アメージスの能力強化
本日2話目の投稿となります。
夜と闇の支配する46階層。
ダンテの屋敷に僕たちはいた。
偵察に出ている悪魔からの連絡によると、どういうわけか魔王の軍勢がここに向かってきているということだ。
どういうこと!?って感じだ。
聞いてないんだけど。
『向こうは、本当に魔王になっているようだな』
(サラ、なんか知ってるの?)
『ダンテが《勇者の才》を獲得したということは向こうも《魔王の才》を獲得したということだろう。2つの能力は表裏一体、同じ時代に存在するものだからな』
魔王が《勇者の才》を獲得して、魔王の邪魔をしそうなダンテに目をつけたってことか。
まあ、こっちも魔王たちが魔神の卵を狙うのを邪魔する気は満々だったし、邪魔するのを邪魔するってことで、そこはお互い様か。
「ノワール、ここに向かっている魔王軍の規模は?」
「ざっと1000体というところです」
「1000体!?」
1000体って、エルフの里を守ったときの10倍の数なんだけど。
しかも、それが一部って魔王軍ってどれだけいるの?
対する僕たちは、僕とリアさん、クウデリア、ポルンに、ノワール、ダンテにアメージスの7人。
悪魔たちを呼び戻したとしても10人を少し越える程度だ。
絶望的な戦力差だ。
僕はみんなの顔を見回す。
あれ、おかしいな。
そこでは誰も絶望していなかった。
(たった1000体か)
「競争ポル」
「私も頑張りますの」
リアさん、ポルン、クウデリアはヤル気満々。
ノワールとダンテも獲物を見つけた犯罪者のように悪い嗤いを浮かべている。
うん、とても勇者には見えないよね。
でも、ダンテの称号は魔神族の勇者となっていたし、人間の勇者とは違うのかもしれない。
そんな中、アメージスだけが不安そうな表情をしていた。
「アメージス、大丈夫?」
「私はお坊っちゃまのお役にたてるのでしょうか」
「十分に強いと思うんだけど」
僕はモップでも殺されかけたし、魔槍を持てば神剣状態のリアさんの10分の1程度の力を持っている。
それで、弱いってことはないだろう。
でも、アメージスが求めているのは中途半端な強さではなくダンテの役にたつこと。
「アメージスの情報も弄ってみようか?」
「まさか、私のような者にも力を授けてくださるというのですか?」
「そうだけど、嫌かな」
「そんなことありません。どうぞ、私にも力を授けてください」
アメージスが僕に向けて頭を下げる。
それにしてもアメージスの言った力を授けるってのは、ちょっと大袈裟じゃないかな。
僕はただ、本人に意思を確認して、サラに意見をもらったりしながら情報の書き換えをしているだけだ。
「アメージスはどうなりたい?」
「私の望みは、常にお坊っちゃまのお側にあること、ただそれだけです」
「わかった」
アメージスの《槍術士の才》をリアさんの《神剣の才》を参考に《魔槍の才》に書き換え、人形態と武器形態とを自分の意思で変えられるようにしといた。
今回はサラの助言もなしにサクッと情報の書き換えを終わらせる。
「アメージス、ダンテとともに戦場を駆け巡るといいよ」
「ありがとうございます」
アメージスはまるで神に祈るように感謝している。
もう本当に大袈裟なんだから。
よし、これで全員の準備は整ったし、魔王軍との初対決だ。
読んでくださり、ありがとうございました。




