表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/161

雷電鳥とポルン

 大空に島々浮かぶ33階層。


 始まりの島に僕たちはいた。

 ここにきて、今日で3日目。

 僕らは今日も役割を分担しながら、食料の確保と特訓とをこなしていた。



「では、アルル、私はロングと語らってくる。何かあれば、いつでも呼んでくれ」



 リアさんは日課の素振りをしたあと、愛剣のロングを携え、木陰で集中して語り合うようだ。

 いまだに慣れないが、リアさんは《剣の才》という能力をもっていて、剣の気持ちがわかるというのだ。

 まあ、剣の鋭さは増してきてるし、問題はないだろう。



「アルル、見てください。こんなに早く飛べるようになりましたの」と、クウデリアは《天使の移し身》の効果で天使化して、駆け足程度の速度で木々の間を飛行中だ。

 高さは僕の目線程度。

 あまり高度をあげると、まだ怖いらしい。

 でも、島から島に渡るときは高度不明の場所を飛んでもらわないといけないので、おいおい慣れていってもらえたらありがたい。

 クウデリアも速度はともかく、小回りがきくようになってきたのはすごい進歩だと思う。



「クウデリア様、継続飛行時間がどのくらいかも知りたいので、限界近くまでしばらく飛んでみてください。でも、決して無理はしないでくださいね」


「わかりましたの」



 クウデリアは飛行を継続して、木々の間を回り続ける。

 クウデリアも、この調子ならこのまま放っておいていいだろう。

 僕は島の端にお座りしながら雷電鳥ホルスの様子を観察しているポルンの隣に腰を降ろす。



「ポルン、どうだ? 満足したか」


「ポルル」



 ポルンが、もう少しと言っている。



「僕も、もう少し雷電鳥の行動パターンの観察をしないとな」



 雷電鳥ホルスは島々の間を緩急をつけ、時には電光を纏いながら飛んでいる。

 この空間は全て自分のものとでも言いたげな自信と力を覗かせている。

 多分だけど、狂信者のオリアナに宿っていた白蛇の解放状態と雷電鳥ホルスだったら、雷電鳥ホルスの方が強いと思う。

 ただ、あれがオリアナの全力かどうかはわからない。

 僕はオリアナの言葉を思い出す。

 たしか、オリアナは自分に宿っていた魔物のことを白多蛇(ホワイトヒュドラ)ダリアスと言っていた。

 名前のある魔物、もしかしてダンジョンの名付きの階層主級の力があったとしたら……。



「ポル?」


「……ああ、ポルンか、心配かけたかな」



 どれくらい僕は思考の海に浸り、ボーッとしていたんだろう。

 ポルンが心配そうな顔をして僕の顔を覗き込んでいた。



「ありがとう、もう大丈夫だよ」


「ポルル」



 ポルンが僕に頭を付きだしてくる。

 どうやら僕に能力を解放して欲しいみたいだ。

 僕はポルンの頭を撫でながら、ポルンの《踊り上手》を一部解放する。



「ポルルンルン」



 ポルンが踊り出す。

 それは炎狼状態になるときに踊る情熱的な踊りではなく、雷電鳥の動きを想起させる緩急を自在に使った、鋭さと勇猛さを感じさせる踊りだった。



「ルゥ……」



 ポルンの舞いが終わる。

 すると、ポルンの青毛が帯電し、毛全体が黄色身を帯びていた。



「……雷を纏った狼」



 ポルンの新たな舞いが完成した瞬間に、僕が口に出来た言葉はそれだけだった。


読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ拙い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ