕たちは上空からのクウデリアの案内で森の中を駆けていた。

 脇のほうから、魔物が襲ってこようとするけど、ドワーフやエルフ、ジルエルたちが僕たちの進む道を作ってくれている。

 ジルエルが《鬼神の移し身》の能力を使っているところを初めて見たけど、全身がやや小さめのオーガのような姿になっていた。 

 影魔法で作成した刀と言われる武器を両手に持ち、自由自在に伸縮させて魔物相手に無双していた。  

 これって、100体の魔物のほうはジルエルだけでほとんどいけちゃうんじゃないかという勢いだ。

 ドワーフとエルフの人たちもいるし、僕たちは予定通り古代樹人に集中させてもらう。



「そろそろ、地上からも見えてくると思いますの」


「クウデリア様、僕たちからも古代樹人が見えてきました……って、デカイっ!」



 大木ともいうのも烏滸(おこ)がましいくらいの巨木に8本の手足の生えた古代樹人がそこにいた。



「リアさん、なんか、小さな森が動いて迫ってくるみたいに見えますね」


「そうだな。アルル、今まで通り、私とポルンが先行させてもらうぞ」


「ポル」


「リアさん、ポルン、お願いします」



 リアさんと雷狼状態のポルンが正面から突撃していく。

 古代樹人に比べれば、リアさんたちはめっちゃ小さい。

 鼠とトロールくらいの差がある。

 リアさんとポルンは古代樹人の手や蔓の攻撃をかわすとそのまま斬りつけたり、噛みちぎったりしていた。

 それだけで大木のような古代樹人の腕が1本切り落とされる。



「リアさん、すごい切れ味ですね」


「ロングはオリハルコンで鍛えなおされて、さらにガンツに切れ味が増す呪いをかけてもらっているからな」


「それって呪いじゃなくて、もう加護でいいんじゃありませんか?」



 オリハルコンで強化された加護付きの武器といったら勇者や英雄が持ってそうなイメージだ。



「さすがに、この大きさだと能力なしの斬撃だけでは効果も薄いな。アルル、早速で悪いが私の能力《剣の才》の解放をしてもらいたい」


「了解です」



 僕は、下がってきたリアさんの額に触れる。



(封印耐性レベル10の効果により、従魔リア・ウィリアムの《剣の才》の解放をおこないますか? yes/no)


 あれ、聞こえる言葉の中から「一部」って文言が消えてるけど、どういうことだろう?



「リアさん、どうします?」


「ふむ、どういうことかはわからんが、能力を全部使えるというのならぶっつけ本番でも試してみる価値はあるのかもしれないな」



 まあ、制限無しで能力が解放されるなら前より弱くなることはないだろうし、大丈夫か。

 リアさん自身もいいって言ってくれてるし、僕はyesを選択する。


 さあ、リアさんの《剣の才》の全解放ってやつを見せてもらおうじゃないか。

 あれ、何も変わっていないようにみえるんだけど?



「…………リアさん、何か変化ないですか?」


「…………」


「……リアさん?」



 リアさんは何も言ってくれないし、とくに見た目の変化はない。

 そう思っていたら、突然リアさんが直立不動で硬直したまま地面に倒れてしまった。



「リアさん、どうしたんですか? 能力の副作用か何かがキツかったんですか?」



 僕がそう尋ねると、意外な形でリアさんからの返答が返ってきた。



(アルル、私は大丈夫だ)



 リアさんの声が直接頭の中に聞こえた。

 どういうことと思ったけど、その答えもリアさんが教えてくれた。



(アルル、どうやら私は今、剣になっているらしい)



 うん、答えを聞いてもよくわかんないんだけど?

 本当にどういうこと?


読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ拙い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m

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