表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/161

襲撃者

 森と草原の広がる29階層。

 僕とリアさん、第3王女クウデリアのいるコボルトの里の入り口が緊張に包まれていた。

 剣狼は今、森の奥に行っていて里には不在。

 高弟コボルトが数人いるだけで、あとは一般のコボルトたちがいるだけだ。

 僕とリアさんは隠れながら様子を見る。

 周囲に緊張を振りまいている襲撃者は3人の男性。

 年の頃は30代から40代といったところか。

 その風貌は騎士というよりは、盗賊やゴロツキという言葉が似合いそうだ。



「騎士の格好をしているが見たことない人間たちだ。裏の人間かもしれない」


「裏の人間?」


「我々、騎士が表であるなら、裏の人間も存在するのだ。残念ながら王宮には表には回せない様々な仕事があるからな」



 リアさんが少し悲しそうに話してくれた。

 裏の仕事とは、町の大人たちが噂話で話していたような謀略や暗殺など多岐にわたるんだろ。



「……私も」


「リアさんは大丈夫です」



 リアさんが何かを言いかけるが、僕が言葉で遮る。



「アルル?」


「リアさん、あなたは僕やクウデリア様を助けてくれている立派な騎士なんですから」



 僕はそれだけ言うと、襲撃者たちに意識を向ける。

 リアさんもそれ以上は言葉を重ねず、わずかに微笑む。

 その頃、襲撃者はというと。



「お前ら、準備はいいか?」


「ここはコボルトがいっぱいいるんだなぁ」


「俺の新魔法の試し打ちしで殺し放題だぜ」


「おい、今はそんなことより王女を優先しろ」



 頭の悪そうな部下2人を強面の男が諌める。



「わかったんだなぁ」


「へいへい、りょーかい」



 態度や雰囲気からして正規の騎士ではなさそうだ。

 だけど、クウデリアの護衛をしながら、実質3人で29階層までこれた戦闘力も侮ることは出来ない。



「王女、ここにいるのはわかってるんですよ。出てきてください。じゃないと、手荒なことになっちゃいますよ。ほーらよっと」



 優男風の男が無詠唱で風の斬撃魔法を放つと、コボルトの家が切断される。



「ごごかなぁ」



 ハゲ頭の大男が別の家の壁を捲って破壊していく。

 家からコボルトの親子が逃げ出していく。



「あれ、いねぇなぁ」


「まあ、どっかにはいるだろう。そのまま探せ」


「向かってきた場合、コボルトたちはどうします?」


「……殺せ」



 リーダー風のゴツイ男の指示に男たちが従ったら、コボルトたちとの全面衝突が始まってしまう。

 僕はリアさんに視線を送る。

 リアさんも僕に頷き返してくれた。

 襲ってきたのは人間。

 だったら、コボルトたちではなく、まずは僕たちが相手をするべきだろう。

 いざとなったら、他の高弟コボルトの手も借りればいいしね。



「止めろ、お前たちっ!」



 リアさんが前に出て宣言する。



「お前らの暴挙は私たちが許さない。お前らは私とアルルで止めてやる」



 あれ? それだと僕とリアさんだけで全部止めるってことで、コボルトたちの協力を得られないのでは?

 僕の不安が的中したのか、高弟コボルトたちが剣から手を離し後ろに下がった。



「さあ、やるぞ。アルル」



 リアさんはいつになく張り切っていた。



読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ短い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ