33階層でのこれから
大空に島々浮かぶ33階層。
始まりの島に僕たちはいた。
島の端から、大小さまざまな島々の浮かぶ大空を悠然と飛ぶ巨大な鳥を眺める。
とくにポルンは食い入るように巨大な鳥を見つめている。
「あれが雷電鳥ホルス?」
「そうです」
「あんな強そうなのを倒さないといけませんの?」
「それは大丈夫です」
雷電鳥ホルスは移動型の階層主だ。
名付きの階層主で、その実力は剣狼とか上位の階層主たちに引けをとらないし、状況次第では凌駕する可能性もある。
そんな奴を相手に僕たちが勝つのはほぼ不可能に近いだろう。
でも、ここ33階層の特性として島々を巡ることでゴールの島にたどり着かなければならない。
逆に言えば、無理に主と戦わなくても終わりの島にたどり着けたら、この階層は抜けられるのだ。
その事をみんなに説明する。
「僕たちはタイミングをみながら、この始まりの島からクウデリア様に終わりの島まで往復してもらえれば、楽に抜けられると思います」
「アルル、早速いきますの?」
クウデリアが、いつでもいけますとばかりに聞いてくるけど、僕はすぐ移動するのは悪手だと思っている。
「いえ、まずはこの始まりの島で、クウデリア様には《天使の移し身》による天使化での飛行に慣れてもらいたいと思います。今より飛行速度が上がればより安全に僕たちはゴールの島に渡れるはずです」
クウデリアが運べるのは、1度にせいぜい2人まで。
その早さは早足程度。
僕たちは4人だから始まりの島から終わりの島まで往復する間には誰かは必ず残ることになるし、もし何かしらの理由で飛行中に魔物に襲われたりしたら危険だ。
「私はどうする?」
「リアさんは、《剣の才》で愛剣のロングと心行くまで語らってみてください。何か強くなるヒントがあるかもしれないので」
「いいのか!?」
リアさんの目が輝く。
能力の一部解放が、どんな影響があるかわからないので、緊急事態を除き1日3回までに回数を制限させてもらっていた。
でも、そんなことは言っていられない。
強くなれるなら、多少のリスクは許容する。
常時、能力の一部解放で好きなだけ愛剣のロングと語らってもらい、どうなるか。
結果は僕にもわからない。
「それで、ポルンは……まだ雷電鳥を見ていたんだ。楽しい?」
「……」
ポルンは返事をする時間も惜しむように雷電鳥ホルスの飛翔する様子を見つめたまま頷いていた。
その目はキラキラさせつつ、真剣そのものだ。
ポルンのことは、ポルン自身に任せてみるか。
「僕は雷電鳥ホルスの行動パターンを観察しなきゃだから、邪魔はしないけど隣にいさせてもらうよ」
「ポル」
僕はポルンの頭を優しく撫でる。
そして、ポルンの集中力を乱さないように気を付けながら、静かにポルンの能力、《踊り上手》の一部解放をおこなった。
読んでくださり、ありがとうございます。
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