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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
呪殺師は可愛い男の子が好き

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あいつって?

 権堂屋敷を離れた後、僕たちは学校へ行く前にマクドナルドで朝食を取ることにした。芙蓉さんのおごりで……


「ああ、残念だわ。せっかく、権堂さんから金儲けのテクニックを教えてもらえると思ったのに」


 そう言ってから、樒はハッシュポテトをかじる。


 まあ、当分は無理だろうな。


「芙蓉さん。結局、権堂さんのやっていた違法行為って、脱税だったの?」

「そうよ、優樹君。権堂さんは人から恨まれるような事はいろいろとやっていたけど、法に触れるような事は一つもなかった。脱税を除いてね。でも、それは人から恨みを買うような事ではないので関係ないと思っていたわ。まさか、国税局が、ヒョーを雇っていたなんて……」

「権堂さんが脱税している事は、通報しなくても良かったのですか?」

「通報しても無駄よ」


 え?


「仮に国税局に権堂さんが脱税していた事を通報しても『権堂さんが脱税。そんな事は前から知っていますよ。今は、極秘で捜査しているのだから、余計な事は言わないで下さいね』と言われるだけよ」


 そういうものなのかな?


「例えば呪われた原因が、過去に行った殺人とかレイプだったら、警察に通報するわ。だけど、警察もテレパシーやサイコメトリーで得た情報では逮捕できない。その情報を参考にして、証拠を集めてそれから逮捕になるのよ」


 ややこしいなあ。


「ところでもう一つ疑問なのですが、ヒョーは僕と話をしている間はヘリウムで声を変えていたのです。聞けば、霊能者協会の人と会う時は、いつもそうしていると言っていたのですが、そんな事実あるのですか?」


 もし、そんな事実がないとしたら、ヒョーは僕の身近な誰かという事になるが……


「それは事実よ」


 事実だったのか。そうだとすると、ヒョーはどこで僕に目を付けたのだろう?


 協会の名簿からと言っていたけど、なんか嘘くさい気がする。


 あんなものを見たぐらいで僕に目を付けるなんて考えられないし、やはり身近な所にいるのでは……


 ホットケーキを食べながら、スマホを操作していたミクちゃんが不意に僕の方に顔を向けた。


「優樹君。協会の名簿に、顔写真載せていたの?」


 え? 


 確かに、協会ホームページにある名簿は本人が編集できるようになっているので、半年前に僕の顔写真を載せた。


 というのも、仕事で依頼人のところへ行く度に、高校生と聞いていたのに小学生が来たと誤解される事があまりにも多いので、最初から顔を公開しておけばいいだろうと思って載せたのだけど……


「載せているけど」

「危ないよ」

「なにが?」

「あたし、プロフィール欄に写真は絶対に載せるなってお母さんから言われているから、代わりにニャンコの写真載せているのだけど」

「そりゃあ、ミクちゃんみたいに可愛い女の子が顔写真なんか載せたら、変な人がやって来て危ないけど……」

「優樹」


 ん? 樒の方を見るとスマホを操作していた。


「マジで顔写真載せている。優樹、あんたミクちゃんの事は言えないわよ。現にヒョーという変な人が来ちゃったでしょ。用心しなきゃだめじゃない」


 あれ? じゃあ、やっぱりヒョーは協会の名簿から僕に目を付けたのであって、身近な人ではなかったのか?

 

「優樹君」


 芙蓉さんの声は、いつになく非難が込められていた。


「いつから、顔写真を載せていたの?」

「え? 半年前からですが……」


 それを聞いて芙蓉さんは、悩まし気な顔になり頭を押さえた。


「半年前から、君を指名する人が増えたので、変だと思ってはいたけど……」


 え? 名簿に顔写真を載せるのって、そんなにヤバかったの?


「じゃあ優樹の指名料一万円の原因は、それだったわけ? 私も顔写真載せようかな」

「樒さん。止めなさい。変質者に狙われるわよ」

「大丈夫。私のところへ来ても返り討ちにするから。優樹はすぐに削除しなさいよ」


 樒に言われるまでもなく、僕はスマホを操作して顔写真を削除した。


「ところでさあ、優樹。ヒョーはあんたの事を『優樹キュン』と呼んでいたのよね?」

「そうだけど」


 キモいから『キュン』はやめて欲しいのだけど……


 樒は腕時計に目をやった。


「ねえ。少し早いけど、今から学校に行かない?」

「え?」

「ヒョー本人は無理だけど、あいつを捕まえられるかも……」


 あいつって?

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