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VS 氷大亀

 雪と氷に閉ざされた32階層。


 僕とリアさん、クウデリア、ポルンは氷山を進む。

 氷山の洞窟を潜っていくと、洞窟の中の広い空間が見えた。



「ここで止まってください」という僕の声で全員が止まる。

 入り口の氷に隠れながら中の様子を確認する。



「あそこにいるのが氷大亀みたいです」



 洞窟の広いドームのような空間のど真ん中、小山のように大きな亀がいた。

 甲羅部分の分厚い氷の塊は小さめの氷山のようだ。

 王宮の記録の通りなら、あれが氷大亀で間違いないだろう。



「本当に大きいですの」


「斬りがいがありそうだ」


「ポルル」



 クウデリアがその大きさに驚き、リアさんはなにやら物騒なことを言っている。

 ポルンも初めてみる氷大亀に興味津々という感じだ。



「では、クウデリア様、僕が能力を解放したあとは予定通りでお願いします」


「はい、ですの」



 僕の言葉にクウデリアが意気込みつつ返事をしてくれる。

 僕は《封印耐性(手)》レベル5の効果で全員の能力を一部解放状態にする。

 リアさんが愛剣ロングを構え、ポルンが躍りを終えて炎狼状態になる。

 クウデリアも天使の翼を生やして準備は整った。

 剣を携えた騎士。

 炎の毛皮のコボルト。

 純白の翼を生やした王女。

 素手の僕。

 こうしてみると、僕だけえらく貧相な気がして心配になるけど、贅沢は言っていられない。

 僕の場合、下手な武器を持つより素手のほうが強いんだから、しょうがない。



「リアさん、お願いします」


「うむ、行ってくる」



 リアさんが先陣をきって、氷大亀のいる空間に突撃していく。



「こっちだ、薄のろ」



 空間に出るなり、右に駆け出しながら声をかけ、氷大亀の注意を自身に引き付けてくれた。

 氷大亀はリアさんをターゲットにゆっくり動き出す。



「僕たちも行きましょう」


「はい」


「ポル」



 僕たちは空間に入ると左に回り、氷大亀の背後をとる。

 僕らに大火力があればこのまま攻撃してもいいんだろうけど、僕らにそんな火力はない。

 なので、工夫をする。



「クウデリア様、お願いします」


「わかりましたの」



 クウデリアが僕を背後から抱きしめる。

 僕は空いている両手で炎狼状態のポルンの腰を支える。

 クウデリアの純白の翼が光を帯びると僕らの体が宙に浮きはじめた。

 相変わらず速度はゆっくりだが、リアさんが注意を引いてくれているから問題ない。



「このくらいでいいですの?」


「高さは十分です。このまま氷大亀の真上にお願いします」



 クウデリアの飛行で僕らは氷大亀の真上に来る。



「ポルン、頼んだぞ」


「ポル」



 僕はポルンを氷大亀の背中に投下する。

 ポルンは炎狼状態での熱量を最大にまで上げて、赤い毛皮を炎のように燃え上がらせながら巨大な氷の塊である背中に着地する。



「ポルルっポル」



 氷大亀の大きさからいったら、微々たる熱量かもそれないけど、効果はあるようだ。

 氷の一部が溶け始めている。

 氷大亀は違和感を感じて嫌がりながら、背中のポルンを振り落とそうとしている。

 僕たちの作戦は今のところ順調にいっている。



「さあ、最後まで油断せずにいきましょう」



 僕はそう皆を鼓舞した。

読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ短い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m

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