悪魔の軍団
夜と闇の支配する46階層。
ダンテの屋敷に僕たちはいた。
そこで、ゾンビを改造して悪魔のノワールを創った僕とサラは、ついでとばかりに残るゾンビとゴーストたちも改造して悪魔にしてしまっていた。
さすがに最初に創ったノワールほどの力を持たせると後が心配だったから、サラに調整をお願いして実力はほどほどにしてもらったはずだけど、それでも元のゾンビやゴーストとは比べ物にならないはずだ。
『まずまずの出来だ』
どことなくサラが満足そうに言う。
やっぱり、サラはこういう改造的なことが好きなのかもしれない。
サラと僕の頑張りで、ここに文字通りの悪魔の集団が誕生した。
ノワールは1人で階層主程度は問題なく相手に出来るだろうし、下手したら名付きの階層主にも勝てると思う。
他の悪魔たちも2人以上であれば普通の階層主とは互角以上の勝負が出来るだろう。
そんな悪魔たちが僕に向かって膝をついている。
壮観な眺めだ。
「ふう、なんとなく軍団ぽくなったかな?」
「数はともかく、実力的には軍団と言って問題ないだろうな」
「悪魔たち全員が相手なら、私たちでも危ないかもしれないですの」
リアさんとクウデリアも悪魔たちの実力は認めてくれているようだ。
「ポルンも、もっと頑張らないとポル」
ポルンも、なんかいい意味で悪魔たちをライバル視している。
だけど、みんな謙遜しているみたいだけど、絶対に悪魔たちよりみんなのほうが強いと思う。
まあ、リアさんたちの場合、能力を完全に解放し制御できたらって条件付きだから、経験とか相手にも左右されるかもしれない。
とくにポルンの場合は《神の踊子》って能力の性質上、力を発揮するまで時間がかかるし、そこを狙われたら呆気なくやられる可能性もある。
そう考えると即座に全力を出せる悪魔たちって、やばいくらい強いのかもしれない。
「ねえ、ノワールたちには何か力の制限みたいなものはないの?」
「そうですね。力そのものに制限はありませんが、主に頂いたこの力で全力戦闘を行ったとしたら、10分程度経過したところで私という存在は崩壊することでしょう」
「なにそれ?」
10分未満しか全力戦闘できないってこと?
それって、すごいハンデだよね。
全力でなければもう少し長い時間戦えるみたいだけし、時間で回復も出来るみたいだけど、不便と言えば不便なのかな。
どうなんだろ。
「おそらく、私の体の元となっている魔物の格がその程度であったからだと思われます」
まあ、元はただのゾンビだったのに無理矢理膨大な量の情報を追加し改造して悪魔にしているわけだし、脆さとかに制約があっても当然かもしれない。
多分、神の手(仮)の力があったとしても、サラの知識と補助がなければ改造すら失敗していた可能性がある。
サラは比較的簡単そうにやっているけど、それくらい存在の格を上げるのは大変みたいだ。
「なんか、中途半端に創ってしまったみたいで、ごめん」
「何を仰いますやら。自我も乏しき卑しき我らに、これほどの力と喜びをお与えくださいまして感謝こそすれ、謝罪には及びません」
ノワールは事も無げに言っている。
その表情からは悲壮感もなければ、憤りも感じていないように見える。
他の悪魔たちも同様のようだ。
まあ、本人たちが満足してくれているならいいか。
じゃあ、本題にいってみよう。
「あのさ、僕の願いはダンテたちを助けてほしいってことなんだけど、頼める?」
「問題ありません。我ら主の望みに従い、その者を命を懸けて助けましょう」
「別に命は懸けなくていいよ。ダンテは不死族だし、ノワールたちの命も大事にしてもらえたら僕は嬉しいな」
「恐れ多いお言葉ですが、しかと魂に刻み付けておきましょう」
「ありがとう」
ふう、ノワールと話すと僕を敬い過ぎてて気疲れするよね。
でも良かった、僕以外を助けることも大丈夫みたいだ。
これでダンテも喜んでくれるといいんだけど。
どんな反応するか楽しみだ。
時間としては夕方近くになって帰ってきたダンテたちが、居並ぶ悪魔たちをみて腰を抜かしてしまったのを見たときは、さすがにちょっとだけやり過ぎだったかなと反省することになった。
読んでくださり、ありがとうございます。
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