新しい能力
僕と女騎士のリアさんが出会ってからのダンジョン生活2日目。
僕らは今日も毒鳥の巣に卵を取りに来ていた。
「今日も宜しくお願いします」
「ふむ」
リアさんに卵を落としてもらっていると、運悪く親鳥が帰ってきた。
巣を荒らす僕らをみると、激怒して威嚇の鳴き声をあげる。
その声を聞きつけて近くにいた仲間の毒鳥も集まってきた。
毒鳥の大きさは翼を広げても僕の片腕の長さと同じくらいだけど、嘴が尖っていて、あれでつつかれたら痛そうだ。
「アルル、気を付けろ、敵の数が多いぞ」
リアさんの言う通り、毒鳥は確認できるだけで5羽はいる。
剣でリアさんが対応してくれているけど、そのうちの1羽が僕のほうにやってきた。
「うわ、こっちに来た」
「アルルっ!」
「!」
僕は怖くてとっさに手を付きだす。
毒鳥はそのまま僕の手のひらを目掛けて翔んできた。
僕はやがてくる激痛に備える。
手に何かが当たった感触がやってきて続く痛みに備える。
…………おや?
いつまでたっても痛みはやってこない。
あれ? 痛みは?
みると、僕に突っ込んできた毒鳥はもう飛び上がっていて、こちらの様子をうかがっている。
「全然、痛くなかったぞ?」
そこで、ピコーンという音とともに、言葉が聞こえてくる。
(《刺突耐性(手)》を獲得しました)
えっ、何、なんか僕の能力が増えたんだけど!
僕が驚いていると毒鳥が再度突撃してきた。
さっきのが偶然じゃなければ大丈夫なはず。
僕は自分を守るように手を付きだす。
僕の手に弾かれる毒鳥。
さらに声が響く。
(《刺突耐性(手)》が、《刺突耐性(手)》レベル2になりました)
うん、確かに能力が発動しているみたいだ。
刺突耐性ってことは、刺されたり、突かれたりするのに耐性ができたということか。
これで、僕は《炎熱耐性(手)》、《毒耐性(手)》、《刺突耐性(手)》の3つの能力を得たことになる。
手限定とはいえ、わりと高性能なんじゃないだろうか。
というか、この状況は使えるな。
僕は、今もほとんどの毒鳥の相手をしてくれているリアさんに声をかける。
「リアさん、毒鳥を倒しながら、1匹だけ僕用に残してもらうことって可能ですか?」
「おそらく可能だが、アルルが戦うのか? 危険じゃないか?」
「たぶん大丈夫です」
「わかった」
リアさんが毒鳥を倒していき最後の1匹だけ残してくれた。
僕は前に出て毒鳥の突撃を手で弾き続ける。
毒鳥に仲間を呼ばれたら、リアさんにそっちは任せて、僕はしばらく同じ行動を繰り返す。
結果として毒鳥の体力と僕の集中力が尽きるまで、僕の《刺突耐性(手)》のレベルは上がり続けた。
読んでくださり、ありがとうございます。
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m(_ _)m