詩(短編) 夜に 作者: 少々 この夜にあんたなら何色を塗る 燻った背景に追われ 息も濁ったこの夜に あんたなら何色を塗るのか 掻き毟った左手は無言 立ち上がれない慟哭の両足 無様に震えるその右手で 何を欲したのか 色 筆など無意味だ 握り潰して飛び出た心臓を ぐちゃぐちゃにして嗾ける 自分へなのか誰かへなのか この色 色 あんた、あんたか この夜を色に託し 虚ろな光で照らし出す ただ描きたかった自分を 染まった右手で なぞる あんたならこの夜に何色を掴むのか ……………