表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/161

ゾンビ

 夜と闇の支配する46階層。


 僕たちはダンテの屋敷に滞在させてもらっていた。

 翌朝、ダンテやアメージスは手下を集めると言って出掛けてしまった。

 屋敷の周りには不死族に属する魔物たちが闊歩しているが、ダンテが僕たちのことは襲わないようにと命令しているので、気にせず外出も可能だ。

 僕たちは屋敷のバルコニーから、外を目的もなくのそのそと歩く魔物たちを眺める。



「アルル、本当にあのゾンビやゴーストで魔王たちに勝てるのだろうか?」


「まあ、リアさんが心配している通り、普通に考えたら無理でしょうね」


「やはりそうか」


「ダンテたちには言ってないですけど、リアさんやクウデリア様の能力を考えても、ただの魔物じゃ何匹集めても魔王相手では意味はないと思います」



 一応原初の存在(ウボ=サスラ)のサラにも確認したけど、《色欲の移し身》は最古に存在した悪魔の1柱の能力を再現できるという話だった。

 悪魔の能力の再現。

 どれだけ強力な力なんだろう。



「このまま放っとくのか?」


「いえ、魔王を止めたいのは本当ですし、ダンテに協力しますよ」


「どうやるんですの?」


「僕としては、今いる魔物たちを改造して強くしてみようかと思ってます」


「そんなことが可能ですの(なのか)!」



 僕の言葉にリアさんとクウデリアが同時に驚く。

 そんなに驚くことかな?

 僕はポルンを指す。



「ポルンも能力で人狼状態になっているとはいえ、元はコボルトですからね。僕の神の手(仮)の能力なら強くすることは可能だと思いますよ」


「まあ、ただの人間だった私を神剣にしたくらいだし、可能なのかもしれんな」


「階層主の情報さえ弄ることができたんだから、弄れないことはないと思います」



 都合がいいことにダンテは不在で、もし失敗してもバレることはない。

 魔物たちも従順で大人しい。

 これほど好条件が整っていたらいけるだろう。



(サラも協力してくれる?)


『よかろう、我の銘版に刻まれし者を顕現させてやろう』



 なんだろう。

 原初の存在(ウボ=サスラ)のサラがすごいやる気になっている気がする。

 そういえば、リアさんたちの能力を進化させるときにも率先して動いてくれて、サラサラっと上位の能力に書き換えてくれていたから、実はこういうのがけっこう好きなのかもしれない。

 リアさんたちの仕上がりを考えると多少自重しないところもあるみたいだけど、今回の相手はかりにも魔王を名乗っている。

 しかも、最古の悪魔の能力の1つも持っているとわかっているなら、今回は油断も慢心も自重も必要ない。



(サラ、最高傑作を頼むよ)


(任せよ)



 こうして、僕は神の手(仮)を発動させ、手近なゾンビを改造していく。

 まだ誕生してそんなに時間が経っていないようで、ゾンビは階層主どころか初期のポルンと変わらないくらいの情報量だ。

 ここにサラが情報を追加修正していく。

 なんだろう。

 すごい勢いで情報が書き換えられつつ、情報量があり得ないくらい膨れ上がっていっている。



「……自重するなとは言ったけど、なんか、すごいのが出来そうなんだけど」


「これは、味方……なんだな」


「そうじゃなかったら、大変な脅威の誕生ですの」


「強そうポル」



 かつてゾンビだったものから放たれる威圧に、リアさんとクウデリアが緊張感のある声を発し、ポルンも人狼状態であるのにグルルと警戒してうなり声を上げていた。



『完成だ』



 黒い執事服を身につけた一見して人間のような外見の魔物が誕生する。

 僕は情報を読み取ってみる。

 …………って、不死族だった種族が悪魔族ってなってるんだけど!?

 え~と、ゾンビをどう弄くり回したら悪魔になるの?

 しかも、その悪魔からはすごい圧力のような高位の力を感じる。

 魔王は悪魔の能力を再現出来るみたいだけど、サラは悪魔そのものを再現してしまったようだ。

 僕はやってしまったかもしれない。





読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ拙い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ