表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
呪殺師は可愛い男の子が好き

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/263

呪殺師ヒョー3

 美少女は、不思議そうに周囲をキョロキョロと見回していた。


 おもむろに彼女は、机の上にあったボールペンをつまみ上げる。


「物に触れる。あたし、身体がある」


 美少女は満面の笑みを浮かべ、嬉しそうにそこら中の物を触り始めた。


 しばらくして、六星和子がその手を掴み、やめさせる。

 

「霊子ちゃん。喜んでいるところ悪いけど、憑依は十分以内という約束なの」

「ええ? そうなの?」

「だから、あまり遊んでいる暇はないのよ。もう五分しか残っていないから、先にお話を聞かせてもらえる?」

「何を聞きたいの?」

「まず、あなたの本当のお名前は?」


 私は思わず唾を飲み込んだ。


 この流れで行けば、この場で学校に潜入した目的を達成できるかもしれない。


 だが……


「んん? 分からない」


 やはり無理だったか。時間が経ちすぎると、幽霊は自分の名前すら思い出せなくなるらしい。


「そっかあ。じゃあ、あなたの事は今後も「霊子ちゃん」と呼ぶけど良いかしら?」

「いいわよ」

「じゃあ、霊子ちゃん。あなたは、なぜ死んだの?」

「この部屋で首を吊ったの」


 自分の死因は覚えていたか。それにしても首を吊ったという事は対象者……冬原ふゆはら小菊こぎくの可能性が高い。


「霊子ちゃんは、なぜ首を吊ったの?」

「んんっと……分からない。なんで、あたし、首を吊ったのかな?」


 待てよ。もしかすると……


「六星さん。私も、霊子ちゃんと話をさせてもらっていいかしら?」

「え?」


 六星和子は時計に目を走られせた。


「良いですけど、後二分しかありません。手短にお願いします」

「分かったわ」


 私は美少女の前に立った。


「霊子ちゃん。あなた、誰かに虐められていたのじゃないの?」

「え?」


 今までニコニコしていた美少女の笑顔が凍り付く。


「誰かに虐められて、それを苦に首を吊ったのではないの?」

「知らない」


 美少女の顔が恐怖に歪む。


「知らない! 知らない! 知らない!」


 やはり……彼女は忘れたのではない。


 思い出したくないのだ。忌まわしい記憶を……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ