次の目的
ダンジョン生活3日目。
僕とリアさんは31階層の灼熱ステージに来ていた。
相変わらず溶岩が蠢いていて空気まで熱い。
「アルル、ここで何をするんだ?」
「この階層をどうにかして抜けられないかなと思って」
「ここを抜けるって、ひょっとして下の階層に行こうと思っているのか?」
「はい」
僕はリアさんに肯定の意思を伝える。
確か、事前に調べた情報だと32階層は氷結ステージ。
僕は、そこに行ってみたくなった。
どうしてそこに行きたいか?
決まっている。
そこに行けば、僕はきっと氷結耐性(手)を手に入れられると思うからだ。
折角得た能力、僕は自分の可能性について知りたい。
だから、僕はそこに行く方法を考える。
「だが、我々だけで階層を抜けようとするのは危険じゃないか?」
「別に今すぐって訳じゃないですよ。準備ができたらって感じですね」
今、僕たちが生活しているのは30階層と31階層の間。
リアさんの言う通り、このまま31階層を僕たちだけで進んで行くのは危険が大きすぎる。
僕らは2人しかいないし、使える道具も少ない。
その少ない道具は、現在有効活用中。
僕の両手には火竜の鱗と毒鳥の卵が、それぞれ握られていた。
「もうちょっとでいけそうかな」
しばらくすると、ピコーンとだいぶ聞き慣れてきた音が響く。
僕の《炎熱耐性(手)》と《毒耐性(手)》のレベルが、また上がったようだ。
昨日、毒鳥を相手に頑張った結果、僕の《刺突耐性(手)》はレベル10まで上がっていた。
試しに、リアさんの剣先で僕の手をつついてもらったけど、傷も痛みもなかった。
レベル1が、どのくらいまでの効果があるかわからないけど、剣で傷つかなくなるなんて、レベルを上げられるだけ上げておいて損はない。
最初は、寝てる間に両手に毒鳥の卵をくくりつけておいたら自動でレベルが上がるんじゃないかと思って、早速実験してみた。
えっ、その結果?
正直、死ぬかと思った。
寝ぼけながら毒鳥の卵を持った手で、他の場所に触れてしまったら、毒が回ってえらいことになるということがわかった。
リアさんが早めに気付いてくれなければ、僕は死んでいたかもしれない。
う~ん、考えついたときは、僕って天才なんじゃないかと思ったんだけどな。
現実は、なかなかそう上手くいかないもんだ。
そういうわけで、僕の能力のレベル上げは起きてるときに火竜の鱗と毒鳥の卵を両手に持って移動しながらすることにした。
このまま能力のレベルが上がって、準備が整ったらその時は僕らが新しい階層に行くときだ。
「よーし、いつか絶対に行ってやるぞ、32階層!」
読んでくださり、ありがとうございます。
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m(_ _)m